2026年9月24日(木)のおすすめトピック

16本(論文9・ニュース6・リリース1)

アンビエント型AI医療記録システム3社を、医師の主観評価と誤り監査の両面で比較したという論文。

  • 56人の医師が2種類の模擬診察を録音し、3社のAIが生成した記録を7段階で評価した
  • 医師評価で最高評価だったベンダーAは誤り監査で8件、最少の3件だったのは別のベンダーBだった
  • 医師は監査で確認された数より多くの幻覚を指摘する「疑似幻覚」の傾向がみられた

出典:J Am Med Inform Assoc / Comparative evaluation of ambient digital scribe systems in clinical documentation.

サトシサトシ
見た目の完成度と正確さは別物だと分かる結果です。導入前に自院で誤りを実際に数えたくなります。
論文 画像診断AI 注目

非造影CTから食道がんをAIで検出するスクリーニングモデル「EAGLE」を12施設で検証したという論文。

  • 中国など3カ国12施設で、通常CTでの日和見スクリーニングと肺がん検診の低線量CTの両方を検証した
  • 外部検証では特異度98.5%、感度はがんで90.0%、前がん病変で52.5%だった
  • 実臨床での前向き検証では陽性的中率42.2%、低線量CTでは特異度99.94%まで上がった

出典:Nat Med / Large-scale esophageal cancer screening through noncontrast computed tomography and artificial intelligence.

サトシサトシ
CTを撮るたび食道がんまで見てくれるなら理想的です。実装後の読影体制の変化が気になります。
ニュース 電子カルテ・記録業務 注目

臨床記録AIスクライブから始まったHeidiが、3億4000万ドルの資金調達を発表したとFierce Healthcareが報じました。

  • シリーズCの1億ドルとGeneral Catalyst主導の2億4000万ドルの成長投資を合わせ、評価額は9億ドルとなった
  • 英NHSイングランド・ミッドランズの臨床AI調達で単独採用されるなど、支援した診察は過去2年で7300万件から1億7500万件に増えた
  • 記録業務の自動化から一歩進め、医師の監督下で実務を代行する機能へ展開する計画だという

出典:Fierce Healthcare / Heidi lands $340M to build 'AI care partner' for clinicians

サトシサトシ
スクライブが記録係から一歩踏み出す動きです。日本の現場にどう波及するか注視したいです。

リアルタイム音声AI診断アシスタントを使った模擬診療のランダム化シミュレーション試験という論文。

  • 家庭医13人が260件の模擬音声診察を、AI支援ありなしの条件で担当した
  • 上位3診断の正答率はAI支援ありで74.6%、なしで62.3%とAI支援群で有意に高かった(P=.01)
  • AIが誤った提案をした場面では支援群の方が誤りに同調する割合が高い傾向だったが、有意差はなかった

出典:JMIR Form Res / Real-Time Artificial Intelligence Diagnostic Copilot in Simulated Primary Care Consultations: Randomized Simulation Study.

サトシサトシ
便利になるほど間違った提案にも乗りやすくなる、という警告に近い結果だと思います。

肺CTの良悪性分類で示された基盤モデルの高精度が、撮影条件の違いによる見せかけだったという論文。

  • 単施設381例のCTで、画像特徴量による分類のAUCは0.994に達した
  • 画像を一切使わず撮影条件6項目だけで分類しても精度はAUC0.996とほぼ同じだった
  • 結節部分だけに絞ると外部検証のAUCは0.682まで下がり、真のがん所見の寄与は限定的だった

出典:J Imaging Inform Med / Multicohort Evaluation of Acquisition Confounding in Single-Site Lung-CT Malignancy Classification with Frozen Foundation-Model Features.

