2026年10月28日(水)のおすすめトピック

8本(論文1・リリース3・ニュース4)

専門医療で受診をデジタルに置き換える経路を導入した後、受診件数の内訳と外来費用がどう変わったかを6年分追った論文。

  • 利用者1500人超で対面受診の削減を狙ったデジタル受診経路の上位10本を対象に、2018〜2024年の受診件数と費用を後ろ向きに分析した
  • デジタル経由は外来受診の19.1%に達し、対面受診の割合は74.8%から54.1%に下がった。患者1人あたりの外来費用は実質18.2%減った
  • 総費用の水準のばらつきのうちデジタル経路の普及で説明できたのは8.8%で、費用減の主因とは言えないとしている

出典:J Med Internet Res / Implementing Digital Care Pathways and Changes in Contact Volume, Contact Distribution, and Outpatient Costs in Specialized Health Care: Retrospective Longitudinal Observational Study.

サトシサトシ
対面は減っても1人あたりの接触回数は7.6%増えています。費用が下がった理由を全部デジタルに帰さない書き方は誠実だと思います

ヘンリー、レスコ、亀田医療情報の3社が「クラウドネイティブ病院情報システム普及協議会」を設立したという発表。

  • 病院向けにクラウドネイティブ型電子カルテを提供する3社が令和8年10月に設立した。幹事社と事務局はヘンリーが担う
  • 協議会としてクラウドネイティブ型電子カルテの普及に向けた要望書を厚生労働大臣宛てに提出するとしている
  • 背景に国の標準仕様書(令和8年3月公表)と11月からの認証制度がある。12月に公開イベントを行う予定で、活動の詳細は今後発表する

出典:ヘンリー / ヘンリー、病院向けクラウドネイティブ型電子カルテを提供する3社で「クラウドネイティブ病院情報システム普及協議会」を設立

サトシサトシ
競合同士が組んで国に要望を出す形です。中小病院向けの標準仕様が出たあと、大病院向けをどう進めるかが本題になりそうです
リリース 医療の質・安全

神戸市の甲状腺専門病院・隈病院が、検体検査の自動化システム「GLP systems Track」を国内の医療機関で初めて導入したという発表。

  • 2026年6月に導入した。自走式の搬送ロボット「CAR」がレール上を走り、検体の搬送から前処理、分析装置への受け渡しまでを自動で行う
  • 1日600人を超える患者が来院する。国内初はアボットジャパンの2026年3月の調べとしている。結果の最終確認はこれまでどおり臨床検査技師が行う
  • 複数のロボットが独立して動くため、一部の故障でも検査全体への影響を抑えられると病院は説明している

出典:医療法人神甲会 隈病院 / 【国内初】隈病院が検体検査の自動化システム「GLP systems Track」を導入

サトシサトシ
診察前の採血結果待ちは外来の流れを左右します。ベルトコンベア式でなく止まりにくい構成を選んだところに専門病院の事情が見えます
ニュース 医療の質・安全

米ジョンズ・ホプキンス・ベイビュー医療センターで患者3182人の情報が未承認のAIツールに渡った可能性があることについて、Pasquale Pillitteriが報じました。

  • 病院がBecker's Hospital Reviewに出した声明によると、9月21日に職員が許可していない公開AIツールへ患者情報入りのスプレッドシートを誤ってアップロードした
  • 対象は5〜9月の入院・治療患者3182人で、氏名、カルテ番号、診療科、投与薬剤などが含まれていた可能性がある。社会保障番号と金融情報は含まれないという
  • 病院は当日に把握したが、患者への書面通知は10月22日だった。ツールの名前は明かしておらず、未許可のAIツールの制限と研修の強化を進めるとしている

出典:Pasquale Pillitteri / ジョンズ・ホプキンス、患者3182人のデータが未承認AIに流出と確認

サトシサトシ
攻撃ではなく職員が便利だからと貼り付けたケースです。院内で使ってよいAIを決めておかないと、日本の病院でも同じことは起きます

アルジェニクス、テックドクター、東京科学大学が自己免疫疾患のデジタルバイオマーカーを研究する協働研究拠点を開設したという発表。

  • ウェアラブル端末の活動量、睡眠、脈拍などのデータから、自己免疫疾患の状態を示す指標を開発する。拠点長は東京科学大学膠原病・リウマチ内科学分野の准教授
  • 設置期間は2029年8月31日までの3年間を予定している
  • 成果は治験の評価指標や患者選択基準への応用、上市後の治療反応性の予測や病状モニタリングにつなげることを目指すとしている

出典:株式会社テックドクター / アルジェニクス×テックドクター×東京科学大学 デジタルバイオマーカーに関する協働研究拠点を開設

サトシサトシ
受診と受診の間の様子を数字で取る話です。製薬企業が入ることで、治験の評価指標に使えるかが最初の関門になりそうです
ニュース 生成AI・LLM

臨床向けAI検索エンジンの米Vera HealthがシリーズAで2850万ドルを調達したことについて、Fierce Healthcareが報じました。

  • Threshold Venturesが主導し、Optum Venturesなどが参加した。累計調達額は3200万ドルになるという
  • 同社によると、査読論文やガイドライン、添付文書など6000万件超を検索対象とし、190カ国の80万人超の臨床医が使っている
  • 記事はUpToDateやOpenEvidence、OpenAIやAnthropicなどとの競争が激しくなっていると伝えている

出典:Fierce Healthcare / Vera Health secures $28.5M series A for AI-driven clinical search engine

サトシサトシ
社員12人で80万人という数字に驚きます。根拠の論文を先に探してから答えを書く設計は、薬の情報を調べる側としても安心材料です
ニュース その他

テキサス大学オースティン校が大学医療システム「UT Dell Medicine」を発足させ、AIネイティブ病院を建てることについて、Fierce Healthcareが報じました。

  • 医学部と診療部門、建設中のUT Dell Medical Centerを1つの名前にまとめた。MD Andersonと組み、がん医療も統合する
  • 新病院は2030年開業予定で、総工費は約50億ドル。300〜500床の専門病院に外来と救急部門を備え、今月から用地の整備を始めた
  • Dell財団の7億5000万ドルの寄付が柱になっている。4〜6年で臨床の担い手を2倍、患者数を3倍超にする計画だという

出典:Fierce Healthcare / UT Austin unveils UT Dell Medicine as it bets big on new AI-native hospital

サトシサトシ
AIを後から入れるのでなく、建物の設計段階から組み込む発想です。日本の病院の建て替え計画にも同じ問いが来ると思います

NTTドコモがスマートフォンの利用状況から睡眠の質を推定するAIサービスを始めたことについて、医療テックニュースが報じました。

  • 事業者向けヘルスケアAI基盤「HealthTech基盤」の新機能として10月1日に開始した。利用者の同意を得て、画面操作や位置情報などの利用履歴を使う
  • 臨床で使われる睡眠の評価尺度に基づき、前夜の睡眠の質をスコアで示す。ウェアラブル機器のデータを併用すると精度が上がるという
  • ドコモは疾病の診断・治療・予防ではなく、利用者への情報提供を行うサービスと説明している

出典:医療テックニュース / ドコモ、スマホの利用状況から睡眠の質を推定するAIサービス 専用機器不要で利用可能

サトシサトシ
専用機器なしで睡眠を推定できるなら、服薬指導で眠れていますかと聞く場面の材料が増えます。精度の数字はまだ見えていません