週刊Dose 2026年8月31日〜9月6日

5日分 / 全37本(論文26・リリース11)

サトシ

サトシの総括

医療DXエバンジェリスト/薬剤師

内視鏡のフィードバックで腺腫発見率が5.2ポイント上がった

37本を取り上げました。論文26本、プレスリリース11本です。この週は、比較試験の形で効果を測った研究が目立ちました。

RCTで、発見率が上がった

デンマークの3大学病院で、内視鏡医にAIで質のフィードバックを返す効果を段階的クラスター無作為化比較試験で検証した研究が出ました。腺腫発見率は43.4%から48.6%(オッズ比1.24、p=0.032)、腺癌発見率は6.5%から8.9%(p=0.027)に上がっています。腺腫の個数自体には有意差がありません。AIが読影を代わるのではなく、医師の手技に数字を返す形です。

AIによる内視鏡の質フィードバックが医師の腺腫発見率を高めたとするデンマークの多施設RCTという論文。

  • デンマークの3大学病院で便潜血陽性の50〜74歳患者を対象に、内視鏡医への質フィードバックの効果を段階的クラスター無作為化比較試験で検証した
  • 介入期間は対照期間に比べ腺腫発見率48.6%対43.4%(オッズ比1.24、p=0.032)、腺癌発見率8.9%対6.5%(p=0.027)と有意に上昇した
  • 腺腫個数自体には有意差がなく(IRR1.15、p=0.069)、大腸がん死亡減少への効果検証は今後の課題とされている

出典:Lancet Digit Health / Effect of a computer-aided quality feedback system on colonoscopists' adenoma detection rate in Denmark: a multicentre, stepped-wedge, cluster-randomised, controlled trial.

サトシサトシ
内視鏡の質を機械的にフィードバックする発想は面白いです。ADRは指導医でもばらつくので、数値で示されると納得感があります。

読影の待ち時間と、患者側の準備

胸部X線で、AIの優先順位付けと自動レポート生成を入れたクロスオーバー試験では、レポート作成時間の中央値が2分から0.53分、総ターンアラウンドタイムが876分から82分になりました(いずれもP<0.001)。単施設で診断精度は評価していません。国内では、大腸内視鏡の前処置中に便の状態をAIで判定するアプリの多施設研究が出ています。10施設326人で、Boston Bowel Preparation Scale 6点以上の達成率は99.1%、スタッフの89.6%が負担の軽減を挙げました。対照群のない単群の観察研究です。

胸部X線の読影にAI優先順位付けと自動レポート生成を導入した前向きクロスオーバー試験を報告したという論文。

  • 放射線科医8人が胸部X線1054件を、通常のFIFO運用とAI優先順位付け・自動レポート生成の2条件で読影する単施設クロスオーバー試験
  • レポート作成時間の中央値は2分から0.53分に73.3%減、総ターンアラウンドタイムは876分から82分に90.6%減少した(いずれもP<0.001)
  • 緊急度の高い症例を含む全区分でTATが有意に短縮したが、単施設・胸部X線に限った検討で診断精度への影響は評価していない

出典:J Med Internet Res / Impact of AI-Triaged Worklists and AI-Assisted Report Generation on Radiology Turnaround Times: Prospective Real-World Study.

サトシサトシ
ワークリストの並び替えだけでこれだけ変わるのかと驚きました。診断の質は担保しつつ、待ち時間を削れる余地はまだありそうです。

大腸内視鏡の前処置中に便の状態をAIで判定するスマホアプリの多施設前向き研究を報告したという論文。

  • 国内10施設(大学病院6・地域病院3・診療所1)で20〜70歳の326人を対象に、患者が撮影した便画像をAIとスタッフ用ビューアで評価した
  • 主要評価項目であるBoston Bowel Preparation Scale6点以上の達成率は99.1%、平均スコアは8.5、優良割合は87.4%だった
  • 医療スタッフの89.6%が業務負担の軽減を報告した一方、対照群を置かない単群の観察研究で前処置の質そのものへの因果効果は検証していない

出典:JMIR Mhealth Uhealth / Feasibility of a Stool State Check App Using AI During Bowel Preparation Before Colonoscopy: Multicenter Prospective Study (SCAN Study).

