AIの診断支援に確信度スコアや引用付きの説明を付けても、臨床医のAIへの信頼は変わらなかったという論文。
- 臨床医220人を、透明性なし、数値の確信度スコア、引用付きの文章説明の3群に割り付け、症例ビネットでAI診断支援を使わせたランダム化実験
- ツールへの信頼(P=.68)と全般的な信頼(P=.88)に群間差はなかった。AI出力を見て診断を変えた割合は平均45.8%で、対照群が最も高かった
- 文章説明群は自信の上昇が大きかった(対照比P=.024)。シミュレーションの症例での実験で、実診療での検証ではない
出典:J Am Med Inform Assoc / Transparency features alone are insufficient for trust calibration in artificial intelligence diagnostic support.
サトシ 説明を付けると自信だけが上がって、信頼は動かないという結果は少し怖いです。薬の情報提供でも同じことが起きていないか、気になりました。
医療機関向けシステム「アットリンク」への不正アクセスで、最大787医療機関の患者情報が漏えいした可能性について、読売新聞が報じました。
- メドレーが10月15日に発表した。対象は主に産婦人科で使われる業務支援システム「アットリンク」と、患者向けの「アットリンクアプリ」など
- 外部の専門機関から10月11日に情報提供を受けて判明した。関連サービスは14日深夜から一時停止している
- 再開の見通しについて、メドレーは調査結果を踏まえて改めて知らせるとしている
出典:読売新聞 / 医療機関の予約システム「メドレー」に不正アクセス、最大787医療機関で患者の個人情報漏えいの可能性
サトシ 予約から電子カルテまで扱うシステムが止まると、受付も診療も回らなくなります。委託先の事故が現場にどう響くかを考えさせられる件です。
厚生労働省が、AIで健保組合の加入者の健康課題を分析し保健事業を提案するシステムを構築する方針について、産経新聞が報じました。
- 健保組合が加入者の健康課題を入力すると、過去の保健事業の実績データをもとにAIが効果的な取り組みを提示する仕組み
- 2028年度から試行し、2030年度の本格運用を目指す。基盤整備などの経費として2027年度予算の概算要求に50億円を盛り込んだ
- 例として、夜勤が多く生活習慣病の割合が高い組合には、夜勤時の食事指導や階段利用の推進を勧める想定とされる
出典:産経ニュース / 予防医療推進、AIが健保加入者の健康課題分析 2030年度本格運用へシステム構築
サトシ 健保の保健事業はウオーキングイベントの印象が強かったので、データから打ち手を出す仕組みは興味深いです。50億円の基盤がどう使われるか見ていきます。
弘前大と日本外科学会が、ロボットによる遠隔手術の国内初の臨床研究で大腸がん患者5人の手術を終えたことについて、日本経済新聞(共同)が報じました。
- 約30km離れた弘前大病院とつがる総合病院が対象。手術支援ロボット「hinotori」を使い、指導役の医師が別の病院から遠隔操作で支援した
- 8月から大腸がん患者5人の手術を終えた。今年度中にさらに5人程度で安全性を検証し、その後に機器の薬事承認と手術の保険適用を目指す
- 日本外科学会の委員長は2年程度での実用化を目指すと述べた。将来は全国330の2次医療圏ごとに拠点を整備する方針
出典:日本経済新聞 / 弘前大など、遠隔手術「国内初」の臨床研究 医師不足・偏在対策に期待
サトシ 離れた病院から同じロボットを動かして指導できるのは、地方での外科医の育成にも効きそうです。保険適用までの道のりがどうなるか気になります。
ウェアラブルのWhoopがMedicareの成果払いプログラム「ACCESS」に参加し、高齢者向けに製品を作り直している動きについて、STATが報じました。
- WhoopはMedicareのACCESS(10年間のパイロット、初期参加55社)に採択され、65歳以上の多くの従来型Medicare加入者が無償で使えるようになった
- 対象は高血圧、高コレステロール、肥満、前糖尿病。満額の支払いを受けるには血圧、HbA1c、LDLの改善または管理を示す必要がある
- 同社の最高医療責任者はSTAT Summitで、高齢者向けにアプリの簡素化を最優先で進めると述べた
出典:STAT / How consumer tech company Whoop is building for Medicare patients
サトシ 成果が出なければ満額が払われない仕組みに、ウェルネス寄りだったWhoopが乗ったのが面白いです。日本の保険者がこういう払い方をする日は来るでしょうか。
GENSHI AIが、日本語の医療文書から生成AIで合成した100万件超の医療QAデータセット「GENSHI-MedQA-1M」を公開したという発表。
- 独自に収集した日本語の医療文書179,479ページのうち、2010年以降の148,620ページを情報源として、LLMで質問と回答を合成した
- 収録は1,005,231件。事実問題66.6%、推論問題21.7%、症例判断11.7%。次点の翻訳データ約52万件の約1.9倍と同社は説明している
- 全件の人手検証は行っていない。非商用の研究に限り無償(CC BY-NC-SA 4.0)で、利用には申請と同社の承認が必要
出典:株式会社GENSHI AI / GENSHI AI、100万件超の日本語医療QAデータセット「GENSHI-MedQA-1M」を公開。日本語テキストの医療QAとして世界最大規模
サトシ 日本の保険適用や承認状況まで学べる日本語データは、薬剤師の目で見ても足りていなかった部分です。人手で全件は検証されていない点も添えておきます。