2026年10月29日(木)のおすすめトピック

9本(論文1・リリース4・ニュース4)

救急医がAIスクライブを使った診療録と使わなかった診療録を、電子カルテの監査ログで比べた論文。

  • 米国の20の救急部門で、指導医275人の記録を同じ医師の中で比較した。使用の有無は診療録内の同意文言から判定した
  • AI使用は全診療の31%。記録の作業時間は中央値10.0分対12.5分(調整後2.4分短縮)で、記録は約14%長く、書き始めは約15分遅かった
  • 記録の完了は遅れず、72時間以内の再受診も増えなかった(-0.8ポイント)。観察研究で、無作為化はしていない

出典:Ann Emerg Med / Ambient Artificial Intelligence Scribe Use and Objective Documentation Effort Among Emergency Physicians.

サトシサトシ
自己申告ではなく監査ログで測っているのがいいところです。書き始めが遅れても完了は遅れない、という点が現場の実感に近そうです。

クラウドドクターが、KDDIとOsaka Metroが駅構内に設ける個室ブースで、予約なしのオンライン診療を提供するという発表。

  • 御堂筋線北花田駅と四つ橋線西梅田駅で10月30日に開始し、天神橋筋六丁目駅は11月上旬から。診療は西梅田シティクリニックが担う
  • システム利用料は330円で、診療費は別途。診療は平日10時〜20時30分、土日10時〜17時30分(昼に休止あり)
  • 処方薬はブース内でオンライン服薬指導を受けて郵送するか、近隣薬局で対面受取を選ぶ。2026年4月の医療法改正で新設された受診施設の枠組みに触れている

出典:クラウドドクター / クラウドドクター、Osaka Metro駅構内の「診療・くらしの相談ブース Produced by KDDI」に参画

サトシサトシ
服薬指導までブースの中で済む設計なんですね。330円で通勤途中に受診できるなら、まず使うのは薬だけ切らした人かなと思います。

mediVRが、VRを使った運動訓練支援プログラム「mediVRカグラフィードバック」でクラスIIの製造販売承認を取得したという発表。

  • VR空間の目標へ手を伸ばす動作を促し、達成時に視覚・聴覚・触覚で同時にフィードバックする。ハードを含まないソフト単体の医療機器として承認
  • 承認日は2026年10月15日、承認番号は30800BZX00248000。類別は疾病治療用プログラムで、2025年12月の申請から約10か月で承認
  • 価格や提供開始時期はリリースに書かれていない。同社はサイバーセキュリティ対策を含む審査基準に対応したとしている

出典:株式会社mediVR / 株式会社mediVR、「mediVRカグラフィードバック」のクラスII医療機器製造販売承認を取得

サトシサトシ
治療用プログラムで承認まで届いたリハビリ領域の例は貴重です。次は保険でどう評価されるかが普及の分かれ目になりそうです。

長崎市の社会医療法人春回会が、会話から電子カルテを自動作成するAI「SwiftSOAP」を長崎県内で初めて導入したことについて、NEWSjpが報じました。

  • スマホで医師・看護師と患者の会話を文字起こしし、カルテを作る。5月から試用し、9月に緩和ケアと在宅医療部門で本格運用を始めた
  • 開発はパルシベイトで、定額制の1ユーザー月額1万6500円。春回会は井上病院など複数の病院を運営し、スタッフは900人以上
  • 法人側は記録作業の削減と、担当者だけが持っていた情報の共有を狙いに挙げている。効果の数字は記事中に出ていない

出典:NEWSjp / 医療法人春回会 カルテ作成にAI導入、長崎県内で初 作業減やサービス向上へ

サトシサトシ
緩和ケアと在宅から始めたのが現実的だと思います。面談や家族との会話が長い部門ほど、記録の手間が効いてきますから。

日本医師会の松本会長が古川デジタル大臣と会談し、医療機関のサイバー対策や電子カルテについて意見を交わしたことについて、日医ニュースが報じました。

  • 10月15日にデジタル庁で会談した。@linkなどへの不正アクセスを受け、攻撃を受ける前提の備えが必要との考えで一致した
  • 松本会長は、対策の費用や専門人材の確保が医療機関の負担になるとして国の支援を求めた
  • 古川大臣は、標準仕様の電子カルテを通じて必要な情報を閲覧できる環境を整え、導入費用を把握するモデル事業に取り組む考えを示した

