2026年9月8日(火)の Dose

8本(論文4・リリース4)

入院患者50人分の退院時サマリーを、医師執筆とAI生成で盲検比較したという論文。

  • UCSDの入院患者50人分について、医師執筆の退院時サマリーとGPT-4・Gemma生成のサマリーを盲検で比較した後ろ向き研究
  • 分かりやすさの指標PEMATでGPT-4が85.5%、Gemmaが87.5%、医師執筆が66.1%と、AI生成が有意に上回った(p<0.001)
  • 正確性や安全性の評価でもAI生成が上回ったが、著者らは医師の確認を前提とした運用を検証する必要があるとしている

出典:J Hosp Med / Comparison of physician-authored and artificial intelligence-generated after-visit summaries: A blinded comparative study.

サトシサトシ
退院サマリーをAIが下書きして医師が確認する形なら、記録業務の負担は変わりそうです。
論文 生成AI・LLM 注目

眼科領域の倫理相談事例をGPT-5.1と人間の倫理専門家に答えさせ、医師10人が評価して比較したという論文。

  • 米国眼科学会の相談サイトから倫理事例10件を抽出し、GPT-5.1と人間の倫理専門家の回答を医師10人が評価した
  • 臨床での使用意向の評価はGPT-5.1が中央値5.0、専門家が4.1と有意差があり(p=0.013)、読みやすさは専門家が上回った(p=0.002)
  • 読みやすさでは専門家に劣ったが、評価者の使用意向・患者影響の評価はGPT-5.1が上回る結果だった

出典:Int Ophthalmol / Generative artificial intelligence to augment ethical problem solving in ophthalmology: GPT-5.1 versus a human ethicist.

サトシサトシ
倫理的な答えの良し悪しを人が採点する時点で、評価者側の好みも混ざっているはずだ。
論文 生成AI・LLM 注目

股関節温存領域のガイドライン準拠21問を、LLM3種と専門医10人に解かせて正答率を比較したという論文。

  • 国際的な股関節温存の専門医10人と、ChatGPT・Gemini・Claudeの3種のLLMに同じ21問の設問を出題した
  • 正答率は専門医が90.5%だったのに対し、Geminiが100%(p=0.004)、ChatGPTが98.4%(p=0.016)と有意に上回った
  • 設問への回答精度の比較にとどまり、実際の診療判断における有用性を示すものではないとしている

出典:Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc / Select large language models outperform hip preservation experts on consensus-based hip preservation questionnaire.

サトシサトシ
設問に正しく答えられることと、実際の診療で正しく使えることは別の話だと思います。
リリース 生成AI・LLM 注目

順天堂大学とケアネットが、臨床支援AIエージェントを開発する共同研究講座を大学院内に開設したという発表。

  • 順天堂大学とケアネットが、院内データを使う臨床支援AIエージェントの開発などに取り組む共同研究講座を設けた
  • 開設日は2026年7月1日、研究期間は2031年6月までの5年間で、順天堂大学大学院医学研究科内に設置された
  • 現時点は研究体制の立ち上げ段階で、AIエージェントの具体的な機能や実装時期はまだ示されていない

出典:株式会社ケアネット / 順天堂大学とケアネット、次世代医療AI・臨床知共創に関する共同研究を開始

サトシサトシ
5年という研究期間の長さが、実装までの距離を物語っている。

脳卒中のガイドライン質問応答とリハビリ計画の下書き作成で、2種のLLMの出力を専門医が評価したという論文。

  • 100問のガイドライン準拠質問で上位2モデルを選び、脳卒中患者60例分のリハビリ計画下書きを専門医3人が5段階で評価した
  • リハビリ計画の生成ではChatGPT-o3が正確性・完全性・安全性を含む評価項目全てでDeepSeekを有意に上回った
  • 単施設の専門医評価によるベンチマークで、著者らも臨床的有効性を示すものではないと明記している

出典:Digit Health / A two-stage evaluation of large language models for guideline-based Q&A and draft rehabilitation planning in stroke care.

サトシサトシ
リハビリ計画のたたき台をAIに作らせて医師が仕上げる形は、現場に合いそうな使い方だと思います。

医師が常駐しない地域向けに、移動ユニットとオンライン診療を組み合わせた実証事業が経産省補助金に採択されたという発表。

  • オフグリッド対応の移動ユニットに遠隔・オンライン診療体制を組み合わせ、医師少数区域や建設現場への医療供給を目指す
  • 経済産業省「生活維持役務等効率化促進事業費補助金」に採択され、神奈川県箱根町で令和8年12月に実証を予定している
  • 経産省の実証モデル集への掲載段階で、補助金の金額や実証後の展開規模は公表されていない

出典:株式会社ジェイエムインテグラル / ジェイエムインテグラル、経済産業省「令和8年度生活維持役務等効率化促進事業費補助金」に採択

サトシサトシ
医師が現地にいない前提のオンライン診療は、責任の線引きが具体的にどうなるのか気になります。
リリース その他

医療機関の電話にAIが応答するイタリア発の音声アシスタントを日本向けに作り替える調査に着手したという発表。

  • 医療機関の電話対応を担うイタリアIcarus社のAI音声アシスタントについて、Yapが2026年8月25日にサービス契約を締結し日本向け調査を始めた
  • イタリアの診療所での導入例では、月5,000人超の対応で平均応答5秒、電話が95%減ったとIcarus社が公表しているとしている
  • 3段階中の第1段階の調査のみで、日本での提供開始時期や料金は現時点で決まっていないとしている

出典:Yap / Yap、イタリアIcarus社と本契約を締結 医療機関の電話を一次受けするAIを日本向けに作り替えへ

サトシサトシ
電話対応の負担は実感がありますが、緊急かどうかの見極めをAIに任せる部分の設計が肝だと思います。

新潟大学とBeyondUSが、燕市を実証フィールドに医療リソースを共有する遠隔医療の実証を開始したという発表。

  • 医療AI企業のBeyondUSが新潟大学と2026年1月に締結した包括共同事業契約に基づき、燕市で地域医療DXの実証を開始した
  • 遠隔医療基盤を使って地域内で医療リソースを柔軟に共有する仕組みの有効性を検証し、他地域展開可能な「新潟モデル」を目指すとしている
  • 現時点は実証の開始段階で、具体的な効果や規模を示す数値は公表されていない

出典:BeyondUS株式会社 / BeyondUS株式会社、新潟大学と連携し燕市で遠隔医療の実証を開始

サトシサトシ
実証止まりの発表が多い分野で、包括契約という土台があるかどうかは差になる点だと思う。