英国NHSが未診断高血圧の発見に使う予測モデルを、180万人規模で独立検証したという論文。
- 北西ロンドンの高血圧未診断者180万人超を対象に、地域医療委員会が導入した予測モデルの実運用性能を後ろ向きに検証した
- 感度62.7%、特異度60.7%で、陽性的中率は31.5〜42.9%にとどまり、より単純な回帰モデルと同程度の性能だった
- 感度・特異度は年齢や人種、居住地の社会経済状況によって差があり、高齢者や困窮地域で感度が高い傾向がみられた
出典:J Med Internet Res / Evaluation of a National Health Service Machine-Learning Model for Hypertension Case-Finding: Retrospective Cohort Study.
サトシ 実際に導入されているモデルを独立に検証したら性能はそこそこという結果は貴重だと思う。導入前の評価体制の話でもある。
妊婦と新生児の電子カルテデータから合併症リスクを予測するAIエージェントMoChiAgentを開発したという論文。
- 440万件超の診療記録で開発し、母体26万件・児2.3万件規模の独立コホートで外部検証を行った
- 常位胎盤早期剥離と前期破水の予測でAUROCはいずれも0.89、早産の予測は0.91だった
- 特定の母体クラスターに生まれた児は新生児黄疸のリスクが2.81倍(HR)高いなど、母児間のリスク連鎖も示された
出典:Nat Med / Prediction of maternal and infant outcomes from longitudinal electronic health records with a Mother-Child AI agent.
サトシ 440万件規模のデータで学習し、外部コホートでも検証しているのは中国の医療データの厚みを感じる。この規模はなかなか真似できない。
多階層オミクスデータを統合した機械学習モデルで臨床的低リスク前立腺癌の急速進行を予測したという論文。
- TCGA-PRADの498例のコピー数変化やエピゲノム、トランスクリプトームを統合し、LASSO-Coxモデルで解析した
- ZNF268遺伝子の低発現群は無再発生存と関連し(HR2.79、95%CI 1.36-5.71、p=0.0049)、外部2コホートでも生化学的再発と関連した
- 解析はTCGAと外部コホートのレトロスペクティブデータに基づき、前向きの検証はまだない
出典:★NPJ Digit Med / A novel multiomics machine learning signature identifies rapid progression in clinically low risk prostate cancer.
サトシ 低リスクと言われても進行が速い人がいる、という指摘は臨床の声とも合います。ただ遺伝子解析は日常の外来にはまだ距離がありそうです。
ヨルダンの新生児集中治療室で培養確定敗血症を機械学習で予測したという論文。
- 2018〜2024年に入院した新生児3274例の電子カルテデータで、XGBoost・決定木・ニューラルネットの3モデルを比較した
- テストセットでXGBoostが正解率94%、感度98%、AUC0.98と最も高く、CRPや血小板数、在胎週数が重要な予測因子だった
- 単施設のレトロスペクティブ解析で、外部検証や前向き研究は今後の課題としている
出典:JMIR Med Inform / Machine Learning-Based Prediction of Culture-Confirmed Neonatal Sepsis in a Tertiary Neonatal Intensive Care Unit: Retrospective Cohort Study.
サトシ 感度98%は魅力的だけど、単施設データで作ったモデルがそのまま日本のNICUで使えるかは別問題だと思います
局所進行NSCLC患者227人のカルテをNLPで解析し、放射線肺臓炎の予測モデルを開発したという論文。
- 米国の高volume施設で化学放射線療法を受けた局所進行NSCLC患者227人を対象に、10万件超のカルテから16症状の時系列をNLPで抽出した
- NLP由来の症状データを加えたモデルのAUCは0.759で、線量データのみ(0.613)や臨床変数のみ(0.635)を上回った
- 放射線肺臓炎の発生は31件のみで単施設の後ろ向き解析にとどまり、前向きの外部検証が今後必要とされた
出典:EClinicalMedicine / Natural language processing-based model to predict radiation pneumonitis in patients with locally advanced non-small cell lung cancer undergoing chemoradiotherapy: a retrospective cohort study.
