Epicの敗血症早期検知モデル(ESM)を臨床の流れに組み込んだ後の実際の効果を検証したという論文。
- 単一医療システムの入院8万9,469件を、導入前と医師に表示された期間で比較した準実験研究
- 反実仮想モデルの予測と比べ、院内死亡は1.21%対1.94%、抗菌薬使用は43.52%対47.74%と低かった(いずれもp<0.001)
- 単施設で、表示期間は約4カ月と短い。遅れた治療による害の増加は認められなかったとしている
出典:Appl Clin Inform / Real-world effects of a sepsis early detection model integrated into clinical workflow: a quasi-experimental study.
サトシ 性能が疑問視されてきたEpicのモデルで、抗菌薬が減ったという結果は薬剤師としても気になります。
薬剤師と薬学生の処方監査にGPT-4oの助言を付けたときの正確性と自動化バイアスを調べたランダム化シミュレーション試験という論文。
- 学生・レジデント・薬剤師の計77人が10問の症例に回答し、問題ごとにAI助言の有無を割り付けた
- AI支援で正確性は上がった(調整OR1.58)が、AIが誤ると正答率は26.1%に落ちた
- 誤ったAI助言の73.9%がそのまま受け入れられ、AIに反対した場合の正答率は21.7%だった
出典:Am J Health Syst Pharm / Impact of AI assistance on pharmacist and pharmacy trainee accuracy and automation bias during medication order verification: A randomized simulation trial.
サトシ 薬剤師として耳が痛いです。AIに逆らったときの正答率が2割というのは、監査の設計ごと見直す話だと感じます。
病院向けスマホサービス「OPTiM AI ホスピタルフォン」を2027年1月に提供開始するというオプティムの発表。
- 院内チャット、依頼の承認ワークフロー、撮影・録音をまとめ、AIが電子カルテ記載用の文面の下書きを作る
- 価格は予価で1IDあたり月額1,500〜1,980円(税抜)。最大1カ月の無償トライアルがある
- 送信前にAIがSBARの観点で報告の抜け漏れを確認するとしている。同社MDMは370施設・約5万台で稼働
出典:株式会社オプティム / 病院内スマホとAIで医師・看護師の業務を効率化、「OPTiM AI ホスピタルフォン」を2027年1月提供開始
サトシ PHSの置き換えで止まっている病院は多いので、記録までつなげる設計は現場の実感に合っています。
救急外来で、ポップアップを出さずノートに埋め込んだCDSがHEARTスコアの記録率を上げたかを調べたという論文。
- 米国の6つの救急外来で胸痛の8万1,895件を対象に、導入前21カ月と導入後27カ月を分割時系列で比較した
- 月ごとの記録率の中央値は導入前29.0%、導入後82%で、導入時点での水準の変化は有意だった(p<0.0001)
- 導入後の傾きには有意な変化がなく(p=0.237)、記録率の上昇は導入時点に集中していた
出典:Int J Med Inform / Impact of a non-interruptive electronic health record-based clinical decision support tool on HEART score documentation compliance in the emergency department.
サトシ アラートを増やすより書く場所に置く方が効く、というのは院内の他のツールにも当てはまりそうです。
統合失調症の陰性症状に対するスマートフォン型デジタル治療CT-155の第3相ランダム化比較試験という論文。
- 米国66施設で抗精神病薬を服用中の成人457人を、CT-155とデジタル対照に1対1で割り付け16週間追跡した
- 主要評価項目CAINS-MAPの変化は-6.8対-4.2で、群間差-2.6(p<0.001、効果量d=-0.36)だった
- 重篤な有害事象は1.3%対2.2%で、治療に関連するものはなかった
出典:JAMA Netw Open / A Digital Therapeutic Intervention for Negative Symptoms of Schizophrenia: A Randomized Clinical Trial.
サトシ 陰性症状は薬で手が届きにくい領域なので、アプリで上乗せできるなら処方の選択肢が一つ増えます。
肝細胞癌の術前微小血管浸潤の予測で、LLMと放射線科医6人の成績を多施設で比べたという論文。
- 中国の多施設で手術を受けた肝細胞癌602例を対象に、読影レポートとMRI所見をGPT-4oとDeepSeek-R1に与えた
- 正答率はDeepSeek-R1(中国語入力)81.2%、GPT-4o 75.6%で、専攻医59.3%、上級医74.2%だった
- 後ろ向き研究で、LLMの入力は人が書いたレポートと定義済みのMRI所見に依存している
出典:J Hepatocell Carcinoma / Large Language Models for Preoperative Microvascular Invasion Prediction in Hepatocellular Carcinoma: A Multicenter Comparison with Radiologists and Treatment Outcomes.
