2026年8月30日(日)の Dose

8本(論文7・リリース1)

小児病院のEHRで発注時の操作回数を減らす介入を行い、効果を検証したという論文。

  • 米国の小児3病院で2024年の入院薬剤オーダーを対象に、頻用薬にデフォルト設定を導入する前後比較を行った
  • 22件のオーダーで操作回数の中央値は3.20から0.39に減少した(p<0.001)
  • 新設リストの採用率は9.6%から15.8%への上昇にとどまり、システム全体への効果は限定的だった

出典:Appl Clin Inform / Reducing Order Friction in Pediatric Electronic Health Record Systems: A Quasi-experimental Pre-Post Analysis.

サトシサトシ
発注時の手間を減らす設定は現場にありがたいはず。ただ普及率が上がらないと効果は薄いですね。

脳出血患者の3カ月後mRSをChatGPT-4o miniで予測し、医師の予測と精度を比較したという論文。

  • 409人の脳出血患者を対象に、入院24時間以内のデータからGPT-4o miniと神経内科医2名がmRSを予測した
  • GPTの予測は実際の転帰との相関がr=0.64で、良好転帰の判別はAUC0.86と医師平均の0.85と同程度だった
  • GPTは3カ月後のmRSを平均0.99点過小評価する傾向があり、高齢者や軽症例では相関がさらに弱まった

出典:J Neurol Sci / Assessing the feasibility of ChatGPT in predicting outcomes after intracerebral hemorrhage.

サトシサトシ
医師と同程度と言うが、過小評価の癖があるモデルを予後説明にそのまま使うのは早い。
論文 画像診断AI 注目

台湾でスマホ撮影の口腔病変をAIがトリアージし、地域がん検診での実地性能を検証したという論文。

  • 台湾東部で2025年6月から12月に602人を対象に、非専門スタッフが撮影した口腔内画像をAIで3段階に判定した
  • 高リスク判定の感度は75.0%、陽性的中率は17.6%で、判定区分ごとのAUCは0.93から0.96だった
  • 陽性的中率は低く、単独診断ではなく専門医への紹介優先度を補助する位置づけにとどまるとした

出典:JMIR Mhealth Uhealth / Mobile AI-Assisted Oral Lesion Triage for Community Oral Cancer Screening: Prospective Field Evaluation Study.

サトシサトシ
現場で使うAIには感度より的中率が効いてくる。今回は的中率が低めで、運用の設計が問われそうです。
論文 画像診断AI 注目

網膜画像から全身疾患を検出するAIモデルRETFoundと従来モデルを比較したという論文。

  • SEED研究など複数のデータセットで、RETFoundと3種の従来型AIモデルを様々な学習データ量で比較した
  • 高血圧検出では学習画像100枚でRETFoundのAUCが0.705、ResNet50は0.634と有意差があった(p<0.0001)
  • 眼疾患検出では学習データが十分ある場合、RETFoundと従来モデルの性能差はほぼ消失した

出典:Lancet Digit Health / Performance and label efficiency of traditional deep-learning models and a retina-specific foundation model for ocular and systemic disease detection: a retrospective comparative study.

サトシサトシ
腎臓病まで眼底写真から拾う発想は面白い。ただ僕が見る限り、優位性は少データの場面に限られる。
論文 臨床意思決定支援 注目

緑内障手術の推奨をChatGPT・Copilot・Geminiの3つのLLMで比較検証したという論文。

  • 実際の症例記録を単純・複雑の2群に分け、3つのLLMに緑内障手術の方針とその根拠を提示させた
  • 複雑症例では特にGeminiで安全性リスクの評価が有意に上昇した(p=0.009)
  • 単純例では実用的な回答だったが、複雑例では3モデルとも論拠の質が低下し補助的な位置づけにとどまるとした

出典:Semin Ophthalmol / Evaluation of Large Language Model-Generated Recommendations in Glaucoma Surgical Decision-Making.

サトシサトシ
複雑な症例ほどAIの根拠が怪しくなるのは想像通りだ。単純な症例での安定こそ実装の入り口になる。

臨床医が生成AIを使って開発したePROMアプリの、実運用後に見つかった不具合を検証したという論文。

  • 6種の下部尿路症状評価票を統合したアプリを対象に、コード監査や78症例のスコアリング再検証など複数の保証活動を行った
  • 自動テストは78症例すべて通過していたが、独立レビューで17件の臨床・方法論上の修正点が見つかった
  • 外部の解析タグが混入しており、自社が謳う「ローカルのみ保存」というプライバシー方針と食い違っていた

出典:Int J Med Inform / Clinician-led, AI-assisted clinical software development: multi-domain verification of a deployed ePROM application.

サトシサトシ
動くだけでは足りないという教訓。臨床でAIツールを使うにはこの手の第三者チェックが要ります。

RAGを使うことで緑内障診療におけるLLMの臨床推論が改善するかを検証したという論文。

  • 40件の実症例をシナリオ化し、GPT・Gemini・GrokをRAGありなしの計6条件で眼科専門医の回答と比較評価した
  • RAG併用群は全モデルで評価が有意に向上し、GPTでは平均差0.119(95%CI 0.068-0.173)だった
  • 評価者間の一致率は限定的で、AIと人間の比較解釈には慎重さが必要だとした

出典:Adv Ophthalmol Pract Res / Evaluating large language model clinical reasoning in glaucoma using retrieval-augmented generation.

サトシサトシ
RAGで良くなると言っても、採点する側の一致率が低いなら結論はまだ仮の段階だと思う。
リリース その他

介護・福祉施設向けのシフト自動作成アプリ「shiftsemi」の提供が始まったという発表。

  • 介護・福祉施設の施設長自身が生成AIを使い、希望休や夜勤条件などを反映したシフト作成アプリを開発した
  • 2026年8月29日に提供開始。料金は月額基本2,000円に職員1人あたり100円を加算する仕組みで、40日間の無料体験がある
  • 完全自動化ではなく、自動作成した案を画面上で微調整する設計にしたとしている

出典:一般社団法人日本福祉人財開発協会 / 「介護施設のシフト作成が大変すぎる」現場の声から誕生、施設長が生成AIと開発したシフト自動作成アプリ「shiftsemi(シフトゼミ)」を提供開始

サトシサトシ
医療者向けではないけれど、現場の声から始まった開発というのは共感します。外来でも使えそうな発想です。