2026年8月8日(土)の Dose

10本(リリース2・論文8)

リリース 電子カルテ・記録業務 注目

病院向けにカルテやX線照射録を撮影して送るだけでレセコン入力や保険請求チェックまで行うAIエージェントを提供開始したという発表。

  • 紙カルテや各種書類をスキャンまたは撮影して送信するだけで、既存のレセコンへの入力と保険請求の返戻・加算チェックを行う。
  • 初期費用0円、月額固定費0円、契約期間の縛りなしで、患者1人あたりの従量課金か月額定額プランを選べるとしている。
  • 既存のカルテ・レセコンをそのまま使う設計で、最終的な入力内容の確認と更新は人が行うとしている。

出典:株式会社クラシテク / 株式会社クラシテク、病院向けAIエージェント「SHISHIビョウイン」を提供開始。初期費用・固定費・契約縛りゼロ。カルテやX線照射録を撮って送るだけでレセコン入力完了。加算・返戻チェックもAIが実行。

サトシサトシ
初期費用も固定費もゼロなら、現場は試しやすい。ただ最終確認は人がやる前提だから、業務が本当に楽になるかは運用次第だと思う。
論文 生成AI・LLM 注目

9種類の大規模言語モデルに実臨床の睡眠ポリグラフ検査報告書を解釈させ専門医採点と比較したという論文。

  • トルコの大学睡眠検査室のポリソムノグラフィー記録212件を、単純例と複雑例に分けて9種類のLLMに解釈させた。
  • 完全正答率はモデルにより75.0〜86.3%で、Claude 4.1 Opus・ChatGPT-5・Gemini 2.5 Proが上位を占めた。
  • 複雑例では正答率が最大25.7ポイント落ち込み、閉塞性無呼吸の重症度が中等度の症例で判定が特に難しかった。

出典:Eur Arch Otorhinolaryngol / Performance of nine large language models on real-world polysomnography interpretation for obstructive sleep apnea: a multi-dimensional comparative analysis.

サトシサトシ
9モデル横並びで比べる発想はいい。でも複雑な症例になるとどのAIも崩れる。結局、簡単な問題を解けるかどうかは指標にならない。
論文 生成AI・LLM 注目

精神的な悩みを訴える利用者を模擬し複数のAIチャットボットの応答を臨床的リスク観点で監査する枠組みを示したという論文。

  • 精神的な脆弱性を持つ利用者像を模擬し、Claude・ChatGPT・Gemini・Grok・Llamaなど複数のAIチャットボットと複数ターンの会話をさせた。
  • 9種のチャットボット、30種の利用者像による計810件の会話を13の臨床的リスク項目で採点し、懸念応答は新しいモデルほど少ない傾向だった。
  • 支援的に見える応答がかえって利用者の脆弱性を強める場面が最もリスクが高いパターンとして特定された。

出典:Nat Med / A clinically validated framework for auditing AI chatbot behavior in mental health interactions.

サトシサトシ
チャットボットが優しく寄り添うほど危ういことがある。優しさと安全は別物だと、この研究は静かに言っている。

うつ・不安症へのインターネット認知行動療法で効果が出る患者を治療開始前に予測するモデルを開発したという論文。

  • 大うつ病・パニック症・社交不安症の患者1790人を対象に、臨床・社会人口統計・遺伝データを組み合わせた予測モデルを作った。
  • 予測精度はAUC0.732〜0.749で、自己申告データのみのベンチマーク(AUC0.695)より有意に高かった(P=.04など)。
  • 遺伝的リスクスコアを加えても予測精度は上がらず(P=.97)、実際の治療前スクリーニングでの前向き検証はこれから。

出典:J Med Internet Res / Prediction of Clinically Meaningful Improvement After Internet-Delivered Cognitive Behavioral Therapy for Depression and Anxiety Disorders: Machine Learning-Based Predictive Model Development and Temporal Validation Study.

サトシサトシ
治療を始める前に「効きにくい人」が分かるなら、外来での説明の仕方も変えられる。遺伝子情報が効かなかった点も正直でいい。

産婦人科の外来ポイントオブケア超音波の記録をAIで検知し標準テンプレート導入の効果を検証したという論文。

  • 2018年から2024年の11施設・55.9万件の診療記録を対象に、機械学習でPOCUS処置の記載を自動識別した。
  • BioClinBERTモデルの精度は0.97で、標準テンプレート導入後は算定漏れが10.0%から2.4%に減った(オッズ比0.22)。
  • テンプレートの採用率は12か月で75.1%に達し、算定件数自体は0.6%増にとどまり請求漏れの拾い上げが主な効果だった。

出典:J Med Internet Res / Machine Learning to Identify Point-of-Care Ultrasound and Evaluate Standardized Documentation: Retrospective Operational Cohort Study.

