2026年10月7日(水)のおすすめトピック

16本(論文7・リリース5・ニュース4)

論文 画像診断AI 注目

胃の腫瘍性病変を拾う内視鏡AIが、内視鏡医の生検の取り方をどう変えたかをランダム化比較試験の二次解析で調べた論文。

  • AI群1万3440人、対照群1万2561人のRCTを二次解析した。AIは高リスク病変を赤枠、低リスク病変を青枠で示し、中央病理判定を基準にした。
  • 赤枠病変の非生検率は18.00%で、赤枠以外の43.26%、対照群の45.60%より低かった(いずれもP<0.001)。腫瘍への生検効率は8.19%対0.36%、1.77%だった。
  • 偽陽性アラートと生検数の相関は弱い負の相関(ρ=-0.182)で、誤警報が無差別な生検を増やす傾向は見られなかった。

出典:Dig Endosc / Effect of a Computer-Aided Device on Endoscopists' Biopsy Practice for Gastric Neoplasms: A Secondary Analysis of a Randomized Controlled Trial.

サトシサトシ
AIの警告が多いと生検が増えて病理の負担が膨らむ心配がありますが、そうはならなかったという結果ですね。検体を扱う側にもありがたい話です。

内科研修医の外来カルテ記載をテンプレートと研修で標準化し、記録時間と燃え尽きの変化を調べた論文。

  • 都市部の大学外来で、介入群のPGY2・52人とPGY3・55人を過去の対照群と比べる前後差の差分分析を行った。
  • 1診療あたりの記録時間はPGY2で18.8分、PGY3で12.0分短縮した(いずれもP<0.0001)。PGY2のノート長は43.3%、コピペ文字数は66.7%減った。
  • Mini-Zの総合スコアに有意な変化はなかった。燃え尽きの単一項目は3.2から3.7に改善したが、アンケート回答数は事前42人、事後28人だった。

出典:J Gen Intern Med / The Impact of Outpatient Documentation Standardization on Internal Medicine Resident Efficiency and Well-Being.

サトシサトシ
AIを入れる前に、まず型をそろえるだけで1診療18分も縮むんですね。スクライブ導入の議論でも、比較の土台になる数字だと思います。
リリース 生成AI・LLM 注目

ウィーメックスが薬局向けの「生成AI服薬指導提案機能」を10月下旬から正式に提供するという発表。

  • 受付時の処方、前回処方、過去の薬歴をもとに、服薬指導で患者に確認する事項の候補を生成AIが提案する。「生成AI薬歴入力支援サービス」の追加オプション。
  • 2025年9月から一部の提携薬局でモニター提供し、処方の新規追加や変更点を捉えた提案、低血糖やめまいなど具体的な確認項目の提示を加えたとしている。
  • 提案は「患者確認」「副作用」「受診目安」「相互作用」など目的別に整理して表示する。価格はリリースに記載がない。

出典:ウィーメックス(WEMEX) / 「生成AI服薬指導提案機能」を正式に提供開始

サトシサトシ
薬歴の入力支援から、指導の中身の提案へ一歩進んだ形ですね。前回から何が変わったかを拾ってくれるのは、忙しい時間帯の聞き漏れ防止に効きそうです。

ICU患者の薬物相互作用の検出で、ChatGPT-5とUpToDateの相互作用チェッカーを比べた横断研究の論文。

  • 成人ICU患者101人の処方を、2025年9月時点のAPI版ChatGPT-5に標準プロンプトで入力し、UpToDateを基準に診断性能を評価した。
  • 1人あたりの検出数は平均7.2件対1.1件。感度69.8%、特異度52.4%、陰性的中率36.7%で、両者の一致度はκ=0.19と低かった。
  • UpToDateでD・X分類の相互作用がなかった17人は性能解析から除外された。除外例を不一致と扱うと一致率は65.5%から54.5%に下がった。

出典:Front Pharmacol / Evaluating a large language model (ChatGPT-5) for detecting potential drug-drug interactions in intensive care: a cross-sectional comparative study with a clinical decision support system.

