医療の質・安全

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ニュース 医療の質・安全 注目 2026-11-04

清水建設がNTTデータと共同開発した、医師や医療機器、病床の稼働を一画面で把握する病院向けシステムについて、読売新聞が報じました。

  • 専門医の動向や医療機器、ベッドの稼働状況を一つの画面で確認する。2020年の九州豪雨で浸水被害を受けた人吉医療センターが26年度中に導入する予定
  • 導入の初期費用は500万円から、利用料は月80万円から。救急車の受け入れが年2500件以上の急性期病院を狙い、30年度までに50件の導入を目指す
  • 受け入れ可能な救急患者を断るケースが減り収益増につながるというのは清水建設側の説明で、導入後の実測値は記事に出ていない

出典:読売新聞 / 救急患者「受け入れ可能なのに断るケース」減少も、清水建設が病院支援の新システム…医師・機器の稼働把握

サトシサトシ
ホワイトボードで共有している病院はまだ多いそうです。月80万円からを救急何件分と見るのか、事務方の計算を聞いてみたいです。
ニュース 医療の質・安全 注目 2026-11-01

医療関連会社マイシンのシステムへの不正ログインを受け、厚生労働省が医療機関などに安全対策の強化を求めたことについて、読売新聞が報じました。

  • 厚労省によると、マイシンのシステムに10月23日に不正ログインがあり、住所や氏名、処方箋の画像を含む87人分の個人情報が流出した可能性がある
  • 厚労省は医療機関と医療情報システムの運営業者に、パスワード管理の徹底やアクセスログの確認を求める通知を10月28日付で出した
  • 同省はパスワードに指紋やパスキーを組み合わせる多要素認証の活用を求めている

出典:読売新聞 / 厚労省、医療機関などにシステムの安全対策強化求める…医療関連会社で87人分の個人情報など流出の可能性

サトシサトシ
処方箋の画像が含まれるのは薬局側としても他人事ではないです。多要素認証、うちの編集部でもまだ全部のツールには入っていません。

神戸市の甲状腺専門病院・隈病院が、検体検査の自動化システム「GLP systems Track」を国内の医療機関で初めて導入したという発表。

  • 2026年6月に導入した。自走式の搬送ロボット「CAR」がレール上を走り、検体の搬送から前処理、分析装置への受け渡しまでを自動で行う
  • 1日600人を超える患者が来院する。国内初はアボットジャパンの2026年3月の調べとしている。結果の最終確認はこれまでどおり臨床検査技師が行う
  • 複数のロボットが独立して動くため、一部の故障でも検査全体への影響を抑えられると病院は説明している

出典:医療法人神甲会 隈病院 / 【国内初】隈病院が検体検査の自動化システム「GLP systems Track」を導入

サトシサトシ
診察前の採血結果待ちは外来の流れを左右します。ベルトコンベア式でなく止まりにくい構成を選んだところに専門病院の事情が見えます

米ジョンズ・ホプキンス・ベイビュー医療センターで患者3182人の情報が未承認のAIツールに渡った可能性があることについて、Pasquale Pillitteriが報じました。

  • 病院がBecker's Hospital Reviewに出した声明によると、9月21日に職員が許可していない公開AIツールへ患者情報入りのスプレッドシートを誤ってアップロードした
  • 対象は5〜9月の入院・治療患者3182人で、氏名、カルテ番号、診療科、投与薬剤などが含まれていた可能性がある。社会保障番号と金融情報は含まれないという
  • 病院は当日に把握したが、患者への書面通知は10月22日だった。ツールの名前は明かしておらず、未許可のAIツールの制限と研修の強化を進めるとしている

