2026年9月22日(火)のおすすめトピック

13本(論文11・ニュース2)

論文 生成AI・LLM 注目

不妊治療の意思決定支援AIで、自動評価の性能向上が臨床的な質の向上と一致しなかったという論文。

  • 中国の不妊治療の電子カルテ8201件を使い、4種類のLLM調整手法(SFT・DPO・GRPO・ICL)の性能を比較した
  • 自動評価ではGRPOが最高精度(不妊タイプ正解率92.57%)だったが、専門医評価では保守的なSFTの方が高く評価された
  • 幻覚(事実と異なる内容)の発生率はGRPOで15%、SFTで18.5%あり、いずれも臨床導入には至らないと結論づけた

出典:J Med Internet Res / The Alignment Paradox of Medical Large Language Models in Infertility Care: Decoupling Algorithmic Improvement From Clinical Decision-Making Quality.

サトシサトシ
数字上の性能が良くても専門医の評価とは一致しない、という冷静な報告です。AIの導入判断は現場の目で見ないといけませんね。

軽量なLLMをリウマチ内科の実症例で微調整すると、大規模モデルに匹敵する診断精度が出たという論文。

  • 汎用LLM「Qwen3-8B」を中国のリウマチ内科の実症例19,682件で微調整し、他の大規模モデルと精度を比較した
  • 微調整でHit1正解率は68.41%から79.84%に上昇し、医師判定では91.6%(GPT-5.6 Solは93.5%)だった
  • 小型モデルのため院内でのローカル導入のハードルが低く、データを外部に出さずに済む点が新しい

出典:Int J Med Inform / Fine-tuning a compact large language model on real-world cases yields diagnostic performance comparable to flagship models in rheumatology.

サトシサトシ
クラウド任せにせず院内で動かせる小さいAIという発想が現場向きだと思います。データを外に出さない安心感は大きいですね。

ドイツの全国オプトアウト型電子カルテの導入初期を、外来医療者への聞き取りで調べたという論文。

  • ドイツで2025年に始まった全国統一の電子患者記録(ePA)について、外来医療者49人に半構造化面接を行った
  • 技術の不安定さや診療システム間の相互運用性不足が障壁となり、組織内の学習環境や情報共有が普及を後押ししていた
  • 医療者の抵抗ではなく組織的・技術的条件が普及を左右しており、導入するだけでは定着しないと結論づけた

出典:J Med Internet Res / Early Implementation of a Nationwide Opt-Out Electronic Health Record for Outpatient Care in Germany: Qualitative Semistructured Interview Study.

サトシサトシ
電子カルテは配って終わりではなく、現場の運用体制まで整えて初めて根付くという話です。日本にも通じる示唆だと感じます。

日本のがん診療記録をBERTで匿名化しつつ研究に使える形へ変換する枠組みを開発したという論文。

  • 国内2病院のがん患者延べ4383人・8万件超の診療記録から、BERTでTNM分類などを抽出し匿名化した
  • 匿名化後もTNM分類やステージ情報を約24%の文書で復元でき、直接特定できる情報の残存は確認されなかった
  • 監査可能性と再現性を両立させる匿名化の設計を、国内の実データで示した点が新しい

出典:JMIR Med Inform / Development of a Framework for Deidentified Japanese Electronic Health Record Narratives Using BERT: Balancing Privacy Protection and Reproducible Entity Extraction in Real-World Data.

サトシサトシ
個人情報を守りながら研究に使える形に変える工夫です。国内データでの実証は薬剤疫学研究にも効いてくると思います。

敗血症性凝固障害の死亡リスクを予測する解釈可能な機械学習モデルを、多施設データで検証したという論文。

  • MIMIC-IVやeICUなど3施設1万2千例超のICUデータで、12種類の機械学習手法と従来の重症度スコアを比較した
  • XGBoostモデルのAUCは内部検証0.899、2つの外部検証で0.882〜0.904と従来スコアを上回る精度を示した
  • SHAP解析でアニオンギャップや乳酸値などの寄与度を可視化し、オンラインで使える予測ツールも公開した

出典:JMIR Med Inform / Development and Validation of an Interpretable Machine Learning Model to Predict Mortality in Patients With Sepsis-Induced Coagulopathy: Multicenter Cohort Study.

サトシサトシ
多施設データで従来スコアを上回ったのは説得力があります。ICUの現場で実際に使われるかはこれからですね。

口腔粘膜病変の画像診断で、対話型AIと医師の精度を国際多施設で比較したという論文。

  • イタリアなど5カ国20施設で、口腔病変のある患者320人を含む350人の写真をGemini 2.5と医師4人が判定した
  • AIの悪性・良性判定精度は97.1%(感度98.5%、特異度96.2%)で、詳細な診断名の一致率は88.0%だった
  • 単一読影による探索的研究であり、臨床導入の前に前向きな外部検証が必要だと著者は限界を明記した

出典:Otolaryngol Head Neck Surg / Image-Based Diagnosis of Oral Lesions: Performance of a Vision-Language Model versus Human Clinicians.

サトシサトシ
AIの数字は良くても著者自身が慎重な書きぶりなのが誠実だと感じます。遠隔診療での活用はまだ先の話ですね。

NICU退院後の医療的ケア児を遠隔モニタリングで支援するプログラムの効果を検証したという論文。

  • 米国でNICU退院後に経管栄養が必要な乳児を対象に、遠隔診療とテキスト連絡を組み合わせた30日間の支援を行った
  • 30日以内の再入院率は導入群13%、非導入群22%(p<0.01)で、救急受診率も21%対28%と低かった
  • 体重増加には有意差がなかったが、家族の推奨度(NPS)は89と高く、通訳対応など次の課題も残った

出典:Telemed J E Health / Neonatal CATCH Program: Remote Monitoring Benefits Medically Complex Infants at Home.

