規制・実装・医療政策

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古川俊治デジタル相が就任会見で医療分野のAI活用に言及したことについて、日経クロステックが報じました。

  • 医療等情報の利活用を検討する有識者会議について、次世代医療基盤法の改正を視野に、9月中の取りまとめを目指すと説明した
  • 法改正が必要な場合、政府は2027年の通常国会への法案提出を目指すとしている

出典:日経xTECH / 古川デジタル相、医師・弁護士経験生かし「人に優しいデジタル社会」目指す

サトシサトシ
医療データの利活用は制度が動かないと進みません。会議の取りまとめ待ちです。

千葉大学などの研究チームが、5週間のデジタル認知行動療法アプリと睡眠薬ゾルピデムを比較した医師主導治験の結果を発表したという発表。

  • 不眠症患者24名を対象に、2023年9月〜2025年2月にアプリ群とゾルピデム5mg群を比較する医師主導治験を実施したとしている
  • アプリ群は入眠時間が平均約20分短縮しゾルピデム群と同等の効果。終了5週間後の追跡ではアプリ群がさらに29.02分短縮したとしている
  • 副作用はゾルピデム群で日中の眠気が1件、アプリ群はゼロだったとしている。対象24名の探索的治験で大規模検証は今後としている

出典:国立大学法人千葉大学 / 認知行動療法を取り入れた不眠症治療アプリの効果を医師主導治験で確認―5週間で不眠症状を軽減できる医療機器プログラムが新たな選択肢に―

サトシサトシ
24人の探索的治験なので過大評価は禁物だが、薬に頼らない選択肢の治験データが積み上がった意味は大きい。

厚木市消防本部が、音声入力と生成AIで傷病者情報を自動入力する救急情報共有システム「NSER mobile」の本格運用を10月20日から始めるという発表。

  • 救急隊がiPadで収集した傷病者情報を医療機関へリアルタイム共有する仕組みに加え、音声テキスト化と生成AIによる自動入力・マッピング機能を導入する
  • 厚木市の令和7年の救急出動件数は14,978件で過去最多を記録しており、照会時間の短縮と隊員の記載負担軽減を狙うとしている
  • NSER mobileは全国89地域・人口カバレッジ1200万人以上で運用実績があり、効果は今回の導入で今後検証される

出典:TXP Medical / 厚木市、救急DXを推進―消防本部および市内・連携医療機関にて「NSER mobile」本格運用開始

サトシサトシ
救急DXは地味だけど効く分野。件数が過去最多という背景込みで見ると、自治体側の切実さが伝わってくる。

FDAのサイバーセキュリティ規制強化後、AI搭載医療機器の承認期間がどう変わったか分析したという論文。

  • 2000年〜2026年の510(k)承認記録8万3675件を対象に、AI搭載機器とそれ以外を比較する差分の差分分析を行った
  • 規制強化後、市場全体では承認期間に有意な変化がなかったが、AI搭載機器では約24%長期化した(p<0.001)
  • 遅延は画像診断・放射線治療計画分野の5コードに集中しており、AI機器全般ではなく特定分野の規制対応に起因する可能性が高い

出典:J Imaging Inform Med / Networked Radiology Imaging and Treatment Planning Systems and FDA Cybersecurity Regulation: A Difference-in-Differences Analysis of 510(k) Clearance Delays.

サトシサトシ
規制対応の負担が特定分野に偏るなら、AI医療機器の実装コストは分野ごとに変わってきそうです

がんゲノム医療のエキスパートパネルを支援するプログラム医療機器について、テンクーが製造販売承認を申請したという発表。

  • 2023年に厚労省の優先審査対象品目に指定されたプログラムで、2026年9月8日に承認申請を行った
  • 対象となるがんゲノムプロファイリング検査は、2019年の保険適用開始から累計14万1241人が受検している
  • 現時点では未承認の医療機器であり、申請は承認取得を保証するものではないと自社が注記している

出典: テンクー / テンクー、がんゲノム医療のエキスパートパネルを支援するプログラム医療機器の製造販売承認を申請

サトシサトシ
承認申請の段階でニュースになるのは、がんゲノム領域でのSaMD周りの競争が活発だからでしょう

カタルーニャ・ノルウェー・シンガポール・クイーンズランドの医療AI導入戦略を比較したという論文。

  • 4つの医療システムを対象に、文書・関係者インタビュー・フォーカスグループを通じた国際比較の質的研究を行った
  • 60件の文書、34件のインタビュー、5回のフォーカスグループ、計50名の関係者データから、AI普及の速度は地域のデジタル戦略や資金構造の違いに強く左右されると示された
  • トップダウンかボトムアップかという二分法ではなく、多層的な調整のプロセスとして普及を捉える必要があると論じた

出典:J Am Med Inform Assoc / International qualitative case studies of system-level approaches to promote the development, adoption, and implementation of artificial intelligence in healthcare.

