2026年9月28日(月)のおすすめトピック

14本(論文6・リリース1・ニュース7)

トルコ語の腹部CT・MRIで、研修医の予備レポートと確定レポートの食い違いを3種のLLMに検出させ、専門医の判定と比べた論文。

  • 単施設の後ろ向き研究。CT317件とMRI171件の計488組のレポートを、GPT-5.3、Claude 4.6 Sonnet、Gemini 3.0 Proに比較させた
  • 専門医が特定した776件の食い違いに対する感度はClaude 93.4%、GPT-5.3 91.9%、Gemini 72.6%(p<0.001)。Claudeの偽陽性率は0.6%だった
  • 教育的フィードバックの評価はGemini 4.60、Claude 3.95で順位が逆転した。モデルは画像を見ておらず、テキスト比較に限った評価

出典:Abdom Radiol (NY) / Diagnostic performance of large language models for discrepancy detection in non-English resident-authored abdominal CT and MRI reports: a Turkish-language evaluation.

サトシサトシ
処方監査でも前回との差分を拾う作業は多いので、差分検出は現場で使いやすい形だと思います。説明の上手さと検出力が別なのも面白いです。

小児の排尿時膀胱尿道造影で、膀胱尿管逆流のグレードをChatGPT-5とGemini 2.5 Proに判定させ、放射線科医と比べた論文。

  • 後ろ向き研究。グレードI〜Vを各25例そろえた125例(250腎単位)の代表画像1枚を、標準化したプロンプトで両モデルに入力した
  • 全体の正答率はChatGPT-5 52%、Gemini 2.5 Pro 46%。放射線科医との一致はκ=0.40と0.33で、逆流なしの判定が最も正確だった
  • 入力は各例1枚のJPEG画像のみ。著者らは臨床応用の前にプロンプトとマルチモーダル統合の最適化が必要としている

出典:J Indian Assoc Pediatr Surg / Diagnostic Performance of Multimodal Large Language Models for Grading Pediatric Vesicoureteral Reflux on MCUG: A Preliminary Study.

サトシサトシ
汎用モデルに画像を1枚渡しただけでは、グレード分類はまだ半分ほどの正答率です。こういう数字が出た報告は、導入を考える側にとって参考になります。

歯周病の患者行動変容アプリ「ペリミル」と歯科医院向け業務支援システム「Dental X[R]」のデータ連携を開始するという発表。

  • Dental X[R]に登録された患者情報と歯周組織検査(P検)の情報を、ペリミルへ連携できるようにする
  • 連携対象はPPD、出血、排膿、分岐部、動揺度と、欠損・ポンティック・インプラントの歯の状態。プラークは今後連携予定としている
  • 二重入力を減らし、歯科衛生士が12週間のプロトコールで患者に伴走する時間を確保するとLuke側は説明している。料金の記載はない

出典:Luke株式会社 / 歯科DX、新たなステージへ。患者行動変容アプリ「ペリミル」と「Dental X[R]」が業界の垣根を越えP検データ連携

サトシサトシ
歯科でも二重入力の話が出るのは、薬局のレセコンと薬歴の関係に似ています。まず入力を1回で済ませるところから、というのは地に足がついています。

上部消化管出血で緊急内視鏡止血の要否をAIで予測する研究について、大学プレスセンターが名城大学の発表を掲載しました。

  • 名古屋大学病院など3施設で2016〜2020年に受診した非静脈瘤性出血の1,989人から、バイタルと血液検査など約30項目でXGBoostモデルを作った
  • 2020年の358人で検証したAUROCは0.822で、Nスコア0.776、GBS 0.576など従来スコアを統計的に有意に上回ったと大学側は説明している
  • 見逃し重視の設定では感度89.5%。データは国内3施設に限られ、前向き研究はこれからとしている

出典:u-presscenter.jp / 【名城大学】救急患者の「緊急内視鏡の必要性」をAIが早期に見極め 〜当直医の負担軽減と地域医療体制の維持に期待 - u-presscenter.jp

サトシサトシ
夜間の吐血で内視鏡医を呼ぶかは当直の悩みどころと聞きます。BUN/クレアチニン比のような見慣れた検査値が効いている点は使う側の安心材料です。

米保険団体BCBSAが、病院のAIコーディングで入院請求の重症度が上がったとする白書を出したことについて、XenoSpectrumが報じました。

  • BCBSAは重い症例に分類される入院請求が2023年初めの約37%から2025年末に約40%へ上がり、2年で約9億4,200万ドルの追加支出が生じたと推計した
  • 主要腸手術で重症度が大きく上がった病院群は、ICU利用率や輸血率が他の病院より高くなかった。BCBSAはAIツールの関与の可能性を指摘している
  • 白書は査読を経ておらず、各病院のAI導入の有無のデータもない。米国病院協会は患者の高齢化などを挙げて反論している