出典:日本医師会 / 古川デジタル大臣と医療DXの推進等で意見交換

サトシサトシ
侵入を防ぎきれない前提で話が進んでいるのが印象的です。薬局も同じシステムにつながる以上、費用支援の範囲がどこまでかは気になります。

米電子カルテ最大手のEpicが、患者データへのアクセスを選んで制限し、他社のアプリ開発を妨げているとする調査報道についてSTATが報じました。

  • 元社員、アプリ開発者、病院幹部など50人超に取材した連載の第1回。Epicのアプリマーケットに載る12社の幹部が不利益を受けたと証言した
  • 記事によるとEpicの年間売上は65億ドル超で、米国民の約8割のデータを保持する。データ接続の拒否や高額な接続料が挙げられている
  • Epic側は、連邦法の要件を上回る接続を提供していると説明している

出典:STAT / STAT+: As Epic’s dominance grows, its iron grip is choking innovation in health technology

サトシサトシ
電子カルテを握る会社が周辺のAIまで選ぶ構図は、日本でも標準型電子カルテの設計次第で起こりうる話だと思って読みました。

日本システム技術のPHRアプリ「TomoBe」が、和歌山県のICT・PHRを使った特定保健指導の基盤整備事業に採用されたという発表。

  • ライフログと健診データを統合して継続支援する機能が評価されたとしている。2026年5月の提供開始以来、特定保健指導では初の導入事例
  • 和歌山県は特定保健指導の実施率向上を重要課題としており、対面中心の従来手法にICT・PHRを加える
  • 対象人数、開始時期、費用はリリースに書かれていない。実施率の向上などは期待される効果として挙げられている

出典:日本システム技術株式会社 / PHRアプリ「TomoBe」、和歌山県ICT・PHRを活用した特定保健指導基盤整備事業に導入決定

サトシサトシ
特定保健指導は途中で離脱する人が多いので、続ける仕組みにアプリを使うのは筋がいいと思います。対象の規模が分かると判断しやすいですね。

訪問鍼灸マッサージ事業者向けのクラウド型レセコン「spotlog」が、累計1,000アカウントを超えたという発表。

  • YTC・PLUSが開発し、バリュークリエーションが導入支援を担う。GPSによる訪問証明と、訪問履歴に連動したレセプト自動計算を備える
  • 同社調べで、日々と月末の事務作業時間を約80〜90%削減したとしている。1万5169人規模の訪問施術データを扱うまでになったという
  • 今後はAIによる施術報告書の作成支援を強化するとしている。視覚障害のある施術者でも操作しやすい点を特徴に挙げる

出典:株式会社バリュークリエーション / 訪問鍼灸マッサージ専門レセコン「spotlog」、累計1,000アカウントを突破!

サトシサトシ
訪問鍼灸は療養費の不正請求が問題になってきた分野なので、GPSで訪問を記録する発想は納得感があります。
ニュース 生成AI・LLM

FIXERが医療事務支援サービス「AI医事課長」に、経営分析レポートを自動作成する機能を加えたことについて、医療テックニュースが報じました。

  • レセプトや電算請求のデータをもとにAIがレポートの下書きを作り、医事課職員が確認して出力する。チャットで修正指示も出せる
  • 同社によると、約8時間かかっていたレポート作成が2時間程度になるという
  • 突合点検結果通知書や過誤再審査通知書などPDF形式も取り込めるようにした。都道府県ごとに異なる様式をAIが解析するとしている

出典:医療テックニュース / FIXER、医療事務業務支援「AI医事課長」にAIレポート機能 レポート作成が8時間から2時間に

サトシサトシ
返戻や査定の通知書は様式がばらばらで、集計が地味に大変なところです。そこを読めるなら医事課の手間はかなり変わると思います。