サトシ カルテの『咳が続く』のような記述をちゃんと拾えると聞くと、日々の記録も無駄じゃないなと思います
続発性副甲状腺機能亢進症の術後再発を予測する機械学習モデルとオンライン計算ツールを2施設で検証したという論文。
- 副甲状腺全摘術を受けた続発性副甲状腺機能亢進症の患者391人を2施設のコホートで訓練・内部検証・外部検証に分けて解析した
- ランダムフォレストモデルのAUCは内部検証0.890、外部検証0.889で、術後1・3か月時点のiPTHが最重要な予測因子だった
- 対象は透析患者を中心とした腎性副甲状腺機能亢進症で、術式や地域が限られた2施設のデータにとどまる
出典:Int J Med Inform / A machine learning prediction model and online calculator for postoperative recurrence of secondary hyperparathyroidism: A dual-center development and validation study.
サトシ 腎臓内科ではお馴染みの続発性副甲状腺機能亢進症。オンライン計算機まで作って外部検証したのは実務的だ
ニュージーランドと中国の糖尿病コホートで心血管リスク予測式の予測因子を比較し、高所得国モデルの国外転用に伴う較正誤差を検証したという論文。
- NZ(2004〜18年、47,958人)と中国(2010〜18年、46,558人)の糖尿病患者コホートで、性別ごとに16因子から心血管5年リスク予測式を独自に導出した
- 年齢の影響が国により大きく異なり(女性のHRはNZ1.61倍/10歳、中国2.51倍/10歳)、NZ式を標準較正しても中国データでの期待/観測比は0.81〜0.94にとどまった
- 年齢の係数だけを中国のデータに置き換えると期待/観測比は1.02〜1.03まで改善し、標準的な較正だけでは不十分だと示された
出典:BMJ / Simultaneous derivation, validation, and comparison of predictor hazard ratios for cardiovascular risk prediction equations in patients with diabetes from high versus non-high income countries: cohort study.
サトシ 海外のリスク予測式をそのまま輸入すると年齢の効き方がずれる。日本のデータでも同じ検証がいずれ要る
ドイツの大学病院で電子カルテから入院患者の転倒リスクを予測し、SHAPで説明可能にした後ろ向き研究という論文。
- 2016〜2022年の入院患者データでアンサンブルモデルを構築し、SHAP値をもとにリスクプロファイルを9クラスタに分類
- テストセットでのAUROCは0.95、AUPRCは0.36で、ガイドライン項目のみの基準モデルを上回った
- 単一のドイツの大学病院データによる検証にとどまり、外部施設での検証が今後必要とされている
出典:Npj Health Syst / Explainable SHAP-space fall risk profiling from electronic health records for inpatient prevention planning.
サトシ 転倒対策を一律にしないための切り分けとしては良さそうですが、単施設データなので自院にそのまま使えるかは別問題です。
側弯症の装具治療の中期効果を、治療前後のX線画像から深層学習で予測するモデルを2施設のデータで外部検証したという論文。
- 思春期特発性側弯症294例を2施設で解析し、装具前後のX線画像と臨床情報から中期Cobb角を予測する深層学習モデルを開発した
- 外部検証でのCobb角予測誤差はT curveでMAE 5.13度(R²=0.678)、TL/L curveで3.89度(R²=0.723)だった
- 予測は装具管理における個別リスク評価と共有意思決定を補助する位置づけで、他施設への一般化可能性は今後の検証課題として残る
出典:★Artif Intell Med / AI-based mid-term effectiveness prediction of bracing treatments for adolescent idiopathic scoliosis.
サトシ 整形外科の話ですが、装具治療は患者説明が難しい領域です。数値で見通しを示せるのは外来での説明に役立ちそうです。
退院サマリーの文章から心臓外科手術後30日以内の再入院リスクを予測するAIモデルを、8,275例のデータで開発・検証したという論文。
- 2014〜2021年の心臓外科患者5,244例の退院サマリーで一般医療LLMを再入院予測用に微調整し、2021〜2024年の3,031例で時系列検証した
- AUCは0.71で感度78.6%・特異度50.2%、予測リスク上位群は下位群より再入院時在院日数が長かった(7.1日対3.7日、p<0.001)
- モデル精度は2022〜2024年にかけて低下し(AUC 0.78→0.67)、時間経過に応じた再調整の必要性が示された
出典:Ann Thorac Surg Short Rep / A Cardiac Surgery-Specific Artificial Intelligence Model to Automate Risk Stratification for 30-day Readmissions Using Discharge Summaries.