出典:XenoSpectrum / AIが「請求できる病名」を拾いすぎる?9.4億ドル増で米保険業界が病院の「重症化請求」を問題視

サトシサトシ
記録支援AIが病名を拾い漏らさなくなるのは現場には良い話ですが、払う側から見ると請求が増えて見えます。日本のDPCでも同じ議論は起こりそうです。
ニュース 画像診断AI

ルニットの乳がん検診AIがスウェーデン・ストックホルム州全域の検診に導入されることについて、韓国の毎日経済が報じました。

  • 「ルニットインサイトMMG」を、州の検診を担うカロリンスカ大学病院など3病院に供給する。契約規模は公開していない
  • 専門医2人による二重読影のうち1人をAIが代わり、残る1人の専門医と組む形になる。広域での導入はスウェーデン国内で2例目
  • 1病院で2021年から約5万5,000人の検診データでAI読影を評価し、2023年から実際の検診で約20万件を読影したとルニット側は説明している

出典:매일경제 / ルニットの乳がん診断人工知能(AI)がスウェーデンストックホルム州全体の乳がん検診に使われる。 ある病院で臨床研究と実際の検診に活用してから5年ぶりに、週単位の検診事業に拡大したのだ。

サトシサトシ
研究から実運用、そして州全体へと5年かけて広がった流れが具体的です。国内の検診でAIを二人目の読影者に置く話は、まだ聞かないですね。
ニュース 画像診断AI

エルピクセルが胸部X線画像読影支援AI「EIRL Chest Screening」の新版を発売したことについて、MONOistが報じました。

  • 2026年9月3日に発売した。検出対象に多発粒状影と空洞影を加え、結節影、浸潤影、無気肺、間質性陰影と合わせて6所見にした
  • 医師の読影と同時にAIの結果を表示するコンカレントリードに対応した。従来は医師単独の読影後に確認するセカンドリードだった
  • 対象所見の切り替えや、感度優先・特異度優先のモード選択などのカスタマイズ機能も載せた。価格の記載はない

出典:MONOist / 検出対象を6所見に拡大、胸部X線画像読影支援AI新版を発売:医療機器ニュース

サトシサトシ
読影の後に確認するか同時に見るかで、医師の手間はかなり変わりそうです。健診で胸部X線を大量に見る施設での使われ方が気になります。

AIを使った遠隔患者モニタリングのプログラムが、米メディケア患者の再入院を減らしたかを準実験デザインで検証した論文。

  • 多州の500人の患者データで、傾向スコアでマッチした対照群と比べる差分の差分法を用い、導入後12か月を追った後ろ向き研究
  • 30日再入院は有意に減少した(効果推定値β1=-0.0381、p<0.0001)。救急受診(-0.0043)と在院日数(-0.2044)も減る方向だった
  • 効果はデジタル成熟度が高い施設(係数-0.0242対-0.0118)と、看護スタッフの体制が厚い施設で大きかった

出典:Int J Med Inform / Do AI-enabled remote patient monitoring programs reduce Readmissions? A quasi-experimental evaluation of adoption timing and outcomes.

サトシサトシ
効果が出たのがデジタル成熟度と看護体制のそろった施設だった点に、導入側の現実が出ていると感じます。機械だけ入れても同じにはならなそうです。

小児入院診療に当たる医療者のバーンアウトを、電子カルテの操作ログや勤務表から得た客観指標で予測できるかを調べた論文。

  • 米スタンフォードの小児病院で2020年6〜10月に入院診療を担当した医療者を対象に、ウェルネス調査の結果とEHR・勤務表由来の指標を突き合わせた
  • 主観的なEHR体験とバーンアウトに独立した関連はなかった。記録や指示のためにカルテを開いた患者数だけが、EHR体験スコアの低さと関連した
  • EHRと勤務表の指標はいずれもバーンアウトの予測因子に選ばれず、小児集中治療部門への所属が独立した関連因子だった

出典:JAMIA Open / The use of objective EHR-and schedule-based clinical workload and EHR use measures in predicting inpatient pediatric provider burnout.