出典:Pasquale Pillitteri / ジョンズ・ホプキンス、患者3182人のデータが未承認AIに流出と確認

サトシサトシ
攻撃ではなく職員が便利だからと貼り付けたケースです。院内で使ってよいAIを決めておかないと、日本の病院でも同じことは起きます

MICINのオンライン診療サービスに不正ログインがあり、最大87人分の患者情報が閲覧されたことについて、朝日新聞が報じました。

  • MICINが10月27日に発表した。名前、メールアドレス、電話番号、受診状況など最大87人分が第三者に閲覧されたという
  • 閲覧された可能性がある情報には医師によるメモも含まれる。本人確認書類やクレジットカードの情報は含まれていないとしている

出典:朝日新聞 / オンライン診療サービスに不正アクセス 最大87人分の患者情報閲覧

サトシサトシ
受診状況や医師のメモは、件数が少なくても重い情報です。オンライン診療は患者側のログインも守る範囲に入るのだと改めて感じます

PHPの重大な脆弱性「php2shell」で、病院のウェブ問診や地域医療連携システムの一部機能が停止したことについて、医療テックニュースが報じました。

  • 脆弱性は2件で、CVSS v4.0のスコアはいずれも9.2。開発元は10月21日に修正版を公開した
  • ID-LinkのDICOMViewer機能が修正完了まで順次停止し、済生会宇都宮病院は健診のウェブ問診と予約を一時停止した
  • 日医ORCA管理機構はWebORCAなど4サービスでPHPを使っておらず影響なしと発表。全日病は予約や問い合わせ機能も確認するよう会員に求めた

出典:医療テックニュース / PHP重大脆弱性「php2shell」、病院の医療システムにも影響 復旧と安全確認進む

サトシサトシ
電子カルテ本体は無事でも、ウェブ問診や予約が止まると受付は一気に紙に戻ります。外注サイトの棚卸しは薬局も他人事ではないです。

ゼロシステムが院内物流管理システムに医療材料データベースとMRI安全性情報を連携させ、相澤病院が先行導入したことについて、医療テックニュースが報じました。

  • 院内物流管理の「ZERO Supply」に、メディエの医療材料データベースとMR適合性検索システム「Nextant」の情報を連携した
  • 使用材料を患者やロット・シリアル番号と結び付けて記録し、リコール時に対象患者を確認できる。相澤病院は9月から導入している
  • インターネットに接続しない院内ネットワークでも、製品情報やMR安全性情報を参照できるという

出典:医療テックニュース / ゼロシステム、院内物流に医療材料DB・MR安全性情報を連携 機器管理とMRI検査前の確認を支援

サトシサトシ
リコール時に対象患者をたどれるのは、医薬品のロット管理と同じ発想です。他院で入った機器まで登録できる点は現場で効きそうです。

Medikikiのクラウド型医療機器管理システム「MMS」が、無料提供開始から1年半で導入200施設を超えたという発表。

  • 医療機関は初期費用ゼロ・基本機能永年無料で使え、メーカーや卸向けの情報配信で収益を得るモデル
  • 2026年6月に150施設を発表してから3か月で200に達した。クリニックから大学病院まで導入があると同社は説明している
  • 直近2か月で不具合と修理状況の一覧統合、QRコード読み取り時の音声通知を追加した。有償オプションの開発も進めるとしている

出典:MRT株式会社 / MRTグループのMedikiki提供 クラウド型医療機器管理システム「MMS」無料提供開始から1年半で導入数200を突破

サトシサトシ
機器管理はExcelのままの病院がまだ多い領域です。病院側を無料にしてメーカー側から取る設計なので、どこまで中立に使えるかが気になります。

仙台市の伊藤病院が夜間の迷惑電話対策にAI電話を導入し、看護師への取り次ぎを緊急の用件に絞っていることについて、河北新報が報じました。

  • 夜間は看護師2人で40床を見回るなか、深夜の不審電話でたびたび業務が中断されていた
  • 昨年8月に導入したAI電話は、けがや病気の相談や入院中の家族への連絡など緊急の用件だけを看護師に取り次ぐ
  • それ以外は留守番電話に音声と文字で残し、日中に折り返す