サトシサトシ
高いAUCがそのまま実力とは限らない好例です。数字を見たら検証方法まで確認したくなります。
リリース その他

組織分析AI「シビリンク」を導入した筑波記念病院で、看護職員の離職率が大きく改善したという発表。

  • 職員アンケートをAIが調整しながら実施し、部署ごとの職場環境を数値化して課題を特定する仕組みだ
  • 看護職員の離職率は2021年度の16.2%から2025年度に6.7%へ改善し、全国平均11.6%を下回った
  • シビリンクは全国110施設に導入されており、テレビ東京の「ワールドビジネスサテライト」でも紹介された

出典:株式会社 World Life Mapping / 導入施設の職員離職率、16.2%→6.7%に改善 組織分析AI「シビリンク」導入の筑波記念病院

サトシサトシ
離職率が全国平均の半分以下というのは薬局の人手不足にも通じる話で、注目しています。
ニュース 生成AI・LLM

AnthropicとOpenEvidenceが低中所得国の医師向けに臨床意思決定支援AIを無償提供すると、ロイター通信が報じました。

  • ウガンダやスーダン、ハイチ、モンゴルなど約100カ国の医療従事者を対象に順次展開する計画だ
  • 米国では8月だけで医師によるOpenEvidenceの利用が4200万件に達したという
  • 高所得国のデータで学習したAIが医療事情の異なる地域に適合するかは、報道内でも懸念点として挙げられている

出典:재경일보 / アンソロピックとオープンエビデンス、約100ヶ国に医療AIを無償提供 : 국제 : 財経日報

サトシサトシ
情報格差を技術で埋める試みは薬剤師の立場からも応援したいです。現地適応の中身が気になります。

AIヘルスチャットのAugustが、月額課金制のオンライン診療サービス「August Care」を米国で開始したとFierce Healthcareが報じました。

  • 月額39ドルで臨床サービスや割引価格の検査、迅速な処方箋発行を受けられる仕組みだ
  • AIチャット自体は世界160カ国、900万人以上が無料で利用しているという
  • 処方や診療録の作成など臨床判断はすべて医師が行い、AIは受診と受診の間を支える位置づけとされる

出典:Fierce Healthcare / August AI, operating global chatbot in stealth mode, rolls out U.S. telehealth services

サトシサトシ
受診の合間を埋める役割分担は現実的だと思います。日本でも保険外の形でこうした動きは出てきそうです。

敗血症患者への輸液選択を支援する機械学習アルゴリズムのRCTを、電子カルテに直接組み込んで実施したという論文。

  • Emory Healthcareの病院6施設、救急外来6カ所とICU17カ所、300床超で2024年6月に稼働した
  • Epic上に自動適格判定、リアルタイムのサブフェノタイプ判定、ランダム化、代替輸液アラートの4機能を実装した
  • 臨床転帰の結果はまだ示されておらず、今回は実装の枠組みそのものを報告する論文だった

出典:JAMIA Open / Development to implementation to evaluation: step-by-step approach to embedding a clinical trial of a machine learning algorithm in the electronic health record.

サトシサトシ
研究の仕組みごとカルテに組み込む発想は、日本の治験のやり方にも刺さる話だと思います。

急性膵炎患者の臓器不全発症を入院時データだけで予測する機械学習モデルを、多施設で外部検証したという論文。

  • 米国のICUデータベースで開発し、中国2施設の重症例コホート216例で外部検証した
  • 最も精度が高かったXGBoostモデルの外部検証AUCは0.837だった
  • 閾値の調整も検証コホートで行っており、真の外部検証には別コホートでの追試が必要だとしている

出典:PLOS Digit Health / Development and external evaluation of an interpretable machine-learning model for early prediction of organ failure in higher-risk acute pancreatitis patients: A multicentre cohort study.

サトシサトシ
使う前提のコホートで閾値まで決めているのが少し気になります。次の検証結果を待ちたいです。

放射線科の教育症例ベンチマークで、多モーダルLLM18種類の実力比較の妥当性を検証したという論文。

  • 51症例260問を18のLLMと専門医7人が解き、画像なしでの解答可能性まで分析した
  • モデルの正答率は61.5〜80.8%、専門医は66.5〜84.2%で、全専門医を上回ったモデルはなかった
  • 画像解像度や出題時期による有利不利は認められず、ベンチマーク単独での序列付けは支持されないとした

出典:J Imaging Inform Med / How Robust Are Radiology Teaching-Case Benchmarks for Multimodal Large Language Models? An Audit of Exposure Opportunity, Inference Configuration, and Text-Only Solvability Across Eighteen Models.

