2026年10月8日(木)のおすすめトピック

10本(リリース4・論文4・ニュース2)

リリース 電子カルテ・記録業務 注目

東日本メディコムが、在宅訪問先で録音・撮影した内容から薬歴の下書きを作るiPhone・iPad向けアプリ「MC-Drive GO」を10月から提供するという発表。

  • 訪問先ではオフラインで会話を録音し写真を撮る。帰局後に「MC-Drive for Pharmacy」へ取り込むと、AIが書き起こしてSOAP形式の薬歴の下書きを作る。
  • 価格はMC-Drive for Pharmacyのスタンダードプラン利用者で月額3000円から、ライトプラン利用者で月額5000円から(いずれも税抜)。
  • 投薬後の作業時間が9%減り、薬歴のA欄の記載量が78%増えたと同社は説明している(同社調べ)。AI処理は国内に限定したAIで行うとしている。

出典:東日本メディコム株式会社 / AIを訪問先へ持ち出せる。モバイルAIアシスタント「MC-Drive GO」提供開始

サトシサトシ
在宅は電波の届かない家も多いので、オフラインで録って戻ってからまとめる設計は現実的です。訪問後の薬歴が溜まる苦しさは薬剤師ならみんな知っています。

神経ブロック前の超音波画像で、汎用のマルチモーダルAI(GPT-4.5)が示す標的領域を麻酔科医の判定と比べた論文。

  • 斜角筋間、鎖骨上、大腿、膝窩坐骨の4種のブロックの画像100枚で、経験のある麻酔科医3人の合意領域を基準にした。AIは各画像を3回評価した。
  • AIと専門家の重なり(Dice係数)の中央値は0.47で、専門家どうしの0.88を下回った(P<0.001)。中心のずれの中央値は6.85mmだった。
  • 修正なしで使えると評価された領域は5%だった。3回の評価間の再現性は高く(Dice 0.93)、毎回同じでも位置が正しいとは限らなかった。

出典:J Imaging Inform Med / Spatial Validation of General-Purpose Multimodal AI-Generated Target Regions in Peripheral Nerve Block Ultrasound.

サトシサトシ
毎回ほぼ同じ答えを返すのに、その位置がずれているというのは怖いところですね。安定して見えることと正しいことは別だと分かる結果です。

認知機能検査が正常だった高齢者のカルテから、本人や家族の「物忘れの訴え」を大規模言語モデルで拾い出した後ろ向きコホート研究の論文。

  • 2019年1月〜2024年4月に検査が正常だった65歳以上の1万5750人について、前年1年分の診療記録を2段階のLLMで読み取った。
  • 手作業との照合で、感度0.957、陽性的中率0.935、特異度0.985だった。訴えの記載があったのは13.8%で、記録全体の1.2%にとどまった。
  • 記載はパーキンソン病(調整OR 5.29)や脳卒中で多く、肥満や貧困度の高い地域の住民では少なかった。カルテに残るかどうか自体に偏りがある。

出典:JMIR Aging / Large Language Model-Based Identification of Subjective Cognitive Decline in Electronic Health Records Among Older Adults With Normal Cognitive Testing: Retrospective Cohort Study.

サトシサトシ
訴えがあってもカルテに書かれない人がいる、という偏りまで見えたのが面白いです。薬歴の「S」欄でも同じことが起きていそうだと感じました。

年齢と一般的な血液検査6項目から、治療の対象となるMASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎)の人を見つける機械学習モデルを作ったスペインの論文。

  • エラストグラフィ検査のある一般住民2267人でモデル「VARM-7」を作り、バレンシア州の公的医療データベース341万1069人に当てはめた。
  • 独立した検証データでのAUROCは0.84で、FIB-4の0.64を上回った(P<0.001)。州全体の推定有病率は11.7%、2型糖尿病では44.0%だった。
  • 後ろ向き研究で、外部検証と予後の評価はまだ行われていない。基準にしたのは生検ではなくエラストグラフィ由来の定義。

出典:Front Digit Health / Development of a machine learning model to identify individuals with VCTE-derived at-risk MASH in a Spanish Mediterranean region.

サトシサトシ
健診で普通に測っている項目だけでFIB-4より絞り込めるなら、紹介の入口として使いやすいですね。糖尿病の方の44%という推定の大きさにも驚きます。

東日本メディコムがクラウド薬歴「DrugstarLead」のオプションとして、LINEで服薬期間中のフォローアップを行う機能を10月27日に提供開始するという発表。

  • 患者はLINEで処方箋の画像を送り、薬局からのメッセージやリマインドを受け取って回答する。やりとりは薬歴と同じ画面で確認できる。
  • 価格は月額2500円(税抜)。LINEヤフー for Businessの公式アカウントの契約が別途必要になる。
  • 配信や回答の集約は自動化し、誰をどうフォローするかの判断は薬剤師が担う設計としている。導入効果の数字はリリースに書かれていない。