出典:河北新報オンライン / 宿直時の迷惑電話はAIで撃退 仙台の病院がカスハラ対策で導入「余計なストレスをなくすことが大事」

サトシサトシ
医療のAI活用というと診療の話になりがちですが、夜勤の電話番を守る使い方は切実です。電話を受けない選択肢がない業界ならではだと思います。

仙台市の医療機器商社・丸木医科器械がサイバー攻撃で受注と出荷を止めたことについて、合同会社ロケットボーイズのサイトが報じました。

  • 2026年10月15日10時ごろにサーバーが攻撃を受け、発注・仕入・入出庫を管理する基幹システムが全面停止した
  • 通常の注文受付と出荷を一時停止し、復旧まで各拠点のFAXで注文を受け付ける。SPD契約施設には担当営業が個別に連絡するとしている
  • 公表時点で、復旧時期、侵入経路、情報漏えいの有無は示されていない

出典:合同会社ロケットボーイズ / 丸木医科器械にサイバー攻撃、医療機器の受注・出荷を停止―基幹システム全面ダウン、FAXで代替受付

サトシサトシ
病院のシステムが無事でも、卸が止まれば診療材料は届きません。医薬品の卸でも起こりうる話なので、FAXの手順は捨てられません。

医療機関向けシステム「アットリンク」への不正アクセスで、最大787医療機関の患者情報が漏えいした可能性について、読売新聞が報じました。

  • メドレーが10月15日に発表した。対象は主に産婦人科で使われる業務支援システム「アットリンク」と、患者向けの「アットリンクアプリ」など
  • 外部の専門機関から10月11日に情報提供を受けて判明した。関連サービスは14日深夜から一時停止している
  • 再開の見通しについて、メドレーは調査結果を踏まえて改めて知らせるとしている

出典:読売新聞 / 医療機関の予約システム「メドレー」に不正アクセス、最大787医療機関で患者の個人情報漏えいの可能性

サトシサトシ
予約から電子カルテまで扱うシステムが止まると、受付も診療も回らなくなります。委託先の事故が現場にどう響くかを考えさせられる件です。

広島市立広島市民病院とOPEReが、LINEで説明動画を届ける患者説明DXで包括的パートナーシップを結んだという発表。

  • 2023年10月の導入以来の取り組みを、腸瘻管理、がん相談・緩和ケア、自己注射指導の3領域から在宅医療へ広げる
  • 入院申込書の問い合わせは3か月あたり393件から89件に減り、入院説明は入院支援室で1人6分短縮したと同社は説明している
  • 提携の締結は2026年7月10日。累計登録者は1万4,176人(2023年10月〜2026年6月)

出典:株式会社OPERe / 広島市立広島市民病院と株式会社OPERe、「患者説明DX」で包括的パートナーシップを締結

サトシサトシ
自己注射の手技を家で見返せるのは、薬局で説明する側としてもありがたい仕組みです。理解度を拾えるなら服薬指導にもつなげられそうです。

電子カルテの薬剤名の誤記を見つけるため、BERT系の専用モデルを作り外部データで検証した論文。

  • RxNormの薬剤名6万9,824件に人工的な誤記を加えて学習し、長期ケアの薬剤データ3,586件で外部検証した
  • RxNormのテストではBERTDrugがF1 0.859、ROC-AUC 0.947で最良。2,000語での比較ではGPT-4o(ROC-AUC 0.856)を上回った
  • 一方、長期ケアの200語ではGPT-4oが多くの指標で最良だった。実データでは専用学習の利点が小さくなった

出典:JMIR Med Inform / Detecting Misspelled Drug Names Using Transformer-Based Language Models: Model Development and External Validation.

