2026年8月18日(火)の Dose

10本(論文4・リリース6)

論文 生成AI・LLM 注目

音声情報を統合したbimodal型LLM「Dolphin」が患者教育でのすれ違いを減らしたという論文。

  • 3施設・6診療科、患者教育16,583例・発話64,200件のデータをもとに、音声も扱うDolphinをテキスト型LLMと二重盲検RCTで比較した
  • Dolphinは感情認識精度0.886対0.713、患者555例での7日以内の予期せぬ再連絡が12.9%対22.9%だった(p=0.002)
  • 有害な推奨は確認されなかったが、登録は中国国内の1試験に限られ、他地域・他言語での検証は今後の課題となる

出典:Med / A bimodal large language model reduces misalignment in patient education: A double-blinded randomized trial.

サトシサトシ
テキストのみのLLMで感情の食い違いが4割弱起きていたという数字が引っかかる。音声を足せば解決という単純な話でもないはずだ
リリース 臨床意思決定支援 注目

iPad一体型の歩行分析AI「SPLYZA Motion Medical」が一般医療機器(クラスI)の届出を完了したという発表。

  • 専用端末のiPad1台でTUGテストや歩行・走行動作を3次元解析し、関節角度などの運動学的パラメーターを記録する製品として販売を開始した
  • 撮影から解析まで最短1分で完了し、D250動作分析検査(250点)の算定に対応、月30名の利用で費用回収が見込めるとしている
  • 解析は端末内で完結するローカル処理で、初回ログインとアップデート時のみインターネット接続が必要としている

出典:株式会社SPLYZA / スポーツ教育で培ったAI動作解析技術を医療へ。SPLYZA、歩行分析計として一般医療機器(クラスⅠ)の届出を完了

サトシサトシ
算定点数と回収の目安まで出してくるのは導入判断がしやすいです。経営層への説明もこれなら組み立てやすい
論文 生成AI・LLM 注目

自由発話をLLMでクラスタリングし、抑うつなど臨床評価との関連を4カ国で調べたという論文。

  • フランスの一般住民1,338人と、イタリア・中国・スペインの臨床サンプル計258人の自由発話を多言語LLMで埋め込み、クラスタリングした
  • フランスの住民サンプルではPHQ-9スコアがクラスタ間で有意に異なり(η²=0.19、P<.001)、イタリアでは臨床診断との関連も強かった(Cramér V=0.74)
  • スペインの小規模サンプルでの自殺リスク項目との関連は不安定で、著者ら自身が探索的な結果と位置づけている

出典:JMIR Ment Health / Interpretable Topic Modeling of Spontaneous Speech in Depression Using Large Language Models: Multilingual Four-Cohort Study.

サトシサトシ
人手でのカルテレビューをLLMが数分で済ませたという触れ込みより、国によって効き方にばらつきが出た点のほうが面白い

免疫チェックポイント阻害薬投与患者で、通常CTからのAI冠動脈石灰化評価と予後の関連を調べたという論文。

  • Mayo Clinicの3施設で、2011〜2022年にICI開始前の胸部CTを撮影した患者1,873人を対象に、AIによる冠動脈石灰化(CAC)スコアを算出した
  • CACスコアが高いほど1年以内の心筋梗塞リスクが上がった一方(P=0.0032)、全死亡との関連はなく(P=0.79)、CAC100超でもスタチン投与は15%にとどまった
  • 後ろ向き研究で、全死亡との無関連はがん関連死の多さ(1年で50.7%)を反映した可能性があるとしている

出典:Digit Health / Assessing the prognostic value of artificial intelligence for opportunistic prediction of coronary artery calcium score on routine non-gated computed tomography in patients treated with immune checkpoint inhibitors.

サトシサトシ
検診目的でないCTのついでにリスクが拾えるという話は、外来の動線を考えるとありがたいです
リリース 画像診断AI 注目

胸部CT画像診断支援AI「EIRL Chest CT」が計測機能を拡充した新バージョンの提供を開始したという発表。

  • 肺結節の2次元短径や長短径の平均、3次元長径の自動計測を追加し、肺がん検診ガイドラインの定量評価指標に幅広く対応した
  • CT画像を1枚に投影するRaySum画像への解析結果表示にも対応し、これまでに1,200施設以上、総解析件数1,600万件超の実績があるとしている(2026年2月末時点)
  • 既存のワークフローを阻害しない支援を目的とし、各計測項目は施設ごとにON/OFFを設定できるとしている