サトシ 退院サマリーから自動でリスクを拾えるのは魅力ですが、数年で精度が落ちるなら再学習の体制とセットで考えたいところです。
TOPPANが東京大学医学部附属病院と、更年期女性の健康リスクをAIで予測するモデル開発の共同研究を始めたという発表。
- 自社の医療データサービスが持つ約2万例のリアルワールドデータを使い、周閉経期の検査値変化を分析する
- 研究期間は2028年3月までで、東大病院が研究デザインと医学的検証を、TOPPANがデータ解析を担当する
- 共同研究の段階であり、リスク予測モデルの実用化や精度についてはこれからの検証次第だとしている
出典:TOPPANホールディングス株式会社 / TOPPAN、東京大学とAIによる女性の健康リスク予測に関する共同研究を開始
サトシ 更年期の検査値変化をAIで捉える試みは面白いですが、実用化までは道のりが長そうです
メイヨークリニックのEHRデータで希少感染症を早期に検出するAI診断支援モデルを開発したという論文。
- 2010〜2023年にメイヨークリニックへ入院した患者11,494人(希少感染症1,494人、対照1万人)のEHRデータを解析した
- 入院後3日以内のデータで学習したモデルは正解率93.2%、AUC0.947、特異度97.3%、感度61.9%だった
- 外部データセットでの検証や前向き試験はこれからで、実装前に判定閾値の最適化も予定されている
出典:Int J Med Inform / Machine learning approaches to identify rare fungal and tuberculous infections in hospitalized patients.
サトシ 非典型感染症の診断が遅れがちなのは臨床あるあるで、入院3日以内に使えるという設計は現実的だと思います。
オピオイド使用障害を判定するML表現型を救急外来に実装し前向き検証したという論文。
- 米国の1医療システム内3か所の救急外来で、トリアージ時点までのデータを使うランダムフォレスト分類器を電子カルテに組み込み、臨床試験の候補者を実時間で抽出した
- 遡及的な検証ではAUROC0.99と高精度だったが、前向きの医師判定との照合では感度は人口重み付け推定で0.40にとどまった(特異度0.996)
- 抽出対象は866,569件中28,284件(3.26%)で、遡及的評価と前向き実装後の性能には大きな差があることが示された
出典:PLOS Digit Health / Implementation of an opioid use disorder (OUD) machine-learning phenotype in real-time for the ADAPT clinical trial.
サトシ 遡及検証のAUROC0.99と実運用の感度0.40のギャップこそ、AI導入の現場で一番よく起きる話だと思います。
170万件の心電図で事前学習した基盤モデルECG-CLIPを外部データセットで検証したという論文。
- Scripps Healthの170万件超のECGと所見レポートで事前学習し、MIMIC-IVの80万件超のECGを用いて外部検証を実施した
- 陽性ラベル10件のみの少数条件で、急性心筋梗塞検出のAUCが0.910(比較モデル0.884)など主要タスクで既存基盤モデルを上回った
- 同等のAUCに達するのに必要な学習データは平均90.8%少なく済んだが、実臨床への展開効果はまだ検証されていない
出典:★Lancet Digit Health / Development and external validation of a contrastive learning foundation model for ECG-based prediction of cardiovascular diseases and outcomes.
サトシ ラベルが少なくても性能が出るという話は、データの乏しい施設ほど恩恵が大きいはず。外部検証まで通した点は評価できます。
入院患者の暴力リスク予測において、カルテ原文と要約文のどちらが有効かを比較したという論文。
- 米国の1施設で2021〜2023年の入院時暴力事例と対照10件をマッチングし、事前72時間のカルテ記録を用いて予測モデルを比較した
- 原文で学習したClinical-Longformerが最良(F1 0.776、AUROC 0.959)で、要約文に置き換えるとF1は0.465〜0.510まで低下した
- Llama-3.1-8BやMedGemma-27Bも原文学習の方が要約より高精度で、単一施設の後ろ向き研究であり前向き・外部検証はまだない
出典:Can J Psychiatry / Investigating Whether Summarizing Raw Clinical Text Affects the Prediction of In-Hospital Violence: A Retrospective Case Study: Évaluation de l'effet du résumé des textes cliniques bruts sur la prédiction de la violence en milieu hospitalier : étude de cas rétrospective.