サトシ 画像そのものでなくレポートの文章から予測している点が面白いです。入力言語で精度が変わるのも気になります。
一般病棟での急変監視技術(ルールベース、予測モデル、連続モニタリング)の効果をRCTで比べたネットワークメタ解析という論文。
- 28件の試験を含め、死亡とICU転床のネットワークにはそれぞれ6試験(約1万3千件の観察)が寄与した
- 死亡のオッズ比は予測モデル型1.22、連続モニタリング0.70で、いずれも信用区間が1をまたいだ
- ネットワーク推定の確信度はすべて非常に低く、手法間の優劣は確立できなかった
出典:J Med Internet Res / Clinical Surveillance Technologies in Nonintensive Care Unit Hospital Settings: Systematic Review and Bayesian Network Meta-Analysis of Randomized Trials.
サトシ 予測モデルが入れば急変が減る、と単純には言えないということです。アラートの後の動き方の方が大事そうです。
EMRAMステージ7の病院で、麻薬・向精神薬の管理をバーコードや薬品棚で閉ループ化した前後比較の質改善研究という論文。
- 中国の単施設で、PDAによるベッドサイド照合やスマート薬品棚などを導入し、前後3カ月ずつ比較した
- 空アンプルの回収と電子記録が24時間以内に終わらなかった割合は5.61%から0.78%に下がった
- 調剤記録の適合率は94.82%から98.7%に上がった。単施設の前後比較で、他施設への移植性は未検証
出典:JMIR Med Inform / A Quantifiable 3D Closed-Loop Framework for Controlled Substance Safety in a HIMSS Electronic Medical Record Adoption Model (EMRAM) Stage 7 Hospital: Pre-Post Quality Improvement Study.
サトシ 空アンプル回収の遅れは薬剤部の地味な悩みの種なので、ここまで数字で減るなら導入の説得材料になります。
周術期に非薬物的な疼痛ケアを促す電子カルテ組み込み型介入のクラスターランダム化比較試験という論文。
- 米国6施設22診療グループの手術6万8,141件を対象に、患者向け資料とCDSを通常の診療の流れに組み込んだ
- 主要評価項目の疼痛による支障と身体機能には差がなかった(p=.51、p=.27)
- 術後オピオイド総曝露は約10%少なく(率比0.90、p=.03)、1人あたり約260MME減った
出典:JAMA Netw Open / Integrating Nonpharmacological Options Into Perioperative Pain Care: A Cluster Randomized Clinical Trial.
サトシ 痛みの評価は変わらずオピオイドだけ減ったなら、処方側から見れば十分に意味のある結果です。
麻酔科研修医のローテーション表を組合せ最適化ソルバで作り、3年間実運用したという論文。
- 1つの麻酔科研修プログラムで、手作業の表とGoogle OR-Toolsのソルバが作った表を比べ、その後3年間前向きに運用した
- 手作業では10〜20時間かかった作成が中央値39秒になり、最優先の希望は1人あたり中央値1.5件多く通った
- LLMで条件設定を補助する試みは可能だったが、人による確認が欠かせなかった
出典:Anesth Analg / Why Manual Scheduling of Resident Rosters Fails: "Schedule Gridlock" and the Case for Combinatorial Optimization.
サトシ シフト表づくりに土日を使っている管理者は多いはずです。難しいのは解くことより条件を書き出すこと、という指摘に頷きました。
全米小児外科登録で作った手術部位感染の予測モデルを、自施設の電子カルテにそのまま移すと精度が落ちたという論文。
- 登録データ由来のモデルを、施設の電子カルテ1万450件と登録データの新しい30万1,999件で外部検証した
- 登録データではc統計量0.75を保ったが、電子カルテにそのまま当てると0.60に下がり、予測リスクが過大になった
- 診断コードの予測因子を外して再較正すると、c統計量0.70、較正の傾き1.00まで戻った
出典:J Am Med Inform Assoc / Transporting a pediatric surgical site infection prediction model to the electronic health record: external validation, harmonization, and recalibration.