サトシサトシ
検出数が7倍というのは、薬剤師の立場だとアラート疲れの心配が先に立ちます。特異度52%では、監査の補助としてもまだ使いにくい印象です。

ループスアンチコアグラント検査で、陰性になる例を前段の凝固検査だけで早めに除外する判断支援ツールを評価した論文。

  • 三次医療機関の7454件のLAC評価を使い、リン脂質低濃度と高濃度のAPTT比を中心にした支援ツール「MINI-LAC」を開発した。
  • このAPTT比はLACの判定区分をよく分け(P<10^-53)、独立した前向きコホートで陰性的中率は約98%だった。
  • 実際の評価では1件あたり約7項目の追加凝固検査が必要で、最終判定の約90%が陰性だった。陰性以外や判定不確実の例は従来どおり全検査を行う設計。

出典:★NPJ Digit Med / Digital decision support using a phospholipid-dependent biomarker for early exclusion of negative cases in lupus anticoagulant diagnostics.

サトシサトシ
9割が陰性の検査に毎回7項目かけている現状を、既存の数値だけで削れるのは検査室にとって大きいです。抗凝固薬の調整にも関わる検査ですね。
論文 その他

気管支鏡検査前のリスク説明で、患者本人のCTから作ったデジタルツインを見せると不安が減るかを検証した多施設ランダム化比較試験の論文。

  • 局所麻酔下で待機的気管支鏡を受ける成人122人を、シミュレーター画像を加えた説明群と通常説明群に61人ずつ割り付けた。盲検化はなし。
  • VASの不安低下はβ=-15.89(P<.001)。臨床的に意味のある改善は49.2%対6.6%で、満足度は16.89対14.38だった(P<.001)。
  • 評価は説明直後の自己申告の不安で、説明にかかった時間はそろえていない。著者らは時間を合わせた比較や費用対効果の検討が要るとしている。

出典:J Med Internet Res / Digital Twin-Assisted Risk Disclosure in Adults Undergoing Elective Bronchoscopy: Multicenter Randomized Controlled Trial.

サトシサトシ
同じ説明でも本人の気道の形を見せるだけで不安がここまで違うんですね。服薬指導でも、絵や実物を見せたときの反応の差は日々感じます。

腎臓関連のICDコードを研究用の別の用語体系に変換すると、診断の区別がどれだけ失われるかを調べた論文。

  • 大学病院の57万1435人に使われた腎関連ICDコード585個を、Phecode・SNOMED-CT・HPO・OMIMへ変換し、腎臓内科医3人が意味の保たれ方を採点した。
  • ICDからPhecodeへの変換は39%が「不良」と評価された。1つに多くのコードがまとめられるほど意味の保持は低かった(OR 0.33、P<.001)。
  • SNOMED-CT・HPO・OMIMは多くが1対1の対応で、不良と評価された対応はなかった。単一施設の後ろ向き横断研究。

出典:J Am Med Inform Assoc / Lost in transformation: diagnostic aggregation and semantic drift in ICD-derived kidney phenotypes.

サトシサトシ
電子カルテのデータを研究に回すときに、病名の細かい区別が変換で消えてしまう問題ですね。医療メディアの立場でも、集計の前提として覚えておきたいです。

日常の血液検査パネルから内科の診断コード群を当てる機械学習モデルを作り、大規模言語モデル3種と比べた論文。

  • 内科の成人24万2648件の受診で、年齢・性別と34項目の検査値からICD-10コード群17種を判定するXGBoostモデルを作った。
  • 交差検証の平均AUCは0.893。80人の時間的ホールドアウトでは0.880で、LLM3種の0.729〜0.739を上回った(差は0.141〜0.151、すべてP<.005)。
  • 比較に使ったホールドアウトは80人と小さく、特異度をそろえた感度の差は精度が低かった。著者らは診断ではなく前向き多施設評価の段階と位置づけている。

出典:Lab Med / Routine laboratory panels classify internal medicine ICD-10 code groups: comparison with frontier large language models and laboratory-only specialist assessment.