サトシ 要約は読みやすくなる一方で、予測に効く手がかりまで落としてしまうことがあるという指摘は実務でも意識したいところです。
IgA腎症の病理レポート原文をLLMで解析し、予後に関わるサブタイプを見出したという論文。
- 中国2施設のIgA腎症患者3078人を対象に、1施設のデータでサブタイプを見出し、もう1施設のデータで外部検証を行った
- 低障害型と高障害型の2サブタイプに分かれ、高障害型は既存のOxford分類での調整後も腎複合エンドポイントのリスクが高かった(HR 2.57、95%CI 1.25-5.29)
- 分類の根拠は主に慢性尿細管間質障害と炎症所見で、ステロイド反応性との関連は探索的な結果にとどまる
出典:Nat Commun / Large language models decode narrative pathology reports to define clinically relevant subtypes in IgA nephropathy.
サトシ 構造化スコアが拾いきれない情報が病理レポートの文章に残っているという発想が面白い。他疾患への応用も気になります。
英オックスフォードシャーの社会的ケア記録2万7590人分を機械学習で解析し、入院や死亡を予測できるか調べたという論文。
- 英オックスフォードシャーで社会的ケアを受ける成人の記録2万7590人分(地域の対象者の約9割相当)を用いて、入院・死亡・ケアプラン変更の3つの予測モデルを開発した
- 入院と全死亡はAUROCが最大0.893とおおむね良好な精度で予測できた一方、ケアプランの変更予測は精度がばらつき、より難しいことが分かった
- 事後解析ではケアニーズの高まりが臨床的な悪化より先に現れる傾向がみられ、非臨床データを使った予測の実現可能性を示した
出典:Npj Health Syst / Anticipating health and care trajectories from routinely collected social care records.
サトシ 臨床情報が無くても介護記録だけでここまで予測できるのは面白い。日本で同じことができる基盤があるかは別問題だと思う。
脳出血患者の3カ月後mRSをChatGPT-4o miniで予測し、医師の予測と精度を比較したという論文。
- 409人の脳出血患者を対象に、入院24時間以内のデータからGPT-4o miniと神経内科医2名がmRSを予測した
- GPTの予測は実際の転帰との相関がr=0.64で、良好転帰の判別はAUC0.86と医師平均の0.85と同程度だった
- GPTは3カ月後のmRSを平均0.99点過小評価する傾向があり、高齢者や軽症例では相関がさらに弱まった
出典:J Neurol Sci / Assessing the feasibility of ChatGPT in predicting outcomes after intracerebral hemorrhage.
サトシ 医師と同程度と言うが、過小評価の癖があるモデルを予後説明にそのまま使うのは早い。
TAVI後の長期死亡をマルチモーダルAIで予測し、スイスと日本の2施設で外部検証したという論文。
- 2014年から2023年にTAVIを受けた患者3991例(開発2985例、外部検証1006例)の多モーダルデータでAIモデルを開発した
- 外部検証でのC-indexは全死亡予測0.712、心血管死予測0.776で、従来のSTS-PROMなどのリスクスコアを上回った
- 外部検証は日本の1施設(1006例)のみで行われた、後ろ向きコホートでの検証にとどまる
出典:★Lancet Digit Health / Multimodal artificial intelligence-based long-term mortality prediction after transcatheter aortic valve implantation: a multicentre development, validation, and testing study.
サトシ 外部検証が日本1施設だけなのが気になる。C-index0.71は「使える」というより「まだ研究段階」の数字だと僕は思う
HER2陽性乳がんの大規模臨床試験検体でAIによる腫瘍浸潤リンパ球スコアリングを検証したという論文。
- 第3相APHINITY試験の乳がん検体4262例を対象に、手動・デジタル・AIによる腫瘍浸潤リンパ球(sTIL)スコアを比較した
- AIスコアはリンパ球高値と低値の判定を1035例中120例で手動判定から変更し、この群でペルツズマブの効果差が拡大した
- 手動判定とAI判定の一致は中程度にとどまり、独立コホートでの妥当性確認が今後の課題としている
出典:Lancet Oncol / Manual, digital, and AI tumour-infiltrating lymphocyte scoring: a secondary analysis of the APHINITY randomised trial.
