2026年9月5日(土)の Dose

9本(論文7・リリース2)

米国の内科研修外来で検査結果連絡を改善する構造的・教育的介入を評価したという論文。

  • 研修医32人が在籍する内科外来で、受信箱当番制と縦断カリキュラムを組む介入を導入し、前後比較で評価した
  • 検査結果の連絡率は57%から76%に上昇し(P<0.01)、連絡までの時間も18.7日から8.5日に短縮した
  • 単施設・研修医32人規模の前後比較で、研修医個人レベルの改善度は訓練段階により差があった

出典:J Gen Intern Med / A Structural and Educational Intervention to Improve Inter-Visit Care in an Internal Medicine Residency Clinic: A Multimethod Evaluation.

サトシサトシ
受診後のフォロー漏れはどの外来でも悩みの種と聞きます。当番制と教育をセットにする発想は参考になります。
論文 生成AI・LLM 注目

神経放射線領域の学術執筆課題でDeepSeek-R1とChatGPT-o1を比較したという論文。

  • 放射線科医2人が、両モデルが作成した論文とQ&A計10課題の出力を、質・言語表現・事実の信頼性で評価した
  • 総合評価はDeepSeek-R1がChatGPT-o1より有意に高かった(平均3.23対3.02、P=.021)
  • 一方で引用文献の捏造率はDeepSeek-R1が36.7%とChatGPT-o1の2.6%より高く、無監督での学術執筆には課題が残った

出典:Digit Health / Open-source versus proprietary large language models for academic writing in medicine: A controlled evaluation of DeepSeek-R1 and ChatGPT-o1 in neuroradiology.

サトシサトシ
査読前の下書きにLLMを使うにしても、引用の捏造だけは人間が全部潰す前提で使うべきだと僕は思う。
論文 ウェアラブル・PHR 注目

入院中の内科患者33人でFitbit Sense 2の心拍・歩数・睡眠の妥当性を検証したという論文。

  • トロントの大学病院で内科入院患者33人を対象に、24時間分のFitbitデータを基準機器(Nox T3s、StepWatch)と比較した
  • 心拍数は基準機器と高い一致度を示した一方(ICC0.998)、歩数は1時間あたり平均29.4歩過大評価だった(ICC0.64)
  • 睡眠や酸素飽和度の一致度は低く、酸素飽和度データは41%の患者でしか取得できなかった

出典:Int J Med Inform / Fitbit Sense 2 in hospitalized general medicine patients: A pilot study assessing feasibility and validity of specific measures.

サトシサトシ
病棟でのバイタル自動収集は魅力的ですが、指標によって精度がバラバラな点は導入前に押さえておきたいです。
論文 臨床意思決定支援 注目

再発性尿路結石の食事指導で、ガイドライン組込み型LLMと標準LLMをin silico比較したという論文。

  • 24時間蓄尿代謝評価を想定した合成症例30例を用い、専門家の基準と3人の評価者でLLMの出力を採点した
  • ガイドライン組込み型は代謝特異性・遵守度・実行可能性のすべてで標準LLMより有意に高く(各P<.001)、安全性も100%対83.3%だった
  • 実在の患者ではなく合成症例によるin silico評価であり、前向き臨床応用の検証はこれからとされている

出典:J Med Internet Res / Evaluating a Guideline-Integrated Clinical Interaction Framework Vs a Standard Large Language Model Interaction for Dietary Recommendations in Recurrent Urolithiasis: In Silico Study.

サトシサトシ
結石の食事指導は個別性が肝で、ガイドラインに縛ったLLMの設計は理にかなっていると思います。
論文 臨床意思決定支援 注目

北京の病院データで自己免疫性肝疾患など3種の肝疾患をLLM埋め込みで鑑別する枠組みを検証したという論文。

  • 2010〜2025年に北京佑安医院で治療を受けた肝疾患患者7,543人分の電子カルテデータを後ろ向きに解析した
  • LLM埋め込みを統合したモデルは3疾患分類でマクロF1値0.835〜0.837と、通常の機械学習単独の0.791を上回った
  • 対象は診断が重複しない明確な症例に限定されており、実臨床で多い診断の重なるケースでは精度が下がる可能性がある

出典:J Med Internet Res / Large Language Models for Heterogeneous Data Mining in Liver Disease: Framework Development and Retrospective Validation Study.