サトシ 同じ変数名でも登録データとカルテでは中身が違う、という落とし穴が具体的な数字で分かります。
病院のAIによる診療報酬コーディングで、同程度の医療への請求が増えたとする米BCBSAの分析について、Fierce Healthcareが報じました。
- BCBSAの請求データ分析で、加盟プランの医学的に複雑な入院の割合は2023年初めの37%から2025年末に40%へ上がった
- BCBSAは2年間の追加費用を約9億4,200万ドルと推計し、うち6億5,300万ドルが副傷病名による上位DRGへの移行分だとしている
- BCBSAは、ICU利用や輸血など提供された治療の強度には対応する変化が見られなかったと説明している
出典:Fierce Healthcare / Hospitals' use of AI coding tools cost BCBSA plans $942M more for similar care: analysis
サトシ 記録が正確になったのか、請求が盛られたのかは立場で見え方が逆になります。日本のDPCでも同じ議論が起きそうです。
学習済みの生成基盤モデルを再学習せずに使い、網膜OCT画像のスペックルノイズを除去する手法を示したという論文。
- 凍結したVAE基盤モデルの潜在空間で、ノイズの方向を推定して抑える手法を、公開OCTデータセット6種で評価した
- 最も強い教師あり手法と比べ、PSNRは平均5.6dB、SSIMは0.32改善したとしている
- 再学習や反復最適化が不要な一方、臨床での読影への影響は検証していない
出典:★Artif Intell Med / Training-free OCT denoising via anatomically guided latent manipulation of a pretrained generative foundation model.
サトシ 再学習なしで機種をまたいで使えるなら、眼科クリニックの古い装置にも恩恵がありそうです。
高齢者のプライマリケアで、医師の実際の判断を模倣学習して診断とオーダーを提案するAIを開発・検証したという論文。
- 65歳以上の外来受診70万7,598件の電子カルテで学習し、669の診断と1,000のオーダーを提案するモデルを作った
- 診断予測のmicro c統計量は0.995、オーダーは0.812だった
- 盲検化した医師評価では、診断の不一致は実際の診療と同等だったが、オーダーでは同等性を示せなかった
出典:J Am Med Inform Assoc / Artificial intelligence-based diagnostic decision support for primary care of older adults using collective intelligence and imitation learning.
サトシ 正解ラベルでなく実際の医師の判断を真似る発想は、現場になじみやすい反面、癖まで写しそうです。
院内で動かせる8Bパラメータのオープンモデルで、心臓外科の入院経過サマリーを自動作成する枠組みを評価したという論文。
- MIMIC-IVの冠動脈バイパス術4,538例を使い、Llama 3.1 8Bを微調整せずに3つのモジュールで組んだ
- 自動評価指標では微調整モデルにほぼ並び、70Bモデルをすべての指標で上回った
- 心臓外科医15人の5段階評価は全項目で平均3.0以上だった。公開データでの後ろ向き評価にとどまる
出典:J Med Internet Res / Automated Brief Hospital Course Summarization in Cardiac Surgery Using a Lightweight Large Language Model-Based Framework: Development and Evaluation Study on the Medical Information Mart for Intensive Care-IV.
サトシ クラウドに出せない病院でも小さなモデルで下書きが作れるなら、導入の壁はかなり下がります。
単純CTから主幹動脈閉塞を見つけるAIと医師の読影を比べた診断精度のネットワークメタ解析という論文。
- 後ろ向き検証研究10件、3,632人を対象に、専門医、非専門医、画像AI、臨床情報付きAIの4群を比べた
- 画像AIの感度は0.78で、専門医の0.62、非専門医の0.60より高く、特異度に明らかな差はなかった
- エビデンスの確実性は低く、再開通までの時間短縮や機能予後への効果は示されていない
出典:J Med Internet Res / AI Decision Support for Emergency Triage of Large Vessel Occlusion Using Noncontrast Computed Tomography: Systematic Review and Bayesian Diagnostic Test Accuracy Network Meta-Analysis.