サトシサトシ
汎用のLLMより、検査値だけで学習した専用モデルのほうが強いという、ある意味で予想どおりの結果ですね。用途ごとの使い分けを考える材料になります。

病院向けクラウド基幹システム「Henry」のヘンリーが、地方銀行5行と地銀系VC2社から総額12億円を調達したという発表。

  • 静岡銀行をアレンジャーとする地銀5行のベンチャーデット型シンジケートローンで11億円、地銀系VC2社の出資で1億円を調達した。
  • 地銀だけで組成したベンチャーデット型のシンジケートローンは国内初と同社は説明。導入病院の約8割が地方に立地しているという。
  • 資金は地方病院の導入・移行支援と、医事BPOやAIエージェントの拡充に充てる。参加金融機関からの病院紹介など販売面でも連携する。

出典:ヘンリー / ヘンリー、地方銀行5行・地銀系VC2社から融資中心に12億円を調達

サトシサトシ
病院のメインバンクが電子カルテの営業窓口にもなる構図は面白いです。経営改善とシステム更新をセットで持ち込めるのは、中小病院には強い入り口ですね。

メディヴァ、シーズ・ワン、コミュニティ&コミュニティホスピタル協会の3者が、中小病院のDX推進で業務提携したという発表。

  • 同善病院と水海道さくら病院で進めたインフラ刷新、クラウド電子カルテ、Teams、生成AIの活用をパッケージにして全国の中小病院に展開する。
  • 同善会の訪問診療では、会話録音からのカルテ文案作成で医師の記録時間が約55%(1日約50分)減ったと発表している。FAX仕分けの事務作業は約30%減としている。
  • リハビリ職の入力時間は約54%(1日約32分)減ったとしている。いずれも先行施設での実績としての発表で、支援の価格や開始時期は書かれていない。

出典:株式会社メディヴァ / メディヴァは「シーズ・ワン」「C&CH協会」と提携し、病院DXを本格推進 ――総合診療医と共同開発した中小病院の「働き方改革」と「地域医療の質向上」の実践を支援

サトシサトシ
「要約しすぎてはいけない」という要件定義が、在宅らしくて印象に残りました。家族や生活の情報が残るかどうかは、在宅の薬剤師にも大事なところです。
リリース 生成AI・LLM

大阪けいさつ病院(650床)が、電子カルテのデータを使う生成AI基盤「Apollo AI」を導入し始めたというAlbatrusの発表。

  • Apollo AIはサマリなどの文章生成や音声の文字起こしで記録業務を支援し、AIモジュールを追加できる基盤として設計されている。
  • 院内とAWSを閉域網でつないだクラウド基盤と統合データベースに接続し、全職員に配布済みのiPhoneと電子カルテ端末の両方から使えるようにする。
  • 同院は全国5病院に続く開発パートナーとなり、iPhoneと生成AI、院内データとAIの組み合わせを中心に機能開発を進める。導入効果の数字はまだ出ていない。

出典:株式会社Albatrus / 大阪けいさつ病院、スマートホスピタルの一環としてAI基幹システム『Apollo AI』を導入開始し、iPhone × 生成AI × 院内データの活用を加速!

サトシサトシ
全職員がiPhoneを持っている病院だと、AIを病棟で使う入口がすでにあるのが強いです。どの機能から現場に定着するのか、続報を見たいところです。

栃木県塩谷町が民間3社と組み、看護師が乗った専用車両でオンライン診療を届ける取り組みについて、日本経済新聞が報じました。

  • 町はアグリケア、MONET Technologies、筑波大発のリーバーの3社と連携。通院が難しい外来患者の自宅に看護師が乗った車両が訪問し、車内で血圧などを測ってオンライン診療を受ける。
  • 記事によると、町内で在宅医療の充実を望む住民は4割近くいる一方、訪問診療の利用率は1割に満たない。
  • 町は2026〜27年度に実証運行を行い、2028年度の本格導入を目指す。町は看護師や運転手の配置を担う。