サトシサトシ
自己免疫性肝疾患とDILIの鑑別は悩ましい場面が多いと聞きます。テキスト情報まで使う発想は現場に合っていそうです。
論文 画像診断AI 注目

ChatGPT-5.5やGemini3など最新マルチモーダルLLM6種の網膜画像問題正答率を比較したという論文。

  • OCTCasesの症例78件から作成した226問(画像あり151問、なし75問)に6モデルで回答させた
  • 全体正答率は59.3〜77.4%の幅で最高はChatGPT-5.5 Thinkingだったが、画像を伴う設問はどのモデルも成績が下がった
  • 全6モデルが揃って誤答した設問はすべて画像を伴う設問で、画像診断は依然として弱点であることが示された

出典:Front Med (Lausanne) / Comparative performance of contemporary multimodal large language models in retinal imaging question answering.

サトシサトシ
文章題は解けても画像はまだ弱い、というのが今の生成AIの実力だと僕は見ている。
リリース 電子カルテ・記録業務 注目

訪問看護向けAIエージェント「SHISHIホウカン」が報告書作成機能を対話形式に刷新したという発表。

  • スマホやPCのトーク画面で「今月の報告書を作って」と伝えるだけで、記録書や前月報告書を読み取り下書きを作成する
  • 対応する請求ソフトはカイポケやiBowなどで、保存すると使用中のソフトに報告書がそのまま反映される
  • 修正の指示内容を記憶し次回以降に反映する機能も搭載しているが、負担軽減の程度は同社の説明による

出典:株式会社クラシテク / 自然言語で会話しながら報告書ができるAIへ クラシテク、訪問看護向けAIエージェント「SHISHIホウカン」の報告書作成機能を大幅アップデート

サトシサトシ
報告書のたたき台を対話で作れると、訪問看護の書類負担は結構減りそうだと感じます。
リリース 医療の質・安全 注目

広島県の救急搬送支援システム「NSER mobile」の実証データを分析した研究論文が掲載されたという発表。

  • 2023年10月〜2024年12月に広島県内で運用されたNSER mobileのデータから、救急搬送147,213件を記述的に解析した
  • 対象地域の搬送151,303件中97%でアプリが使用され、最初に要請した病院への受け入れ率は66%、交渉時間の中央値は5.2分だった
  • 東広島市を除く県内地域を対象とした記述的観察研究であり、受け入れ可否や搬送時間そのものへの効果検証ではない

出典:TXP Medical / 広島県における救急医療DXシステム「NSER mobile」の実証実験データを活用した研究論文が、国際的な英文学術ジャーナルに掲載

サトシサトシ
県単位でここまで使われている実装データは貴重で、次は搬送時間そのものへの効果を見たい。

メイヨークリニックのEHRデータで希少感染症を早期に検出するAI診断支援モデルを開発したという論文。

  • 2010〜2023年にメイヨークリニックへ入院した患者11,494人(希少感染症1,494人、対照1万人)のEHRデータを解析した
  • 入院後3日以内のデータで学習したモデルは正解率93.2%、AUC0.947、特異度97.3%、感度61.9%だった
  • 外部データセットでの検証や前向き試験はこれからで、実装前に判定閾値の最適化も予定されている

出典:Int J Med Inform / Machine learning approaches to identify rare fungal and tuberculous infections in hospitalized patients.

サトシサトシ
非典型感染症の診断が遅れがちなのは臨床あるあるで、入院3日以内に使えるという設計は現実的だと思います。