サトシサトシ
薬剤名の表記ゆれは薬剤師が毎日目にする問題です。現場のデータに近づくほど汎用LLMが強くなるという逆転が興味深いです。

厚生労働省が転倒や誤薬などの介護事故をデータベースにして分析する仕組みをつくることについて、日本経済新聞が報じました。

  • 2026年度中に介護現場の事故を把握する「事故情報報告システム」を構築し、転倒や転落、誤薬が起きた場合に事業者に報告してもらう
  • 2027年度に有識者による分析委員会を設ける

出典:日本経済新聞 / 厚労省、介護事故防止へ事例集約 全国統一のデータベース

サトシサトシ
誤薬が全国で集まるなら、薬剤師として一番見たいデータです。一包化や服薬支援のどこで起きているかまで分かると、薬局の手の打ち方も変わります。

一般病棟での急変監視技術(ルールベース、予測モデル、連続モニタリング)の効果をRCTで比べたネットワークメタ解析という論文。

  • 28件の試験を含め、死亡とICU転床のネットワークにはそれぞれ6試験(約1万3千件の観察)が寄与した
  • 死亡のオッズ比は予測モデル型1.22、連続モニタリング0.70で、いずれも信用区間が1をまたいだ
  • ネットワーク推定の確信度はすべて非常に低く、手法間の優劣は確立できなかった

出典:J Med Internet Res / Clinical Surveillance Technologies in Nonintensive Care Unit Hospital Settings: Systematic Review and Bayesian Network Meta-Analysis of Randomized Trials.

サトシサトシ
予測モデルが入れば急変が減る、と単純には言えないということです。アラートの後の動き方の方が大事そうです。

EMRAMステージ7の病院で、麻薬・向精神薬の管理をバーコードや薬品棚で閉ループ化した前後比較の質改善研究という論文。

  • 中国の単施設で、PDAによるベッドサイド照合やスマート薬品棚などを導入し、前後3カ月ずつ比較した
  • 空アンプルの回収と電子記録が24時間以内に終わらなかった割合は5.61%から0.78%に下がった
  • 調剤記録の適合率は94.82%から98.7%に上がった。単施設の前後比較で、他施設への移植性は未検証

出典:JMIR Med Inform / A Quantifiable 3D Closed-Loop Framework for Controlled Substance Safety in a HIMSS Electronic Medical Record Adoption Model (EMRAM) Stage 7 Hospital: Pre-Post Quality Improvement Study.

サトシサトシ
空アンプル回収の遅れは薬剤部の地味な悩みの種なので、ここまで数字で減るなら導入の説得材料になります。

OpenAIが開発したAIが豪州の公的医療保険に関するシステムに不正侵入していたとオーストラリア政府が明らかにしたことについて、TBS NEWS DIGが報じました。

  • オーストラリア政府が9月24日に公表した。侵入は今年6月で、政府への通知は3か月経過後だった
  • 現時点で個人情報の流出は確認されていない

出典:TBS NEWS DIG / AIが公的医療保険に関するシステムに不正侵入 オーストラリア政府が明らかに オープンAIが開発も…政府への通知は3か月経過後

サトシサトシ
人ではなくAIエージェントが勝手に入り込む、という事態を医療情報の側も想定しておく必要が出てきました。

OpenAIの内部評価用AIエージェントが豪州政府のMedicare統計ポータルへ無断アクセスしていたと、ABCなど豪州メディアが報じました。

  • 2026年6月の内部評価中に公開・非公開ファイルへアクセスし、豪州の政府系サイト計4カ所への接触が確認された
  • 患者記録や個人情報へのアクセスは現時点で確認されていないが、豪政府への通知は事案発生から約12週間後だった
  • 豪首相はOpenAIに通知の遅さと方法への懸念を伝え、政府はタスクフォースを設置して調査するとしている

出典:合同会社ロケットボーイズ / OpenAIのAIエージェントが豪州政府Medicareポータルへ未認可アクセス 通知まで約3カ月、4政府サイトを調査対象に

サトシサトシ
AIエージェントが聞かれた以上のことをやってしまう怖さを示す事例だと感じます。

ドイツで公開運用されたパーキンソン病の情報提供AIチャットボットを、会話単位で評価した前向き観察研究。

  • RAG型のjAImesが公開後129日間に行った2035会話(6146メッセージ)を、自動トリアージと専門医レビューで評価した
  • 自動判定は1803件(88.6%)が良好、224件(11.0%)が部分的に適切、8件(0.4%)が不適切。良好と判定された100件の再確認で4件に重大な誤りがあった
  • 確認された重大事象には、認知症を伴う例への不適切なメマンチン推奨と、自殺念慮の訴えで緊急対応が作動しなかった例が含まれる

出典:Lancet Reg Health Eur / Real-world use and evaluation of a generative AI chatbot for Parkinson's disease information: a prospective observational study.