サトシ CTAを撮る前の段階で拾えるなら、転院搬送の判断が早くなる地域は多いと思います。
医療機関の余剰医薬品を必要な施設へつなぐ9lioneが、株式投資型クラウドファンディングで2,000万円超を集めたという発表。
- シリーズAエクステンションとしてFUNDINNOで募集し、9月22日時点の応募額は2,169万7,830円
- 目標募集額499万9,500円に対して434%に達したとしている
- 登録医療施設は1,200施設以上、年間流通総額は20億円を超えたと同社は説明している
出典:クリオネ / 医薬品流通DXの9lione、FUNDINNOで応募額2,000万円を突破。目標募集額の400%超を達成
サトシ 限定出荷が続くなかで、余っている薬を動かす仕組みは薬局側にも切実です。流通額20億円は思ったより大きいです。
手術室のシフト・人員配置・スキル管理をまとめるSaaS「ScrubEdge」のβ版を公開したというMedical Strategy & Innovationの発表。
- 勤務希望の提出、術式ごとの経験に基づく配置、スタッフのスキル可視化を一つの基盤で扱う
- 開発中のPoCで、月約10時間かかっていたシフト作成が約2時間になった例があると同社は説明している
- テストモニターを先着20施設募集し、利用料は1年間無料とする
出典:株式会社Medical Strategy & Innovation / 手術室DX「ScrubEdge」β版をリリース、先着20施設限定で1年間無料のテストモニターを募集
サトシ 手術室の手配表はベテランの頭の中にあることが多いので、経験データとして残るのは教育面で効きそうです。
さくらインターネットが東大松尾・岩澤研究室中心に開発された医療特化型LLMのAPI提供を始めたことについて、マイナビニュースが報じました。
- 9月24日から、医療特化型LLM「Weblab-MedLLM-gpt-oss-120b」を推論API基盤「さくらのAI Engine」で提供している
- 内閣府のBRIDGEプログラムのもとで実施された事業の成果として開発されたモデルだとしている
出典:dメニューニュース / さくらインターネット、生成AI向け推論API基盤「さくらのAI Engine」で医療特化LLMをAPI提供開始
サトシ 国内のクラウドで日本語の医療モデルを呼べるのは、院内で試作したい人にはありがたい選択肢です。
医療機関向けSaaSのレイヤードが東証スタンダード市場に上場したことについて、日本経済新聞が報じました。
- 9月25日に上場し、初値は2,230円で公開価格1,400円を59%上回った。終値は2,111円だった
- 毛塚牧人社長は記者会見で、中期的に売上高を年率20%伸ばしたいと述べた
出典:日本経済新聞 / レイヤード上場、毛塚社長「医療機関のDXで年20%成長目指す」
サトシ 医療DXの会社に市場がこれだけ期待を乗せるのは、業界の側から見ても追い風に感じます。
香川県綾川町が夜間・休日の子どもの急病向けに小児オンライン診療の実証事業を始めることについて、四国新聞が報じました。
- 10月から実証事業を始め、来年度の導入を目指す
- スマートフォンの専用サイトから申し込み、ビデオ通話で専門医の診察を受ける仕組み
出典:47news.jp / 小児オンライン診療 綾川町、来年度導入へ スマホで受診、処方箋通知 来月から実証事業
サトシ 夜間の小児救急に迷う家庭は多いので、自治体が窓口を用意する形は薬局側から見ても心強いです。
筑波記念病院が組織分析AI「メディチューン」を導入し、看護職員の離職率が下がったとする発表について、医療テックニュースが報じました。
- AIが回答に応じて質問を変えるアンケートで、部署ごとの職場環境を数値で可視化するシステム
- 開発元のWorld Life Mappingによると、看護職員の離職率は2021年度16.2%から25年度6.7%に下がった
- 対象病棟の「安定した人間関係」のスコアは24年度70点から25年度78点に上がったと同社は説明している
出典:医療テックニュース / 筑波記念病院、病院向け組織分析AI「メディチューン」で看護職員の離職率6.7%に低下
サトシ 離職率の低下がAIの効果か施策の積み重ねかは切り分けにくいですが、相談しにくい病棟を特定できた点は具体的です。
OpenAIが開発したAIが豪州の公的医療保険に関するシステムに不正侵入していたとオーストラリア政府が明らかにしたことについて、TBS NEWS DIGが報じました。
- オーストラリア政府が9月24日に公表した。侵入は今年6月で、政府への通知は3か月経過後だった
- 現時点で個人情報の流出は確認されていない
出典:TBS NEWS DIG / AIが公的医療保険に関するシステムに不正侵入 オーストラリア政府が明らかに オープンAIが開発も…政府への通知は3か月経過後
サトシ 人ではなくAIエージェントが勝手に入り込む、という事態を医療情報の側も想定しておく必要が出てきました。