サトシサトシ
カルテの負担がそのまま燃え尽きにつながるわけではない、という結果です。薬局でも入力量より職場の事情のほうが効く場面は多いので、納得感があります。

HIV患者が送るメッセージから、抗レトロウイルス療法の服薬アドヒアランスの障壁とリスクをLLMで分類する手法を開発した論文。

  • 当事者と医療者の委員会で15,480文に注釈を付け、汎用LLMと臨床基盤モデルをファインチューニングしてGPT系などと比較した
  • 障壁検出の最良はFlan-T5-xlでMacro-F1 0.83(外部データ0.71)。GPT-4.1は多くを「該当なし」と誤分類し、推論の消費電力は約30倍だった
  • リスク層別化は外部データでMacro-F1 0.57に下がった。患者向けツールでの実地検証はこれからとしている

出典:JAMIA Open / Large language model-based triage to identify antiretroviral therapy adherence barriers and risk levels in patient messages.

サトシサトシ
服薬を続けられない理由をメッセージから拾うのは、薬剤師が電話フォローでやっていることに近いです。小さいモデルのほうが強かった点も現場向きです。

若者のメンタルヘルス促進アプリで、介入内容を機械学習で割り当てる方式をランダム割り当てと比べたマイクロランダム化試験の論文。

  • 一般集団とカウンセリング利用者の若者49人(平均20.6歳)を対象に、1日最大7回、ML割り当てとランダム割り当てを1:1で無作為化した
  • ML割り当てで瞬間的なレジリエンスが改善した(B=0.147、95%CI 0.004〜0.290、p=0.044)。ポジティブ感情とネガティブ感情には効果の証拠がなかった
  • 重篤な有害事象はなかった。著者らは十分な検出力を持つ大規模な試験が必要としている

出典:Transl Psychiatry / A machine learning-based ecological momentary intervention for mental health promotion in youth: a micro-randomized trial.

サトシサトシ
一つの指標だけp=0.044でぎりぎり、ほかは差なしという正直な結果です。個別化をうたうアプリを見るときの物差しとして覚えておきたい数字です。
ニュース 生成AI・LLM

合成患者の電子カルテで医療AIを評価するベンチマーク「Synthetic Hospital」の結果について、innovaTopiaが報じました。

  • カーネギーメロン大学のチームが1,268人の合成患者と5,602件の診療記録を作り、10のAIモデルを評価した。査読前のarXiv論文
  • GPT 5.3など3モデルをエージェント化すると、必要な情報を渡した場合より縦断的な診断以外のほぼ全タスクで性能が下がり、要約などで最大約0.19低下した
  • 診断スコアの最高はKimi 2.5 ThinkingのF1 0.732で、医師7人・13症例の平均0.664を上回った。医師側の症例数は少ない

出典:innovaTopia / 医療AI、エージェント化で性能低下|合成患者1,268人のベンチマークが示した意外な弱点

サトシサトシ
道具を増やすほど迷うというのは、新人研修でも見かける話です。情報がそろっているならそのまま渡すほうが強い、という結果は導入設計の参考になります。
ニュース その他

塩野義製薬が米国で発売したコロナ薬「ゾコーバ」の販売にAIを活用することについて、日本経済新聞が報じました。

  • 需要を予測して、在庫を置く薬局や営業先の医療機関をAIで絞り込む
  • 販売人員は従来型の営業体制に比べ3分の1以下に抑える。通常なら米国で少なくとも500人程度が必要と手代木功社長が取材に答えた

出典:日本経済新聞 / 塩野義、米販売でAI活用 コロナ薬、営業先選び最適化

サトシサトシ
在庫を置く薬局をAIで選ぶ話は、薬局側から見ると入荷の偏りにもつながりそうです。MRの数を絞る流れは国内の製薬でも進んでいます。
ニュース 医療の質・安全

厚生労働省が転倒や誤薬などの介護事故をデータベースにして分析する仕組みをつくることについて、日本経済新聞が報じました。

  • 2026年度中に介護現場の事故を把握する「事故情報報告システム」を構築し、転倒や転落、誤薬が起きた場合に事業者に報告してもらう
  • 2027年度に有識者による分析委員会を設ける

出典:日本経済新聞 / 厚労省、介護事故防止へ事例集約 全国統一のデータベース

サトシサトシ
誤薬が全国で集まるなら、薬剤師として一番見たいデータです。一包化や服薬支援のどこで起きているかまで分かると、薬局の手の打ち方も変わります。