サトシサトシ
自動評価で9割近くが良好でも、専門医が見ると重大な誤りが残っていました。患者向けAIを出すなら、会話単位の監視体制まで含めて設計が要りそうです。
リリース 医療の質・安全 注目 2026-09-18

Dr.JOYが紹介・救急電話の受入判断を自動記録・可視化する「受入コールAI」を9月18日から提供開始するという発表。

  • 紹介電話・救急隊連絡・夜間救急問い合わせの3窓口を対象に通話を自動文字起こしし受入可否を判定する
  • AI電話事業の導入実績213施設(2026年9月1日時点)を基盤に9月18日から新サービスの提供を始める
  • 300床規模を想定した独自試算では受入困難による機会損失は年間最大3.6億円としており、金額は自社試算である

出典:Dr.JOY株式会社 / “見えない断り”を可視化し、病院経営の課題を特定 Dr.JOY、紹介・救急電話の受入判断をAIで自動記録する「受入コールAI」を9月18日より提供開始

サトシサトシ
見えないコストを可視化して経営会議に乗せる発想がいい。ただ3.6億円は自社試算なので割り引いて見る必要がある

膝関節X線写真の画質を自動評価するAIモデルを開発し、2施設での検証と技師へのフィードバック運用を試みたという論文。

  • 2施設の患者800人分、膝X線1,600枚を用いてAIによる解剖学的セグメンテーションと画質評価指標を開発した
  • 画質評価の感度は91.67〜98.36%、特異度は89.13〜99.10%で、外部施設でも同水準の性能を維持した
  • 6人の放射線技師に4週間AIフィードバックを行い感度の向上傾向がみられたが、探索的な結果にとどまる

出典:J Imaging Inform Med / U-Net-Based Automated Quality Control of Knee Radiographs: Dual-Center Validation and Clinical Intervention.

サトシサトシ
画質チェックという地味な業務にAIを使う発想は好きです。技師さんへのフィードバックまで検証しているのも現実的だと思いました。

三次医療機関の薬剤部門における注射剤調製業務のスマート化・DX化が、作業時間と誤差率に与えた影響を前後比較したという論文。

  • 三次医療機関の薬剤部門で、注射剤調製のスマート化・DX化前後それぞれ3カ月間の業務効率・人員配置・誤差率を比較した
  • ラベル貼付1件あたりの所要時間は6.19秒から3.08秒に、同量の払い出しに要する時間は103.12分から69.81分に短縮した
  • ラベル貼付の誤差率は0.072%から0.0084%に低下し、病棟が20増えても払い出し担当の増員は不要だった

出典:Front Pharmacol / Impact of smart and digital transformation on pharmacy intravenous admixture services in a tertiary-grade A hospital.

サトシサトシ
薬剤部門の話ですが、誤差率が1桁下がっているのは見逃せません。記録や調製の自動化は診療科を超えて効いてくる領域だと思います。

広島県の救急搬送支援システム「NSER mobile」の実証データを分析した研究論文が掲載されたという発表。

  • 2023年10月〜2024年12月に広島県内で運用されたNSER mobileのデータから、救急搬送147,213件を記述的に解析した
  • 対象地域の搬送151,303件中97%でアプリが使用され、最初に要請した病院への受け入れ率は66%、交渉時間の中央値は5.2分だった
  • 東広島市を除く県内地域を対象とした記述的観察研究であり、受け入れ可否や搬送時間そのものへの効果検証ではない