サトシサトシ
記録の質を上げると、診療内容を変えなくても取りこぼしていた算定が拾える。地味だけど経営層に刺さる話だと思う。
論文 生成AI・LLM 注目

病院総合診療科で汎用の大規模言語モデルを2か月試験導入し使い方の変化をアンケートで追ったという論文。

  • 試験開始時と終了時の2回、匿名アンケートを実施した。回答率は開始時71.4%、終了時48.6%だった。
  • 利用率は開始・終了時とも約9割で高いままだったが、1日あたりの利用回数の中央値は2.0回から1.5回に減った。
  • 用途は臨床推論から文書作成・要約へと移り、効率化への期待の一方でハルシネーションや情報漏洩への懸念が主な不安として挙がった。

出典:Cureus / Clinician Use of a General-Purpose Large Language Model in Hospital Medicine: A Mixed-Methods Pilot Study.

サトシサトシ
使う回数が減っても定着率は落ちない。これは飽きたんじゃなくて、必要な場面を選べるようになったということだと思う。

心筋梗塞に伴うVA-ECMO装着患者の院内死亡を予測する解釈可能なモデルを多施設レジストリで開発したという論文。

  • 84施設1,833例のCSECLSレジストリを用い、1施設をホールドアウトとして残り83施設のデータでモデルを開発した。
  • 採用モデルのホールドアウト施設での成績はAUROC0.83、既存のSAVEスコアより高い判別性能を示した。
  • SHAP解析では人工呼吸や昇圧薬の量が重要な予測因子と分かったが、リスクを過小評価する傾向があり施設ごとの再調整が要るとしている。

出典:Int J Med Inform / Interpretable mortality prediction at VA-ECMO establishment in acute myocardial infarction: A multicenter study from the CSECLS registry.

サトシサトシ
AUROC0.83は悪くない。ただ既存スコアより優れているというデータほど、外部での再現性を疑ってかかりたくなる。

甲状腺結節の超音波画像をChatGPT-5.4とDeepSeek-VL2に読ませてリスク分類の精度を比べたという論文。

  • 病理診断が確定した甲状腺結節206例(良性117例、悪性89例)の超音波画像を、2つのモデルに同じ指示文で読ませた。
  • 悪性判定の正診率はChatGPT-5.4が70.9%、DeepSeek-VL2が57.8%で、判定不能の割合もChatGPT-5.4の方が低かった(6.3%対15.5%)。
  • 感度・特異度の差は統計的に有意ではなく、単施設の後ろ向き研究で、どちらも単独診断には使えないとしている。

出典:Front Digit Health / A retrospective comparative study of ChatGPT-5.4 and DeepSeek-VL2 for C-TIRADS-based risk stratification of thyroid nodules on ultrasound images.

サトシサトシ
数字の差はあっても有意差はない。この手の比較は、勝敗より両方とも単独では使えないという結論の方が大事だ。

感染が疑われるウガンダの入院児で、指先の脈波を使った死亡リスク予測モデルの実現可能性を調べたという論文。

  • ウガンダの6病院で感染疑いにより入院した5歳未満児を対象に、入院時1分間の脈波データから予測モデルを作った。
  • 院内死亡率は乳児群7%、年長児群4.1%で、モデルのAUROCは乳児群0.70、年長児群0.67だった。
  • 精度は既存のリスクスコアには及ばないが、長時間のモニタリングなしに入院時1分の測定だけで済む点が新しい。

出典:PLOS Digit Health / Admission photoplethysmography-based mortality prediction in hospitalized Ugandan children with suspected or confirmed infection: A feasibility study.

サトシサトシ
高度な機器がなくても、指先の脈波1分でふるいにかけられる。精度は控えめでも、現場で回せる設計であることに価値がある。

クラウド電子カルテ「エムスリーデジカル」の累計導入件数が1万件を突破したという発表。

  • 2015年の提供開始から10年以上を経て、クラウド電子カルテとして初めて累計導入件数1万件に到達したとしている。
  • m3.com調査(2026年3月)によるとクラウド電子カルテの市場シェアで首位としており、低価格とAIによる入力補助を強みに挙げている。
  • 新規開業だけでなくオンプレミス型からの切り替え先としても選ばれてきたとしており、具体的な価格や機能拡張の時期は今回の発表に含まれていない。

出典:エムスリーデジカル株式会社 / クラウド電子カルテ「エムスリーデジカル」の累計導入件数が10,000件突破

サトシサトシ
1万件という数字より、10年オンプレミスから切り替えられ続けてきたという継続の方が、この市場では効いてくる。