サトシ 大規模第3相試験の検体を使って検証したのは説得力がある。手動とAIの一致が中程度というのは今後の実装で効いてくる論点だと思う。
13種のLLMを比較して妊娠合併症の知識ベースPregBaseを構築したという論文。
- 文献8420報を対象に13種のLLMと7種のプロンプト戦略を比較し、最良の手法で関係性を抽出して知識グラフを構築した
- 13,303件のエンティティと64,087件の関連からなる知識グラフを構築し、早産・妊娠糖尿病・子癇前症の新規バイオマーカー候補を提示した
- 検証は既知の臨床知見を再現できるかというリンク予測にとどまり、実際の患者データでの前向き検証は行われていない
出典:★Artif Intell Med / PregBase: A comprehensive knowledge base for clinically relevant knowledge representation and biomarker prediction in pregnancy.
サトシ LLMでの知識抽出を土台にする発想は今っぽい。ただ知識ベースの精度が抽出元LLMの精度にそのまま引っ張られる点は注意が必要。
音声によるパーキンソン病スクリーニングAIの高い精度(AUC0.85-0.97)の大部分が、実は年齢の交絡によるものだったという論文。
- Bridge2AI音声データセットを用い、パーキンソン病253人・認知症221人の分類モデルを年齢のみのロジスティック回帰と比較
- 全コホートでは年齢のみのモデルとAIモデルの精度に統計的な差がなく(AUC0.875対0.843, p=0.36)、年齢が主要な手がかりだった
- 年齢を60〜80歳に絞り交絡を調整すると、疾患特異的な信号は残る(AUC0.726〜0.798)もののフルコホートの数値より大きく下がった
出典:J Med Internet Res / Demographic Confounding in Voice-Based Parkinson Disease Screening: Methodological Analysis of the Bridge2AI Voice Dataset.
サトシ AUC0.9超えという数字がどこまで疾患そのものを見ているのか、年齢の影ではないか疑う視点は他の音声AI研究にも当てはまる話です
眼底写真からAIが算出する頸動脈アテローム性動脈硬化スコアを、韓国の健診受診者10万8982人で多施設外部検証したという論文。
- 韓国の健診機関5施設で2018〜2021年に眼底写真と頸動脈エコーまたは冠動脈カルシウムスコアを撮影した10万8982人を解析
- 頸動脈アテローム硬化の検出でAUROCは0.700、スコアが10ポイント上がるごとに頸動脈硬化・冠動脈石灰化のオッズ比はいずれも1.29
- AUROC0.700は単独スクリーニングとしては中程度で、既存の心血管リスクスコアに上乗せする位置づけにとどまる
出典:JMIR Med Inform / Multicenter External Validation of an AI-Based Funduscopic Carotid Atherosclerosis Score and Assessment of Its Association With Coronary Artery Calcification: External Validation Study.
サトシ 眼底写真だけで動脈硬化のリスクがある程度見えるのは面白いですが、AUROC0.7だと単独診断には使えない印象です
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)患者の睡眠段階判定を、SpO2情報を組み込んだAIモデルで改善したという論文。
- 公開データセット3種、計145万件以上のサンプルを用いて重症OSA患者に絞った睡眠段階判定モデルの性能を検証
- SpO2情報を使わないモデルと比べ、重症OSA患者で正解率0.18ポイント・マクロF1 1.14ポイント・カッパ係数0.006の改善にとどまった
- 改善幅はいずれもごく小さく、実際の臨床での睡眠判定に使えるかは他手法との比較を含めさらなる検討が必要
出典:★Artif Intell Med / A novel algorithm integrating multimodal information for improving OSA-related sleep staging.
サトシ 0.006ポイントの改善という数字を正直に書いているのは好感が持てます。派手さより誠実さです
急性腎障害を予測し要因を説明するLLM二段階モデルを、中国4施設14万件超の入院データで開発・外部検証したという論文。
- 中国4施設・入院14万637件を対象に、24時間以内のAKI発生を予測するAKI-PMと、要因を説明するAKI-RAMの二段階モデルを開発した
- 内部検証でAUC0.95、4施設の外部検証でもAUC0.92〜0.96、陽性的中率は0.68〜0.74だった
- 6人の腎臓内科医による200例評価でAKI-RAMは高評価(4.18〜4.88)を得たが、評価者間一致は中程度にとどまった
出典:Nat Commun / Large language model driven multicenter prediction and explainable risk attribution of acute kidney injury.
