記録AIは体感と実測がずれ、人はAIの誤りに引きずられた
9月は25日分、237本を取り上げました。論文155本、プレスリリース44本、この月から加えたニュースが38本です。テーマでは生成AI・LLMが42本で最多となり、前月の16本から26本増えました。電子カルテ・記録業務が37本、臨床意思決定支援が29本と続きます。
記録AI:医師の体感と測った時間が食い違った
記録業務のAIでは、使った人の感想と測った数字がずれる報告が重なりました。GPT-4.1で退院サマリの入院経過を下書きする機能では、導入前後の編集時間に有意差がなく(6.60分対6.28分、p=0.11)、AIを使った例はむしろ調整後で32%長くなりました。それでも医師36人中31人(86.1%)は効率が上がったと答えています。アンビエント型記録AI3社の比較でも、医師の評価が最も高かった製品は誤り監査で8件、最も少なかったのは別の製品で3件でした。一方、Abridgeのスクライブを15人に11週間入れた研究では、記録時間が平均6分対14分と、はっきり差が出ています。
AIが間違えると、人もLLMも一緒に崩れた
AIの助言に人が引きずられる報告も目立ちました。薬剤師と薬学生77人の処方監査にGPT-4oの助言を付けた試験では、全体の正確性は上がった(調整OR 1.58)ものの、AIが誤った問題の正答率は26.1%で、誤った助言の73.9%がそのまま受け入れられました。LLM自身も「Are you sure?」の一言で、10種の正答率は51.8%から42.2%に下がりました。救急隊搬送の心電図615枚では、GeminiのSTEMI判断は感度95.3%に対して特異度9.4%でした。
国内は救急の連絡と病院文書の自動化に集まった
国内の発表は、救急の連絡と病院の文書作成に集まりました。厚木市消防本部は音声入力と生成AIで傷病者情報を自動入力する「NSER mobile」を10月20日から本格運用すると発表し、Dr.JOYは紹介・救急電話を文字起こしして受入判断を記録する「受入コールAI」を9月18日から提供しています。永井病院では「Apollo AI」の導入で退院サマリ作成が37分から3分になったと公表していますが、これは導入企業と病院側の数字です。測り方がそろうまでは、発表どうしを直接比べにくいところです。
厚木市消防本部が、音声入力と生成AIで傷病者情報を自動入力する救急情報共有システム「NSER mobile」の本格運用を10月20日から始めるという発表。
- 救急隊がiPadで収集した傷病者情報を医療機関へリアルタイム共有する仕組みに加え、音声テキスト化と生成AIによる自動入力・マッピング機能を導入する
- 厚木市の令和7年の救急出動件数は14,978件で過去最多を記録しており、照会時間の短縮と隊員の記載負担軽減を狙うとしている
- NSER mobileは全国89地域・人口カバレッジ1200万人以上で運用実績があり、効果は今回の導入で今後検証される
出典:TXP Medical / 厚木市、救急DXを推進―消防本部および市内・連携医療機関にて「NSER mobile」本格運用開始
サトシ 救急DXは地味だけど効く分野。件数が過去最多という背景込みで見ると、自治体側の切実さが伝わってくる。