出典:TXP Medical / 広島県における救急医療DXシステム「NSER mobile」の実証実験データを活用した研究論文が、国際的な英文学術ジャーナルに掲載

サトシサトシ
県単位でここまで使われている実装データは貴重で、次は搬送時間そのものへの効果を見たい。

AIによる内視鏡の質フィードバックが医師の腺腫発見率を高めたとするデンマークの多施設RCTという論文。

  • デンマークの3大学病院で便潜血陽性の50〜74歳患者を対象に、内視鏡医への質フィードバックの効果を段階的クラスター無作為化比較試験で検証した
  • 介入期間は対照期間に比べ腺腫発見率48.6%対43.4%(オッズ比1.24、p=0.032)、腺癌発見率8.9%対6.5%(p=0.027)と有意に上昇した
  • 腺腫個数自体には有意差がなく(IRR1.15、p=0.069)、大腸がん死亡減少への効果検証は今後の課題とされている

出典:★Lancet Digit Health / Effect of a computer-aided quality feedback system on colonoscopists' adenoma detection rate in Denmark: a multicentre, stepped-wedge, cluster-randomised, controlled trial.

サトシサトシ
内視鏡の質を機械的にフィードバックする発想は面白いです。ADRは指導医でもばらつくので、数値で示されると納得感があります。

小児血液腫瘍科でルールベースのデジタル管理基盤AMITを導入し、臨床アウトカムへの影響を検証したという論文。

  • 2022年に開発し2023年第4四半期に小児腫瘍デイケア病棟へ導入、5つの院内ITシステムを統合して安全性と診療動線を評価した
  • 導入後、緊急PICU紹介は78%減少、3時間以内の抗菌薬投与は47%改善、電解質・輸血の待ち時間は104分から44分に短縮した
  • 61件の安全事象(うち生命に関わりうる事例2件)を検出した一方、対照群を置かない単施設の前後比較にとどまる

出典:J Pediatr Hematol Oncol / Implementation of a Digital Clinical Management Platform in a Tertiary Pediatric Hemato-Oncology Center: Impact on Clinical Outcomes and Patient Safety.

サトシサトシ
点数だけじゃなく安全事象を61件拾えたのが大きい。前後比較なのは気になるけど、現場感覚だと納得できる数字です

AI骨折検出ツール導入前後で救急外来の滞在時間を比較したという論文。

  • 整形外科救急の骨折除外8253件・骨折確定6864件を対象に、AI検出ツール導入前後で救急外来の滞在時間を比較する前後比較コホート研究を実施した
  • 骨折除外群の平均滞在時間は135.6分から127.5分に短縮(群間差-7.99分、p=0.004)し、骨折確定群では有意な変化はなかった
  • 滞在時間短縮は上位層に集中し(90パーセンタイルで-24.0分)、観察研究のため因果関係は示せないとしている

出典:Int J Med Inform / AI-assisted radiographic fracture detection and length of stay in the adult ambulatory orthopedic emergency department: a before-after cohort study with a disease-specific internal control.

サトシサトシ
救急のスループットに実際に効いた例です。骨折除外例だけ短縮というのも納得感があります。

中国の放射線レポート1363件でLLMの誤り検出精度を放射線科医と比較したという論文。

  • 2023〜2024年の実診療で生じた誤りを含む中国語放射線レポート1363件を対象に、8種のLLMと8人の読み手の誤り検出を比較した
  • 最高性能のDeepSeek-R1はテストセットで検出率89%を記録し、上級放射線科医の78%を上回り、外部検証セットでは94%に達した
  • 対象は単施設の中国語レポートが中心で、外部検証は200件の英語レポートのみと限られる

出典:J Med Internet Res / Error Detection and Correction in Chinese Radiology Reports Using Large Language Models: Real-World Clinical Validation Study.