サトシ 偽陽性の多さが実装を阻んできた領域で、説明つきの予測モデルを腎臓内科医が評価しています。腎臓領域の人は要チェックです。
大動脈解離術後の神経合併症を予測するMDT型LLMフレームワークを開発・前向き検証したという論文。
- 2020〜2024年の後ろ向き763例で開発し、2024〜2025年の前向き120例で検証した
- MDT構成+文脈学習のGPT-5が最高性能(AUC0.84)を示したが、単体設定との差は有意でなかった(P=.18)
- 術後神経合併症は後ろ向き13.0%、前向き15.8%に発生。多職種構成自体の上乗せ効果は確認できなかった
出典:J Med Internet Res / A Multidisciplinary Team-Based Large Language Model Framework for Predicting Postoperative Neurological Complications in Acute Type A Aortic Dissection: Model Development and Validation Study.
サトシ マルチエージェントにすれば良くなるとは限らない、という結果自体が今のLLM熱に対する良いブレーキになる。
薬物乱用患者の重症化・死亡を院内データから予測する機械学習モデルを開発したという論文。
- 薬物乱用による入院2万3454件を対象に、12時間以内の人工呼吸・昇圧薬開始・死亡を予測するモデルを開発した
- XGBoostのAUCは0.93で、既存の早期警告スコアMEWS(0.79)を上回った
- 救急搬送記録や請求データを除いても予測性能は低下せず、電子カルテ情報のみで十分だった
出典:JAMIA Open / Development and evaluation of a multi-source machine learning model to predict critical illness and death in patients with substance misuse.
サトシ 既存の早期警告スコアより明確に精度が高い数字を出せているのは実装を考えるうえで参考になります。
免疫チェックポイント阻害薬投与患者で、通常CTからのAI冠動脈石灰化評価と予後の関連を調べたという論文。
- Mayo Clinicの3施設で、2011〜2022年にICI開始前の胸部CTを撮影した患者1,873人を対象に、AIによる冠動脈石灰化(CAC)スコアを算出した
- CACスコアが高いほど1年以内の心筋梗塞リスクが上がった一方(P=0.0032)、全死亡との関連はなく(P=0.79)、CAC100超でもスタチン投与は15%にとどまった
- 後ろ向き研究で、全死亡との無関連はがん関連死の多さ(1年で50.7%)を反映した可能性があるとしている
出典:Digit Health / Assessing the prognostic value of artificial intelligence for opportunistic prediction of coronary artery calcium score on routine non-gated computed tomography in patients treated with immune checkpoint inhibitors.
サトシ 検診目的でないCTのついでにリスクが拾えるという話は、外来の動線を考えるとありがたいです
Doctorbookと日立製作所が、歯科×AI領域の健康支援サービスで基本合意書を締結したという発表。
- 2026年度に歯科×AI領域でのPoCを実施し、2027年度の事業化を目指すとして、日立のAI活用の知見とDoctorbookの歯科臨床データ基盤を組み合わせる方針を示した
- 歯科臨床データと生活習慣病データを組み合わせたリスク評価モデルの構築や、スマート歯ブラシなどIoTデバイスの活用を共同研究のテーマに挙げている
- 現時点は基本合意の段階で、具体的なサービス内容や提供時期は今後の協議次第としている
出典:株式会社Doctorbook / 株式会社Doctorbook、日立製作所と歯科×AI領域における健康支援サービスの共同研究に向け基本合意書を締結
サトシ 口腔データと全身疾患を掛け合わせるという話自体は前からあるが、大手が本気で乗ってくるかは2027年の事業化の中身次第だ
983人分・40組織25712枚の病理画像から深層学習で組織別の老化時計を作ったという論文。
- GTExコホートの983人、40組織のホールスライド病理画像25712枚を深層学習で解析し、組織構造から生物学的年齢を推定するモデルを作った
- 推定した組織年齢はテロメア短縮や潜在病変など既知の老化指標と相関し、血液サンプルからの推定にも応用した
- アルツハイマー病や脳卒中、クローン病など8疾患について、独立コホートで臓器別の老化加速との関連を確認した
出典:Nat Med / Histological aging signatures for monitoring tissue-specific aging and disease.
