週刊Dose 2026年10月12日〜18日

6日分 / 全31本(ニュース21・論文6・リリース4)

特に注目された10本

電子処方箋の導入補助について、医療機関の導入期限が2027年3月末まで延びたと日本医事新報が報じました。

  • 厚労省は2026年9月30日までとしていた医療機関の導入期限を2027年3月31日まで延長した。申請期限は2027年9月30日の予定
  • 補助上限は診療所27.1万円、病院135.3万円、大規模病院200.7万円。院内処方機能も同時導入する場合は上限が上がる
  • 薬局の導入期限は2026年9月で終了とした。厚労省は認証クラウド型電子カルテの導入支援などを2027年度に検討している

出典:日本医事新報社 / ■NEWS 電子処方箋の導入補助、医療機関の導入期限を「2027年3月」まで延長

サトシサトシ
医療機関は延長、薬局は終了と分かれたのが目を引きます。電子カルテ側の支援策とセットで更新時期を考える病院が増えそうです。

市販のアンビエントリスニング3製品を、オランダ語の模擬外来で同伴者・割り込み・方言を含めて比べた論文。

  • 2診療科の台本付き診察10場面の音声を3製品に処理させ、生成されたカルテ4区分を臨床医8人が完全性・正確性・簡潔性の5段階で採点した
  • 製品別の平均点は3.82〜4.26で、評価者間一致はGwet AC-2=0.827。方言を含む場面の平均は3.77で最も低かった
  • シミュレーション音声での評価で、実臨床での効率化は検証していない。方言で点が下がる傾向は製品や診療科によって一様ではなかった

出典:JMIR Med Inform / Three Ambient Listening Systems in Simulated Dutch-Language Multispeaker and Multidialect Clinical Encounters: Comparative Study.

サトシサトシ
日本でも方言の強い地域の外来は多いので、同じ検証を日本語でやってほしくなります。正確性より完全性が低いというのは、聞き漏らしの方が多いということですね。
リリース 生成AI・LLM 2026-10-17

Incerto合同会社が、患者情報を院外に出さずに生成AIを使う「院内ローカルAI基盤」の提供を始めたという発表。

  • 院内に専用ハードウェアを設置してローカルLLMを動かし、導入前のセキュリティ点検から導入後の更新・保守までを同社が担う
  • 音声カルテAI、算定AIチャット、医療文書の作成支援、医療情報の検索チャットの4つのソフトウェアは無料で提供する。導入は約4〜6か月が目安
  • ハードウェア購入と導入・構築・保守の費用は規模や用途に応じた個別見積もり。対象は中小病院、診療所、医療法人グループなど

出典:Incerto合同会社 / 医療機関の機密情報を守りながら生成AIを活用する。Incerto、医療機関のセキュリティ強化とAI導入を一体で進める「院内ローカルAI基盤」を提供開始

サトシサトシ
ソフトは無料でもハードと保守は個別見積もりなので、総額がいくらになるかで判断が分かれそうです。算定AIチャットは医事課の人に感想を聞いてみたいです。

富士通Japanが厚生労働省の標準仕様に対応したクラウドネイティブ型電子カルテを2027年4月から提供する予定について、Dellows Newsが報じました。

  • 富士通Japanは診療所・中小病院向け電子カルテの標準仕様認証制度の要綱公表を受け、開発中のシステムを同仕様に対応させる作業に2026年10月16日に着手した
  • 中小規模病院向けは2027年4月の提供開始を予定し、電子処方箋や電子カルテ情報共有サービスとの連携も計画している
  • 大規模病院向けのクラウドネイティブ型は2028年度中の提供を目指すとしている。記事は富士通Japanの発表をもとに作成されている

出典:Dellows News / 富士通Japanが標準仕様対応の電子カルテを開発へ 2027年4月提供開始予定

サトシサトシ
電子カルテ情報共有サービスに対応すると、薬局側で見える情報も変わってきます。中小病院の入れ替え時期と2027年4月がどう重なるかが気になります。

米国医師会(AMA)が臨床機能を担うエージェント型AIのためのガバナンス枠組みを公表したことについて、Fierce Healthcareが報じました。

  • 枠組みはAMAのCenter for Digital Health and AIが作成し、臨床上の権限は「エビデンスで獲得し、実績で維持すべき」との考え方を軸にしている
  • AIの臨床上の役割の定義、性能と安全策の検証、権限の上限設定、利用に伴う責任の所在の4点に取り組むとしている
  • AMAはこれをもとに賠償責任、免許、規制のあり方について医師、開発企業、政策立案者と協議する方針

出典:Fierce Healthcare / American Medical Association rolls out governance framework for agentic AI solutions

サトシサトシ
権限を実績で段階的に広げるという考え方は、新人薬剤師に任せる業務を増やしていく流れと似ています。日本の医師会や学会がどう応じるかも見ていきたいです。

