2026年9月7日(月)の Dose

6本(論文4・リリース2)

論文 臨床意思決定支援 注目

MIMIC-IVのデータで、LLMの入院リスク予測にどのデータ種類が効くか検証したという論文。

  • MIMIC-IV由来の入院2万2254件で、構造化EHRと画像・記録をLLMに与えて死亡・在院日数・退院診断を予測させ比較した
  • 死亡予測はAUROC0.849、在院日数はAUROC0.868で、構造化EHR単独が最も高い性能だった
  • 一方、退院診断・薬剤予測では画像・記録を加えた三種統合でF1が最大21.4%改善した

出典:J Am Med Inform Assoc / Less can be better: decomposing clinical data modalities in large language model-based healthcare applications.

サトシサトシ
全部盛り込めばいいわけではないというのが実務的で好きです。記録支援を入れるならまず構造化データからだと思いました。

LLMが作る手術同意書と従来の説明文書の分かりやすさを、盲検で比較したという論文。

  • 耳鼻咽喉科の41手術について、公式書式とChatGPT-5.2・Gemini3Proが作った同意書計123件を医師3名と協力者5名が評価した
  • 医学的な質は公式書式が4.62点で最高、分かりやすさはGemini版が4.33点で公式の3.18点を上回った(p<0.001)
  • 小規模な予備研究であり、分かりやすさが増す一方、医学的正確さや法的妥当性の面ではAI生成文書がやや劣る結果だった

出典:Acta Otolaryngol / AI-generated versus standard informed consent forms in otolaryngology: a blinded multirater pilot feasibility study.

サトシサトシ
同意書の分かりやすさは大事ですが、医学的な正確さとのトレードオフがあるのは実感と合います。ハイブリッド運用が現実的だと思いました。
論文 画像診断AI 注目

胎児MRIの所見文からChatGPT・Gemini・DeepSeekの診断推論を比較したという論文。

  • 単施設で確定診断のついた胎児中枢神経MRI85例の所見文をテキスト化し、画像を見せずに3つのLLMへ入力して鑑別診断をさせた
  • 主診断の一致率はDeepSeekが77.6%(66/85)で最も高く、Geminiが69.4%、ChatGPTが61.2%だった(P=.0438)
  • 全体差は有意だったが、多重比較補正後はモデル間の差は統計的に有意ではなかった

出典:Medicine (Baltimore) / Comparative evaluation of large language models for text-based diagnostic reasoning in fetal central nervous system MRI: A retrospective single-center diagnostic accuracy study.

サトシサトシ
多重比較補正で有意差が消えるのは、この手の比較研究にありがちな話だ。数字の見た目に釣られない方がいい。
論文 画像診断AI 注目

膵嚢胞性病変の造影超音波所見をLLM4種と放射線科医が読影し精度を比較したという論文。

  • 病理確定済みの膵嚢胞性病変80例の造影超音波所見文を、GPT-4o等LLM4種と放射線科医8名(上級・若手各4名)が読影した
  • 情報を増やすほど精度は上がり、LLMの平均スコアは100点満点で造影所見のみ47.50点から患者背景も加えた73.75点まで上昇した
  • 造影所見を入力した条件ではLLMは上級医と有意差がなく、若手医師の読影支援に使うと上級医相当まで精度が上がった

出典:Quant Imaging Med Surg / Large language models for analyzing contrast-enhanced ultrasound reports of pancreatic cystic lesions.

サトシサトシ
膵嚢胞は専門でも判断に迷うことがあるので、若手の読影をLLMが底上げするという結果は納得感があります。
リリース 規制・実装・医療政策 注目

脳梗塞を経験した医師のクリニックでAI×DXの運営支援を始めたという発表。

  • 大阪府茨木市のクリニックで、メドレーのクラウド診療基盤CLINICSとAIを使った経営・業務支援を2026年9月1日に開始した
  • 予約や問診のオンライン化に加え、マニュアル作成や経営分析などにAIを活用し、院長個人に依存しない運営体制を目指すとしている
  • 同社はこのモデルを承継クリニックのケースの一つと位置付け、今後全国のクリニックへ展開する方針としている

出典:エクイタスメディカル株式会社 / 「医師が病気を経験しても、地域医療を途切れさせない」~エクイタスメディカル、茨木こうもと内科クリニックでDX・AIを活用した次世代クリニック運営モデルを開始~

サトシサトシ
後継者不足のクリニックを、テクノロジーで支える承継モデルとして筋がいい発想だと思う。数を増やせるかが次の焦点だ。

オンライン診療アプリSOKUYAKUが次回予約とカルテID登録の機能を追加したという発表。

  • オンライン診療サービスSOKUYAKUのクリニック向け機能を更新し、診療中にそのまま次回予約を登録できるようにした
  • 次回予約は最大3カ月先まで登録でき、院内で使う患者ごとのカルテIDもアプリ上で管理できるようにしたとしている
  • カルテIDの連携は院内の電子カルテと自動で同期するものではなく、SOKUYAKU上に登録するだけの機能だとしている

出典:ジェイフロンティア株式会社 / オンライン診療サービス「SOKUYAKU」クリニック向け機能を大幅アップデート。患者の継続受診を促進し、医療機関との接点を強化

サトシサトシ
カルテIDの連携が自動ではないのは正直で好感が持てます。オンライン診療と院内システムの溝はまだ埋まっていないのが実情です。