出典:LPIXEL / 胸部CT画像診断支援AI「EIRL Chest CT」、計測機能の拡充機能等を追加した新モデルを発売

サトシサトシ
低線量CT検診の対象拡大で読影量が増える中、計測の手間を削る機能から先に来たのは現場感があります
リリース 電子カルテ・記録業務 注目

harmoが電子カルテ改修不要のオフライン転送機能にAI-OCRを追加し、紙のお薬手帳にも対応したという発表。

  • 院内の複合機やスキャナで紙のお薬手帳をスキャンし、AI-OCRと薬剤辞書の照合で薬剤名や用法・用量をテキスト化して電子カルテへ転送する機能を追加した
  • 2025年10月リリースの電子版お薬手帳向け機能に続くもので、電子カルテ側はインターネット接続不要のまま利用できるとしている
  • 認識結果はスキャン画像と連動表示され、最終的には医療従事者が原本と照合して確認・修正する運用としている

出典:シミックホールディングス株式会社 / 医療現場の業務効率化へ—harmo、AI-OCRを実装し、電子カルテ改修不要で紙のお薬手帳の薬剤情報をダイレクト転送可能に

サトシサトシ
持参薬確認の転記作業は地味に時間を食うので、紙のお薬手帳まで拾ってくれるのはありがたいです
リリース 予測モデル・リスク層別 注目

Doctorbookと日立製作所が、歯科×AI領域の健康支援サービスで基本合意書を締結したという発表。

  • 2026年度に歯科×AI領域でのPoCを実施し、2027年度の事業化を目指すとして、日立のAI活用の知見とDoctorbookの歯科臨床データ基盤を組み合わせる方針を示した
  • 歯科臨床データと生活習慣病データを組み合わせたリスク評価モデルの構築や、スマート歯ブラシなどIoTデバイスの活用を共同研究のテーマに挙げている
  • 現時点は基本合意の段階で、具体的なサービス内容や提供時期は今後の協議次第としている

出典:株式会社Doctorbook / 株式会社Doctorbook、日立製作所と歯科×AI領域における健康支援サービスの共同研究に向け基本合意書を締結

サトシサトシ
口腔データと全身疾患を掛け合わせるという話自体は前からあるが、大手が本気で乗ってくるかは2027年の事業化の中身次第だ

InnoJinが産業医クラウド「ELPIS」と連携し、企業向け眼科オンライン診療の提供を開始したという発表。

  • ELPIS導入企業3,300社の従業員が、ドライアイや花粉症、結膜炎など日常的な目の不調について眼科医のオンライン診療を受けられるようにした
  • 診察後は処方箋発行や医薬品の自宅配送に対応し、対面診療が必要な場合は医療機関を案内するとしている
  • 現時点では福利厚生メニューとしての提供開始が発表内容で、利用実績の数字は示されていない

出典:InnoJin株式会社 / InnoJin、Avenirの産業医クラウド「ELPIS」と連携し、健康経営を支援する企業向け眼科オンライン診療を提供開始

サトシサトシ
産業医クラウドに眼科がぶら下がる形は、健康経営の文脈で企業側に刺さりそうです

南アフリカで、HIV自己検査後の受診につなげるAIチャットツールの受容性と使いやすさを調べたという論文。

  • 地域住民100人が模擬のHIV自己検査結果をもとにAIチャット「Your Path」を体験し、システムユーザビリティスケール(SUS)などで評価した
  • SUSの平均スコアは100点満点中81.6、95%が再利用の意向を示した一方、15%は回答の一貫性のなさを指摘した
  • 医療従事者25人はチャットの要約を臨床的に妥当と評価したが、感情面の対応や言語対応の限界も指摘した

出典:J Med Internet Res / Acceptability, Usability, and Clinical Appropriateness of an AI-Powered Tool for Linkage to HIV Services After HIV Self-Testing in South Africa: Mixed Methods Evaluation.

サトシサトシ
使いやすさのスコアが高くても、現場の医療者からは共感面の物足りなさが出ている。ここのギャップが実装の分かれ目になる

更年期セルフケアアプリ「JoyHer Pro」の実現可能性を検証した研究がDigital Health誌に掲載されたという発表。

  • 京都大学病院産科婦人科と共同で、更年期症状のある45〜55歳の女性91人を対象に、アプリを6か月間利用してもらう前向き研究を行った
  • 追跡率96%で、更年期症状スコア(sQACS)の中央値は開始前33から3か月後27、6か月後26へ改善したとしている
  • 対照群を置かない実現可能性・予備的効果の検証であり、症状改善がアプリ単独の効果かは今回の設計では切り分けられない

出典:YStory / YStory、更年期女性に寄り添うセルフケアアプリ「JoyHer Pro」の研究成果が学術誌「Digital Health」に掲載

サトシサトシ
対照群なしの数字だけを見て効いたと言うにはまだ早いが、追跡率96%という継続率の高さは素直に評価していい