サトシサトシ
退院後すぐの手厚いフォローが再入院を減らすという結果です。地域や言語のサポート体制まで含めて考える必要がありますね。

C型肝炎の治療で、対面診療と遠隔診療を組み合わせると服薬完遂率が上がったという論文。

  • イスラエルの医療機関でC型肝炎患者7295人を対面のみ・遠隔のみ・併用の3群に分け、治療完遂率を比較した
  • 治療完遂率は対面64%、遠隔61%に対し併用群は74%で、併用は対面のみより有意に高かった(調整OR 1.67)
  • 遠隔診療単独では対面との差はなく、対面と遠隔を組み合わせた設計が完遂率を押し上げていた

出典:Telemed J E Health / In-Person Versus Telemedicine for Medication Adherence in Hepatitis C.

サトシサトシ
遠隔か対面かの二択ではなく組み合わせ方が効くという結果です。薬局としても服薬継続の支援を考えるヒントになります。

心不全患者への遠隔モニタリングプログラムの効果を検証したという論文。

  • 米国の心不全患者39人をウェアラブル型センサーとAIアラートで30日間追跡し、既往対照群と比較した
  • 補正後30日再入院率は介入群0.31(95%CI 0.06-1.38、p=0.138)で有意差はなかった
  • APP訪問や利尿薬増量などの対応は介入群で増えたが、心不全が原因の再入院はどちらの群にも見られなかった

出典:Appl Clin Inform / Continuous Remote Patient Monitoring in Heart Failure Patients: The Heart Failure Cascade Study: Phase II and III Outcomes.

サトシサトシ
遠隔モニタリングは対応は増やせても再入院を減らすには至らなかった、という結果です。仕組みだけでは変わらない現場の難しさを感じます。

マイナ保険証の経過措置終了に伴う「資格確認書」を巡る混乱について、FNNプライムオンラインが報じました。。

  • 後期高齢者の従来保険証の経過措置が7月に終了し、8月から受診にはマイナ保険証か資格確認書が必須になった
  • 資格確認書の交付基準は自治体ごとに分かれ、利用実績を考慮せず全員には交付しない自治体が14都道府県にのぼる
  • 資格情報のお知らせのみで受診しようとする例が相次ぎ、保険証代わりにならず10割負担を求められる場合がある

出典:FNNプライムオンライン / 『マイナ保険証』問題 期限切れ保険証も使える『暫定措置終了』で 患者から「何をもっていけばいいの?」問い合わせ急増 「資格情報のお知らせ」だけで受診しようとする人も

サトシサトシ
制度が変わるたびに現場と患者さんの混乱が増える構図です。窓口対応の負荷は薬局にも波及しかねないと感じます。
ニュース その他

AIとロボットを使う「フィジカルAI」による創薬・再生医療の研究開発競争について、テレビ朝日が報じました。。

  • 東京科学大学のロボット未来創造センターでは、AIが実験計画を立てヒト型ロボット「まほろ」が自動で実験を行う研究を進めている
  • iPS細胞を使う再生医療では細胞を安定して大量生産することが課題で、ロボット導入による品質安定化が期待されている
  • アステラス製薬と安川電機は合弁会社「セラファ・バイオサイエンス」を設立し、産業用ロボットとiPS細胞を組み合わせた社会実装を目指している

出典:テレ朝NEWS / 【フィジカルAI開発競争が加速】産学が挑む“創薬と再生医療”ニッポンの勝ち筋は?

サトシサトシ
薬づくりの現場に人型ロボットが入るのは驚きですが、iPS細胞の量産という薬剤師にも身近な課題につながる話です。

デジタル薬瓶キャップで心筋梗塞後の服薬アドヒアランスを客観的に評価したという論文。

  • 心筋梗塞後にダパグリフロジンを服用した患者2429人を対象に、瓶を開けた記録73万件超をランダム化比較試験の事後解析で調べた
  • 40歳未満や喫煙者は服薬率が低く、NYHA重症度が高い患者や朝の服薬習慣がある患者は服薬が安定していた
  • 早期から服薬時刻が安定していた患者ほどその後も服薬を継続しており、時刻のばらつきが将来の中断の予兆になりうるとした

出典:J Med Internet Res / Medication Adherence Behavior Assessed Using a Digital Bottle Cap: Retrospective Cohort Study.

サトシサトシ
薬のフタを開けた時刻まで追えると、飲み忘れの予兆を早めにつかめそうです。服薬指導のタイミングにも活かせる視点だと思います。

まれな脳の奇形「キアリ奇形」の患者向け説明で、複数の対話型AIの精度を比較したという論文。

  • ChatGPT-4o、Gemini、Copilot、DeepSeek、Perplexityの5つのAIにキアリ奇形9型について7つの質問をさせ、脳神経外科医3人が採点した
  • 総合的な正確さと網羅性はGeminiが最も高く、簡潔さではPerplexityが優れていた一方、Copilotは全体的に評価が低かった
  • 頻度の高い1型・2型では回答の質が高かったが、まれな亜型では精度が下がり、専門家による確認が必要だとした

出典:World Neurosurg / Assessing Artificial Intelligence Language Models for Patient-Oriented Information on Chiari Malformation Types: A Structured Multinational Evaluation Based on Real-World Expectations.

サトシサトシ
よくあるタイプには強くても、まれな病気になると精度が落ちるのは想像通りですね。患者さんへの説明はAI任せにできないという再確認です。