出典:日本経済新聞 / 栃木・塩谷町、民間と連携し遠隔診療サービス 地域医療を再構築

サトシサトシ
看護師が車で来て測定まで済ませてくれる形は、高齢の患者さんにはオンライン診療の一番の壁を越えやすいと思います。処方薬の受け取りをどうつなぐかも気になります。

PreMedが、LINEのトーク画面だけで予約が完結するクリニック向け予約システム「Galapagos」を自社開発したという発表。

  • 2026年11月に東京・自由が丘で開院予定の小児科「キッズクリニックまるまる」で本番稼働し、KAIZENグループの他院にも順次導入する。
  • 患者はLINE上で予約、変更、キャンセル、問診まで済ませ、問い合わせにはAIが一次対応する。予約が確定するのは患者本人がボタンを押したときだけとしている。
  • 診療時間や予約枠などの設定はAIエージェントへの依頼で変更でき、権限は役職ごとに決まり変更履歴が残る。価格や外販の予定は書かれていない。

出典:PreMed株式会社 / PreMed、医療機関向けAIネイティブ予約システム「Galapagos」を自社開発。患者はLINEトークだけで予約が完結し、管理画面の細かな設定までAIエージェントで実行

サトシサトシ
ワクチンの在庫と予約が連動するのは、小児科の現場だと地味に助かる機能です。管理画面の設定までAIに頼める点が、他の予約システムとの違いですね。

米Teladoc Healthが病院向け遠隔診療基盤「Solo」にAIスクライブと非接触のバイタル測定を加えたことについて、Fierce Healthcareが報じました。

  • SoloScribeは遠隔診療の会話から構造化された記録を作り電子カルテに送るアンビエント型スクライブで、すでに一般提供されている。
  • SoloVitalsはスマホやタブレットのカメラで顔の色の変化を解析し、心拍数と呼吸数を測る。一般提供は12月の予定。Soloは世界1万5000以上の拠点に入っていると同社幹部は説明した。

出典:Fierce Healthcare / Teladoc Health unveils new AI capabilities within Solo platform for hospitals

サトシサトシ
新しい端末を足さず、すでに病室にある機器に機能を載せるという売り方が要点ですね。導入済みの基盤を持つ会社の強みがよく出ています。
ニュース その他

病院の人員配置と勤務表作成をAIで自動化する米スタートアップVitalizeが3100万ドルを調達したことについて、Fierce Healthcareが報じました。

  • シリーズAはOak HC/FTが主導し、Norwest Ventures、Y Combinator、MemorialCare Innovation Fundなどが参加した。
  • 記事によると、人件費は病院の運営費の50〜60%を占める。CEOは、病棟の管理者が勤務の調整に1日2〜4時間を使っていると説明した。
  • 同社は2023年冬のY Combinator出身で、医療者のウェルネスアプリから病院運営の人員・病床管理へ事業を転換した。

出典:Fierce Healthcare / Vitalize secures $31M to scale AI-powered operating system for hospital staffing and scheduling

サトシサトシ
勤務表づくりに師長さんが毎日何時間も取られている話は、日本の病院でもよく聞きます。臨床ではなく運営側のAIに大きなお金が集まっているのが今の流れですね。

パナソニックHDが介護施設の高齢者の体調変化の兆しをセンサーとAIで捉える「予兆ソリューション」を開発したことについて、IoTNEWSが報じました。

  • 心拍数や呼吸数、体動、睡眠などのセンサーデータを本人の平常時と比べて変化を検出するAIと、根拠を文章とグラフで示すレポート生成AIで構成される。
  • 約2000人を対象にした性能評価で再現率89.4%だったと同社は説明している。適合率など他の指標は記事に書かれていない。
  • 2026年10月から社会福祉法人ユーアイ二十一と、介護現場での有用性と運用性を確かめる実証実験を始める。

出典:IoTNEWS AI+ / パナソニックHD、介護施設向けに健康状態の変化の兆しを捉えるAI「予兆ソリューション」を開発

サトシサトシ
見守りセンサーはすでに入っている施設が多いので、そのデータを読み解く側を足すという発想は現実的です。誤報の多さが現場でどう受け止められるかが分かれ目ですね。