サトシ 血液から臓器の老化度が読めるとしたら面白いけど、まだ研究段階。臨床導入までは距離があると思う
救急の重症患者を対象に、LLMによる多職種エージェントシステムでせん妄リスクを予測したという論文。
- MIMIC-IVで開発し、中国2施設のコホートと米国eICU-CRDで外部検証した。機械学習予測にLLMの仮想専門医推論とRAGを組み合わせた
- 精度・感度・特異度はMIMIC-IVで0.749/0.762/0.747、中国コホートで0.731/0.708/0.736、eICU-CRDで0.670/0.708/0.665だった
- カルテレビューと臨床医評価で解釈可能性と有用性を確認したが、外部コホートでは精度がやや低下した
出典:Cell Rep Med / A large language model-driven multidisciplinary AI agent system predicts delirium in emergency critically ill patients.
サトシ 外部検証で精度が落ちるのはよくある話。0.75から0.67まで下がってる。多施設で試して初めて実力が分かる。
救急指令の自由記述テキストを使い、心肺症状疑い患者の重症化リスクを予測したという論文。
- 中国南寧市の2021〜2024年のEMS通報記録28,332件でモデルを開発し、2025年の10,191件で時間的に独立した検証を行った
- 構造化情報のみのAUROCは0.681だったが通報テキストを加えると0.803、多モーダル統合でも0.808にとどまり、上位10%の高リスク群に全体の32.1%の重症例が集中した
- キャリブレーションは許容範囲内だったが、前向き検証と外部データでの評価が今後の課題として残った
出典:J Med Internet Res / Predicting Critical Outcomes in Suspected Cardiopulmonary Emergencies Using Dispatch Narratives: Temporal Validation Study.
サトシ 通報の書き起こしだけでAUROCが0.68から0.80まで上がる。現場のテキストデータ、まだ活用しきれてないところが多いと思う。
胸部X線画像から検査データなしで5年以内の慢性腎臓病発症リスクを予測するAIモデルを検証したという論文。
- 米国2施設で腎臓病のない成人97,553人の胸部X線を用い、AIモデルによる5年以内のCKD発症予測を後ろ向きに検証した
- 外部検証でのC統計量は0.713(画像と臨床情報の併用モデルは0.734)、糖尿病患者では0.607まで低下した
- 外部検証集団では絶対リスクが過大評価されており、実運用前に施設ごとの再較正と前向き評価が必要だとしている
出典:EClinicalMedicine / A deep learning model for opportunistic screening of chronic kidney disease using chest radiographs: a multicentre validation study in the USA.
サトシ 検査なしでCKDリスクが分かるのは魅力だが、糖尿病患者での精度低下は実装前に潰す必要がある
救急外来からの入院予測モデルに人種を入れるかどうかで、予測確率がどれだけ動くかを検証したという論文。
- MIMIC-IVの救急外来データで、人種を入力に含むモデルと含まないモデルを学習させ、人種群ごとに予測入院確率の差を比べた
- 人種を入れると予測確率は白人で3.2%高く、黒人で1.5%、ヒスパニックで3.0%低くなり、効果量はd=1.00、-1.23、-1.35だった
- 人種構成を揃えた条件でも白人1.22%とヒスパニック-1.00%の差は残り、アジア系0.2%とその他0.5%では差は小さかった
出典:JAMIA Open / Assessing the effect of race on machine learning models predicting hospital admissions from emergency department.
サトシ 変数から人種を抜けば公平になる話ではない。抜いた後に何が代理になるかまで見ないと意味がない
超低深度の全ゲノム解析だけでがんを検出する深層学習モデルを、複数の独立コホートで検証したという論文。
- セルフリーDNAの超低深度全ゲノムデータに対し、腫瘍含有率の層ごとに順次ファインチューニングするTransformerベースのモデルを作った
- 17がん種の独立テストでAUC0.930、別プラットフォームの外部データでもAUC0.929(感度0.78、特異度0.92)だった
- 進行非小細胞肺がんの化学免疫療法例では、モデル陰性が無増悪生存の良さと関連した(HR0.49、95%CI 0.29から0.82)
出典:Mol Biomed / Generalizable cancer detection from ultra-low-pass WGS via deep contextual modeling of cfDNA sequences.