サトシサトシ
僕としては、現場のツールより先に資金の流れと制度設計で普及速度の大半が決まるという指摘が一番納得できる。

脳梗塞を経験した医師のクリニックでAI×DXの運営支援を始めたという発表。

  • 大阪府茨木市のクリニックで、メドレーのクラウド診療基盤CLINICSとAIを使った経営・業務支援を2026年9月1日に開始した
  • 予約や問診のオンライン化に加え、マニュアル作成や経営分析などにAIを活用し、院長個人に依存しない運営体制を目指すとしている
  • 同社はこのモデルを承継クリニックのケースの一つと位置付け、今後全国のクリニックへ展開する方針としている

出典:エクイタスメディカル株式会社 / 「医師が病気を経験しても、地域医療を途切れさせない」~エクイタスメディカル、茨木こうもと内科クリニックでDX・AIを活用した次世代クリニック運営モデルを開始~

サトシサトシ
後継者不足のクリニックを、テクノロジーで支える承継モデルとして筋がいい発想だと思う。数を増やせるかが次の焦点だ。

2026年度診療報酬改定に対応した外来データ提出加算向けクラウドサービスを全国のクリニック向けに本格展開するという発表。

  • レセコン連携やレセプト(UKEファイル)の取り込みにより外来様式1(FF1)の作成を支援するクラウドサービスで、現役の開業医が自院運用をもとに開発した
  • 充実管理加算や2026年度版の外来データ提出加算など5種のモードに対応し、料金は月額4,980円(税抜)、契約月は無料とした
  • 電子カルテやレセコンを置き換えるものではなく、既存の運用に乗せて提出業務のみをクラウド化する位置づけとしている

出典:メディトク株式会社 / 【2026年度改定対応】現役開業医が開発、外来データ提出の作成負担を軽減するクラウドサービスを本格展開

サトシサトシ
月4,980円は現実的な価格設定だと思います。加算の種類が増えるほどこうしたサービスの需要は増えそうです。

臨床医が生成AIを使って開発したePROMアプリの、実運用後に見つかった不具合を検証したという論文。

  • 6種の下部尿路症状評価票を統合したアプリを対象に、コード監査や78症例のスコアリング再検証など複数の保証活動を行った
  • 自動テストは78症例すべて通過していたが、独立レビューで17件の臨床・方法論上の修正点が見つかった
  • 外部の解析タグが混入しており、自社が謳う「ローカルのみ保存」というプライバシー方針と食い違っていた

出典:Int J Med Inform / Clinician-led, AI-assisted clinical software development: multi-domain verification of a deployed ePROM application.

サトシサトシ
動くだけでは足りないという教訓。臨床でAIツールを使うにはこの手の第三者チェックが要ります。

英国と豪州の医療AI導入によるコスト削減額をベイズ統計で試算したという論文。

  • 放射線科・業務効率化・人員配置の3領域を対象に、1000粒子のモンテカルロシミュレーションで年間コスト削減額を推計した
  • 年間削減額の中央推計は英国が約949百万ドル、豪州が約737百万ドルで、いずれも人員配置最適化が最大の寄与だった
  • 実装リスクが導入効果を左右する主要因とされ、人員配置の削減効果は現金の節約ではなく再配置による効率化と位置づけている

出典:JMIR Med Inform / Bayesian Analysis of AI-Driven Cost Savings in UK and Australian Health Care Systems: Cross-Sector Implementation Study.

サトシサトシ
机上の試算とはいえ、削減効果の6割超が人件費最適化という内訳は投資判断のヒントになると思う。実装リスクの見積もりも大きい。

音声から認知機能を分析するAI診断支援アプリについて、PMDAの「先駆け総合評価相談」を開始したという発表。

  • 約1分間の自由会話から認知機能を判定するプログラム医療機器で、2026年8月に治験の全症例観察を終了し承認申請前の相談を開始
  • アカデミアとの探索的臨床研究では約95%の判定精度を確認しており、2026年度内の製造販売承認取得を目指すとしている
  • 95%の精度は探索的試験段階の数値であり、治験本体の統計解析結果はまだ示されていない

出典:株式会社エクサウィザーズ / エクサウィザーズグループのExaMD、認知機能AI診断支援アプリについてPMDAとの「先駆け総合評価相談」を開始

サトシサトシ
審査の入り口に立った段階の発表で、95%という数字も探索的試験の値。承認と本番の数字はまだこれから

米FDAが承認したAI医療機器1357件のうち、患者アウトカムを評価した研究はわずか3件(0.2%)にとどまったという論文。

  • 2025年12月5日時点のFDA承認AI/ML医療機器全件を対象に、ClinicalTrials.govとPubMedへの登録・掲載を横断的に調査
  • 1357件中、登録された前向き試験に紐づくのは34件(2.5%)、患者アウトカムを評価したのは3件(0.2%)のみだった
  • 研究の62%は観察研究で小規模・単一集団が多く、脆弱な集団が除外される例も目立ったと指摘している

出典:PLOS Digit Health / 1,357 AI medical devices cleared, 3 actually tested on patient outcomes.

サトシサトシ
承認された1357件のうち転帰まで見た研究が3件というのは、規制と検証のギャップがどれだけ大きいかを示す数字だと思います

ドイツの病院1600施設超のデータを用いて、病院情報システムの選択とデジタル成熟度の関連を検討したという論文。

  • 独DigitalRadar事業に参加する病院1600施設超のデータを用い、HISベンダーの特性でクラスタリングし、多変量回帰で分析した
  • モジュール利用率(β=6.87、p<0.05)と外部システムとの連携率(β=14.35、p<0.01)がデジタル成熟度と有意に関連していた
  • 外部ベンダーの多様性や対応可能な病院規模とは有意な関連が見られず、システム選定より活用度が重要と示唆された

出典:J Med Syst / Does System Choice Matter? Influence of Hospital Information Systems on Digital Maturity.

サトシサトシ
電子カルテを入れ替えるだけでは何も変わらない。データが本当に連携されるかどうか、要はそこに尽きる。