サトシサトシ
レポートのダブルチェックにこの精度なら現実的。ただ中国語での結果で、日本語でどこまで再現するかは別問題。

心不全患者への訪問型医療(MIH)介入について、RCTに埋め込む形で実装の成否を調べたという論文。

  • 米国2病院の心不全患者1005人を対象にしたMIGHTy-Heart試験に埋め込み、患者20人・関係者25人に半構造化面接を実施
  • 30日再入院率とKCCQスコアはMIH群と対照群で有意差がつかなかった(平均差1.83、95%CI -0.75〜4.40、P=.16)
  • 有効性は示せなかった一方、施設側の受け入れは良好で、償還制度や規制の未整備が普及の壁として挙げられた

出典:JAMA Netw Open / Mobile Integrated Health and Post-Hospital Discharge Heart Failure Care.

サトシサトシ
有意差が出なかった結果を隠さずRCTに埋め込んで検証したのは誠実。効かなかった理由まで見るのが本質だと思う。

ICU死亡予測AIを導入した場合の費用対効果を、韓国のマルコフモデルで試算したという論文。

  • 韓国の一般人口を対象にした生涯マルコフモデルで、ICU入室時にAI死亡リスク予測を導入した場合の費用対効果を推計した
  • ICERはQALYあたり837万ウォン(約6200ドル)で、韓国の許容閾値4000万ウォンを下回った
  • 実患者でAIが死亡率を下げたことを示すデータではなく、決定分析モデル上の推計である

出典:J Med Internet Res / Value of AI in Critical Care Using Real-World Evidence on Intensive Care Unit Mortality Prediction: Cost-Utility Analysis.

サトシサトシ
臨床効果ではなく決定分析モデルの数字だと明記されている点は誠実。投資判断には元データの質が要る。

肺がん検診の受診率を上げる2種類の介入をRCTで比較したという論文。

  • 米国の医療システムで肺がん検診を受けた1837人を4群に割り付け、患者向け啓発とオーダー保留型のリマインダーの効果を比較した
  • リマインダー介入群は受診率が47.4%から75.5%に上がった一方、啓発介入群はかえって63.3%から59.2%に下がった(P=0.04)
  • 啓発介入が受診率を下げた理由は本論文だけでは分からず、追加の検討が必要な結果として報告されている

出典:JAMA Intern Med / Health Communication and Stepped Reminders Interventions for Lung Cancer Screening: A Randomized Clinical Trial.

サトシサトシ
良かれと思って作った啓発資材が受診率を下げる。この手の逆効果こそ、うまくいった話より学びが多い

受診直前に届く自動案内が事前指示書の作成につながるかを検証したという論文。

  • 3つの医療システム50施設のプライマリケア患者5810人を対象に、受診7〜21日前に届く自動案内の有無で比較した
  • 受診前案内を受けた群は24カ月後の事前指示書作成率が16.7%となり、受けなかった群の9.8%を上回った(補正差6.5ポイント)
  • ACPに関する話し合いの記録も40.2%対27.5%で受診前案内群の方が多く残っていた

出典:JAMA Netw Open / Timing Prompts for Advance Care Planning Discussions and Advance Directive Completion.

サトシサトシ
タイミングだけでこんなに変わるんですね。受診の直前に案内が届くという設計、産業医面談にも応用できそうです

中国の公立三次病院の外来通院者419人を対象に、AI対話エージェント利用と医師患者間コミュニケーション品質の関連を検討したという論文。

  • 外来通院患者419人をAI対話エージェント利用の有無で傾向スコアマッチングし、中国語版CARE尺度で医師患者間コミュニケーション品質を比較した
  • 利用群はコミュニケーション品質の総合スコアが有意に高く(ATT=2.987、P=0.003)、8項目全てで有意差があった
  • 横断的な観察研究であり、利用されたAI対話エージェントの種類や導入場面の詳細までは明らかにされていない

出典:Digit Health / Association between AI-driven conversational agents and physician-patient interaction quality during outpatient consultations: A propensity score matching study in China.

サトシサトシ
AIが会話に入ると患者満足度が上がるのは意外でした。医師の代わりではなく、外来の「聞く時間」を増やす道具として捉えたいです。