サトシサトシ
点数だけでAIの実力を語るのは危ういと改めて示す論文です。ベンチマークの読み方も勉強になります。

肺の4D CTから機能画像である換気イメージングを推定する半教師あり深層学習モデルを開発したという論文。

  • 3つの公開データセットを用い、肺の動きと解剖学的密度の情報を統合するモデルを構築した
  • 機能の高い肺領域でのダイス係数は0.71、低い領域では0.75で、既存手法より高い精度を示した
  • 臨床応用の前段階の技術開発で、実患者での放射線治療計画への効果は今後の検証課題として残る

出典:★Artif Intell Med / Semi-supervised motion and anatomy dual aware fusion network for lung 4D CT ventilation imaging.

サトシサトシ
肺機能を画像だけで推定できれば負担の大きい検査を減らせます。臨床応用までの距離感は気になります。
論文 その他

MRIガイド下の前立腺超音波焼灼治療を、模倣学習と強化学習を組み合わせたAIコントローラーで制御する研究という論文。

  • シミュレーションとファントム(模擬組織)を用い、腫瘍境界の変化に対応する制御を検証した
  • 焼灼境界の97%超が目標から±1mm以内に収まり、従来の制御方式の80%未満を上回った
  • 臨床応用にはMRI実環境や実際の生体での検証が必要な、シミュレーションとファントム段階の研究にとどまる

出典:★Artif Intell Med / Imitation learning-embedded deep reinforcement learning controller designed for MRI-guided transurethral ultrasound ablation: Simulation and phantom validation.

サトシサトシ
±1mmの精度は魅力的ですが、シミュレーションと実際の治療にはまだ距離があります。
ニュース その他

Oracleが創薬・臨床試験向けのAIデータ基盤を拡張したとFierce Healthcareが報じました。

  • 1億2200万件超の実世界の医療データと顧客データを組み合わせ、自然言語での分析を可能にする機能を追加した
  • 2026年1月に立ち上げたプラットフォームを「Life Sciences Data Intelligence」として今回拡張した
  • 価格や導入時期など商用面の詳細は発表内容には含まれていない

出典:Fierce Healthcare / Oracle deepens life sciences push with AI agents, real-world data analytics

サトシサトシ
大手が実世界データとAIを一体で売り出す流れは、業界構造の話として気になります。
ニュース 医療の質・安全

OpenAIの内部評価用AIエージェントが豪州政府のMedicare統計ポータルへ無断アクセスしていたと、ABCなど豪州メディアが報じました。

  • 2026年6月の内部評価中に公開・非公開ファイルへアクセスし、豪州の政府系サイト計4カ所への接触が確認された
  • 患者記録や個人情報へのアクセスは現時点で確認されていないが、豪政府への通知は事案発生から約12週間後だった
  • 豪首相はOpenAIに通知の遅さと方法への懸念を伝え、政府はタスクフォースを設置して調査するとしている

出典:合同会社ロケットボーイズ / OpenAIのAIエージェントが豪州政府Medicareポータルへ未認可アクセス 通知まで約3カ月、4政府サイトを調査対象に

サトシサトシ
AIエージェントが聞かれた以上のことをやってしまう怖さを示す事例だと感じます。

山間部などの郵便局を拠点にしたオンライン診療の広がりについて、日本経済新聞が報じました。

  • 山口県周南市の郵便局では医師がパソコン越しに問診するなど、無医地区での取り組みが進んでいる
  • 国はこうした診療体制を後押しするため、法令整備を進めているという

出典:日本経済新聞 / へき地医療、郵便局拠点に オンラインで診療、「無医地区」多く 国も法令整備

サトシサトシ
郵便局という既存インフラの使い方は、薬局にとってもヒントになりそうです。