実運用での検証が増えた一方、アウトカムを見た承認機器は0.2%
8月は19日分、156本を取り上げました。論文124本、プレスリリース32本です。テーマでは電子カルテ・記録業務が34本で最多、臨床意思決定支援が25本、予測モデル・リスク層別が24本と続きました。記録と判断支援でだいたい4割を占めます。
承認と検証のずれ:アウトカムを見た機器は1,357件中3件
この月で一番効いた数字は、米FDAが承認したAI医療機器1,357件のうち、患者アウトカムを評価した研究があるのは3件(0.2%)という報告です。承認されていることと、患者の結果が良くなると確かめられていることは別だという話で、製品を選ぶ立場からは覚えておきたい割合です。似た話として、音声からパーキンソン病を拾うAIのAUC 0.85〜0.97が、その多くは年齢による交絡だったという報告も出ています。高い数字が何に由来するのかまで見ないと、評価を誤ります。
米FDAが承認したAI医療機器1357件のうち、患者アウトカムを評価した研究はわずか3件(0.2%)にとどまったという論文。
- 2025年12月5日時点のFDA承認AI/ML医療機器全件を対象に、ClinicalTrials.govとPubMedへの登録・掲載を横断的に調査
- 1357件中、登録された前向き試験に紐づくのは34件(2.5%)、患者アウトカムを評価したのは3件(0.2%)のみだった
- 研究の62%は観察研究で小規模・単一集団が多く、脆弱な集団が除外される例も目立ったと指摘している
出典:PLOS Digit Health / 1,357 AI medical devices cleared, 3 actually tested on patient outcomes.
サトシ 承認された1357件のうち転帰まで見た研究が3件というのは、規制と検証のギャップがどれだけ大きいかを示す数字だと思います
実際の診療に置いて測る研究が増えた
一方で、実際の診療に置いて前向きに見た研究が増えました。造影CTで肝悪性腫瘍を診断するAIを読影補助として日常診療に組み込み、1万333人で評価したもの。複数のLLMを組み合わせた救急外来の支援システムを、4週間・1,138人で評価したもの。LLMで記録を解析して敗血症アラートを強化する仕組みを、救急部門の実運用で評価したもの。試験環境での正答率から、現場に置いたときにどうなるかへ、論文の重心が移ってきています。外来AIスクライブ3製品を実際のログで比べた研究では、製品によって時間外業務が増えた側と減った側に分かれました。
国内は記録と事務の自動化に集まった
国内の発表は、記録と事務の自動化が中心でした。カルテやX線照射録を撮影して送るとレセコン入力と保険請求チェックまで行うAI、処方箋の事前送信をAI-OCRでレセコンに流し込みGoogleの予約サービスとつなぐ仕組み、電子カルテの患者IDを録音データに自動で紐づける機能などです。診断そのものより、その前後の入力と転記を削る方向に集まっています。ここは効果を測りやすい領域でもあるので、実測値を公開する発表が増えると、選ぶ側は比べやすくなります。
処方箋の事前送信をAI-OCRでレセコンへ自動連携する仕組みを、Googleの予約サービス「Reserve with Google」と連携させたという発表。
- 全国7000店舗以上に導入済みのAI-OCR「薬師丸賢太」と、月間1300万人が利用する「ユビー」を連携し、首都圏の調剤薬局約300店舗でサービス提供を開始
- Google検索・マップの「Reserve with Google」から薬局を予約すると、処方箋画像をAIが解析しレセコンへ自動出力する
- 対象は東京・神奈川・千葉の大手チェーン加盟約300店舗からで、全国7000店舗への展開時期は明言されていない
出典:NeoX株式会社 / NeoX、Ubieが開始する「Reserve with Google」と連携を開始 処方箋事前送信をAI-OCR「薬師丸賢太」がレセコンへ自動連携
サトシ 予約から入力までを一気通貫でつなぐ発想は良いですが、まずは300店舗規模での使い勝手の検証が見どころです