サトシ 低深度で回るなら単価が下がる。精度より、どの価格帯に落ちるかで使われ方が決まる
米国のAll of Us参加者31万6624人で、遺伝的祖先ごとの大腸がん発症の違いを調べたという論文。
- 1986年7月から2023年10月までの電子カルテと全ゲノム配列が揃う31万6624人を対象に、大腸がん2914人の発症を後ろ向きに解析した
- 欧州系は他の祖先を合わせた群より発症のオッズが1.50倍高い一方、到達年齢で見るとラテン系1.30倍、東アジア系1.43倍と逆になった
- 多民族のXGBoostモデルはROC-AUCが0.898だったが、適合率と再現率のAUCは0.338にとどまった
出典:JAMA Netw Open / Genetic Ancestry and Colorectal Cancer in the All of Us Dataset.
サトシ 診断年齢の中央値が祖先で違うところが効きますね。検診の開始年齢を一律で語りにくくなります
MRI予約の無断キャンセルをMLで予測し、電話介入の効果を検証した論文。
- 大学病院のMRI外来予約38141件でXGBoostなど3手法を比較し、高リスク患者への電話リマインダー介入を試験した
- 検証セットのAUROCは0.65で、介入群と対照群の無断キャンセル率に有意差はなかった(21.9%対22.0%、P=.48)
- 電話がつながった患者に限れば無断キャンセル率は18.4%で、つながらなかった26.7%より低かった
出典:JAMIA Open / From prediction to practice: machine learning models and real-world interventions for magnetic resonance imaging appointment no-shows in a hospital setting.
サトシ 予測精度が良くても電話が繋がらなければ意味がない。介入をどう届けるかの設計が本題だと感じる。
うつ・不安症へのインターネット認知行動療法で効果が出る患者を治療開始前に予測するモデルを開発したという論文。
- 大うつ病・パニック症・社交不安症の患者1790人を対象に、臨床・社会人口統計・遺伝データを組み合わせた予測モデルを作った。
- 予測精度はAUC0.732〜0.749で、自己申告データのみのベンチマーク(AUC0.695)より有意に高かった(P=.04など)。
- 遺伝的リスクスコアを加えても予測精度は上がらず(P=.97)、実際の治療前スクリーニングでの前向き検証はこれから。
出典:J Med Internet Res / Prediction of Clinically Meaningful Improvement After Internet-Delivered Cognitive Behavioral Therapy for Depression and Anxiety Disorders: Machine Learning-Based Predictive Model Development and Temporal Validation Study.
サトシ 治療を始める前に「効きにくい人」が分かるなら、外来での説明の仕方も変えられる。遺伝子情報が効かなかった点も正直でいい。
心筋梗塞に伴うVA-ECMO装着患者の院内死亡を予測する解釈可能なモデルを多施設レジストリで開発したという論文。
- 84施設1,833例のCSECLSレジストリを用い、1施設をホールドアウトとして残り83施設のデータでモデルを開発した。
- 採用モデルのホールドアウト施設での成績はAUROC0.83、既存のSAVEスコアより高い判別性能を示した。
- SHAP解析では人工呼吸や昇圧薬の量が重要な予測因子と分かったが、リスクを過小評価する傾向があり施設ごとの再調整が要るとしている。
出典:Int J Med Inform / Interpretable mortality prediction at VA-ECMO establishment in acute myocardial infarction: A multicenter study from the CSECLS registry.
サトシ AUROC0.83は悪くない。ただ既存スコアより優れているというデータほど、外部での再現性を疑ってかかりたくなる。
感染が疑われるウガンダの入院児で、指先の脈波を使った死亡リスク予測モデルの実現可能性を調べたという論文。
- ウガンダの6病院で感染疑いにより入院した5歳未満児を対象に、入院時1分間の脈波データから予測モデルを作った。
- 院内死亡率は乳児群7%、年長児群4.1%で、モデルのAUROCは乳児群0.70、年長児群0.67だった。
- 精度は既存のリスクスコアには及ばないが、長時間のモニタリングなしに入院時1分の測定だけで済む点が新しい。
出典:PLOS Digit Health / Admission photoplethysmography-based mortality prediction in hospitalized Ugandan children with suspected or confirmed infection: A feasibility study.
サトシ 高度な機器がなくても、指先の脈波1分でふるいにかけられる。精度は控えめでも、現場で回せる設計であることに価値がある。