政府がゲノム・医療・金融の機微情報を第三者に提供する際に国の事前審査を導入する方向で検討していることについて、読売新聞が報じました。

  • 政府は10月16日の経済安全保障法制に関する有識者会議で、機微情報を大量に扱うゲノム・医療・金融の事業者に国の事前審査を導入する案を示した
  • 審査の対象はデータの処理・保存を行う情報システムの契約や、血液など生体試料・情報の提供。来年の通常国会に経済安保推進法改正案の提出を目指す
  • 有識者会議は年内にも提言をまとめる予定で、政府はAI開発などデータ利活用との両立を図るとしている

出典:読売新聞 / 安全保障上重要なゲノム・医療・金融の3分野対象、重要情報の流出防ぐ「データセキュリティー」強化へ

サトシサトシ
情報システムの契約まで審査対象になると、クラウド型の電子カルテやAIサービスを選ぶ際の確認項目が増えそうです。二次利用の議論とどう整合させるのか気になります。

米国の臨床医約95万人がAI臨床情報プラットフォームOpenEvidenceをどう使ったかを、2.5年分の利用記録から分析した論文。

  • 2024年1月〜2026年6月のNPI認証済み臨床医アカウントを対象にした横断研究。3,880万件の質問を層別抽出し、LLMで目的と領域を分類した
  • 95万2,008人が2.71億件を質問した。質問の51.9%が臨床判断に関するもので、治療・管理が33.1%、診断は13.9%だった
  • 利用比は卒後10年以内の医師で2.54と高く、眼科0.23、放射線科0.24と低かった。専門外の質問は腫瘍内科35%、救急88%だった

出典:JAMA / Clinician Use of an Artificial Intelligence-Enabled Clinical Information Platform.

サトシサトシ
治療・管理の質問が3分の1という数字が気になります。用量や相互作用の確認がどこまでAIに流れているのか、薬剤師として知りたいところです。

米ARPA-Hが心不全患者を支える臨床AIエージェントのFDA承認を目指す「ADVOCATE」の契約先を決めたことについて、JST研究開発戦略センターが報じました。

  • 4年間で総額6,270万ドルのプログラムで、初年度は最大3,370万ドルを投じる。ARPA-Hの発表は2026年9月9日
  • 患者向けAIエージェントはAtman Health、Tempus AI、Updocが開発し、監督AIはスタンフォード大学が担う。Kaiser Permanenteが21の医療センターで導入を進める
  • 成功すれば心不全だけで年間推定280億ドルの費用削減になるとARPA-Hは見込む。期間中からFDAと規制の枠組みを作る

出典:科学技術振興機構(JST) / ARPA-H、FDA承認を目指す血管診療向け臨床AIの開発に着手|海外記事検索|研究開発戦略センター(CRDS)

サトシサトシ
AIを監督するAIまで最初から予算に入っているのが印象的です。承認と診療報酬の道筋を同時に作る設計は、日本でも参考になりそうです。

AIの診断支援に確信度スコアや引用付きの説明を付けても、臨床医のAIへの信頼は変わらなかったという論文。

  • 臨床医220人を、透明性なし、数値の確信度スコア、引用付きの文章説明の3群に割り付け、症例ビネットでAI診断支援を使わせたランダム化実験
  • ツールへの信頼(P=.68)と全般的な信頼(P=.88)に群間差はなかった。AI出力を見て診断を変えた割合は平均45.8%で、対照群が最も高かった
  • 文章説明群は自信の上昇が大きかった(対照比P=.024)。シミュレーションの症例での実験で、実診療での検証ではない

出典:J Am Med Inform Assoc / Transparency features alone are insufficient for trust calibration in artificial intelligence diagnostic support.

サトシサトシ
説明を付けると自信だけが上がって、信頼は動かないという結果は少し怖いです。薬の情報提供でも同じことが起きていないか、気になりました。

医療機関向けシステム「アットリンク」への不正アクセスで、最大787医療機関の患者情報が漏えいした可能性について、読売新聞が報じました。

  • メドレーが10月15日に発表した。対象は主に産婦人科で使われる業務支援システム「アットリンク」と、患者向けの「アットリンクアプリ」など
  • 外部の専門機関から10月11日に情報提供を受けて判明した。関連サービスは14日深夜から一時停止している
  • 再開の見通しについて、メドレーは調査結果を踏まえて改めて知らせるとしている

出典:読売新聞 / 医療機関の予約システム「メドレー」に不正アクセス、最大787医療機関で患者の個人情報漏えいの可能性

サトシサトシ
予約から電子カルテまで扱うシステムが止まると、受付も診療も回らなくなります。委託先の事故が現場にどう響くかを考えさせられる件です。

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