出典:東日本メディコム株式会社 / LINEで服薬フォローアップ、クラウド薬歴「DrugstarLead」の新オプションとして提供開始

サトシサトシ
電話でのフォローアップは出てもらえないことが多いので、LINEで回答が薬歴に集まるのは助かります。月2500円なら小さな薬局でも試しやすい価格です。
リリース 生成AI・LLM

国立循環器病研究センター発のCubecが、医師の臨床疑問に答える無料の臨床ナレッジAI「Cubec」のスマホアプリを10月8日に公開したという発表。

  • 専門医が監修した独自の「医学ノート」、PubMed、医療用医薬品の添付文書を情報源に、自然文の質問に答える。「高速」「推論」「論文」の3つの回答モードがある。
  • 2025年5月のWeb版開始以来、登録医師数は2500人を超えた。利用の約70%は平日8時〜18時に集中していると同社は説明している。
  • iOSとAndroidで無料で提供する。回答の精度を検証した数字はリリースに書かれていない。

出典:株式会社Cubec / 臨床ナレッジAI「Cubec」、外来・当直の合間でも使いやすい無料スマホアプリを提供開始

サトシサトシ
利用の7割が平日の日中というのは、まさに外来の合間に調べている姿が浮かびます。添付文書まで引いてくれるなら、疑義照会の前後で薬剤師も使ってみたいです。

入院患者の見逃された低栄養などをカルテ全体からAIで拾う米Healthleapが3800万ドルを調達したことについて、Fierce Healthcareが報じました。

  • シードとシリーズAの合計で、Sequoia Capital、First Round Capitalなどが参加した。記録、検査値、バイタル、オーダーを継続的に解析し、リスクを電子カルテに返す。
  • ペン・メディシンの1病院では、診療報酬の増加と在院日数の短縮で年2380万ドルの効果があったと同社は説明。低栄養の発見・治療が39%増えた病院もあるという。
  • 資金はせん妄や誤嚥性肺炎、褥瘡など40以上の病態への拡大に充てる。効果の数字はいずれも企業と投資家側の説明。

出典:Fierce Healthcare / Healthleap banks $38M for AI screening platform that catches undiagnosed conditions

サトシサトシ
入院時に看護師が2問聞くだけの低栄養スクリーニングを、カルテ全体で補うという発想ですね。収益面の数字が前に出ているのが米国らしいところです。

ICUの死亡予測に大規模言語モデルを使うとき、過去の似た症例を示すプロンプトで性別や人種による偏りを減らせるかを調べた論文。

  • MIMIC-IVのデータで、予測を誤った過去例や属性の影響を受けやすい過去例を検索してプロンプトに加える手法(CAP)を、追加学習なしで評価した。
  • 通常のプロンプトと比べ、AUROCは0.806から0.873、AUPRCは0.497から0.694に上がった。性別と白人・黒人間の差はいくつか縮まった。
  • 年齢による差は無視できない大きさで残った。単一データベースの後ろ向き評価で、他のLLMや外部データ、前向きの検証はこれから。

出典:★Artif Intell Med / Improving fairness of large language model-based ICU mortality prediction via case-based prompting.

サトシサトシ
モデルを作り直さず、見せる症例の選び方で偏りを減らすという発想は現場向きです。年齢の差が残った点は、高齢者が多い日本では気になります。

689Cloudが、診療情報提供書やDICOM画像をGmailやOutlookから暗号化して送れる医療機関向けサービス「SecureMail-M」の提供を始めたという発表。

  • ファイルは添付せず国内データセンターに保管し、閲覧リンクを送る。受信者はメールアドレスとワンタイムPINで認証してブラウザで閲覧する。
  • 埼玉医科大学国際医療センターが先行導入し、患者の来院前に紹介先へ画像を共有できるとしている。国内100医療機関への導入を目指す。
  • 価格はオープン。3省2ガイドラインへの対応は同社による対応で、第三者機関の認証ではないと注記している。

出典:689Cloud PTE Ltd. / CD-ROMやFAXに代わる医療DXデータ共有へ、689Cloudが「SecureMail-M」を提供開始

サトシサトシ
CD-ROMを焼いて患者さんに持たせる運用はまだ多いので、メールソフトだけで受け取れるのは連携先を広げやすいですね。誤送信後に止められる機能は心強いです。

プラザクリエイトとファストドクターが、職場の個室型ブースからオンライン診療を受けられるサービスで提携したことについて、リアルプレスが報じました。

  • 累計約2000台を導入した個室型ブース「OneBo」と、ファストドクターのオンライン診療網を連携させる。専用システムで原則15分以内に医師につながるとしている。
  • タブレットを標準装備した新型「OneBo Natura」を直販価格45万円(税抜)で発売する。処方箋は指定した薬局へ送られる。
  • 同社の調査では、過去1年に体調不良を感じた人の69.9%が仕事の都合で受診を先延ばしまたは断念したと回答したという。

出典:dメニューニュース / 職場の個室ブースが「医療の入口」に! プラザクリエイト×ファストドクター、時間と場所の制約を超えるオンライン診療の新提案

サトシサトシ
処方箋が会社の近くの薬局に飛んでくる流れになると、薬局側の受け方も変わりそうです。健康経営の予算で入れる企業がどれくらい出るか気になります。