サトシサトシ
前処置の質を患者自身が見える化できるのは大きいです。内視鏡室の当日キャンセルや不良症例を減らす一歩になりそうです。

制度に合わせたサービスも動き出した

2026年度の診療報酬改定に対応した、外来データ提出加算向けのクラウドサービスが全国展開されました。改定は要件が変わる場面なので、対応をサービスとして売る動きが出てきます。制度の締め切りが導入の理由になる領域です。

2026年度診療報酬改定に対応した外来データ提出加算向けクラウドサービスを全国のクリニック向けに本格展開するという発表。

  • レセコン連携やレセプト(UKEファイル)の取り込みにより外来様式1(FF1)の作成を支援するクラウドサービスで、現役の開業医が自院運用をもとに開発した
  • 充実管理加算や2026年度版の外来データ提出加算など5種のモードに対応し、料金は月額4,980円(税抜)、契約月は無料とした
  • 電子カルテやレセコンを置き換えるものではなく、既存の運用に乗せて提出業務のみをクラウド化する位置づけとしている

出典:メディトク株式会社 / 【2026年度改定対応】現役開業医が開発、外来データ提出の作成負担を軽減するクラウドサービスを本格展開

サトシサトシ
月4,980円は現実的な価格設定だと思います。加算の種類が増えるほどこうしたサービスの需要は増えそうです。

特に注目された10本

AIによる内視鏡の質フィードバックが医師の腺腫発見率を高めたとするデンマークの多施設RCTという論文。

  • デンマークの3大学病院で便潜血陽性の50〜74歳患者を対象に、内視鏡医への質フィードバックの効果を段階的クラスター無作為化比較試験で検証した
  • 介入期間は対照期間に比べ腺腫発見率48.6%対43.4%(オッズ比1.24、p=0.032)、腺癌発見率8.9%対6.5%(p=0.027)と有意に上昇した
  • 腺腫個数自体には有意差がなく(IRR1.15、p=0.069)、大腸がん死亡減少への効果検証は今後の課題とされている

出典:Lancet Digit Health / Effect of a computer-aided quality feedback system on colonoscopists' adenoma detection rate in Denmark: a multicentre, stepped-wedge, cluster-randomised, controlled trial.

サトシサトシ
内視鏡の質を機械的にフィードバックする発想は面白いです。ADRは指導医でもばらつくので、数値で示されると納得感があります。
リリース 画像診断AI 注目 2026-09-04

胸部X線診断支援AI「EIRL Chest Screening」が多発粒状影・空洞影に対応した新版を発売したという発表。

  • エルピクセルが、結節影・浸潤影・無気肺・間質性陰影の4所見に加え多発粒状影と空洞影を検出対象に加えた新バージョンを2026年9月3日に発売した
  • 医師の読影と同時にAI結果を参照できるコンカレントリードに新たに対応し、施設ごとに6所見表示か結節影のみ表示かを選べるようにした
  • 同製品は2026年2月末時点で全国1200施設以上・47都道府県に導入され、累計解析件数は1600万件を超えている(トライアル含む)

出典:LPIXEL / 胸部X線診断支援AI「EIRL Chest Screening」を大幅アップデート

サトシサトシ
専門でない内科医が胸部X線を読む機会は実際多いので、見落とし防止の網羅性アップは現場感覚に合います。

胸部X線の読影にAI優先順位付けと自動レポート生成を導入した前向きクロスオーバー試験を報告したという論文。

  • 放射線科医8人が胸部X線1054件を、通常のFIFO運用とAI優先順位付け・自動レポート生成の2条件で読影する単施設クロスオーバー試験
  • レポート作成時間の中央値は2分から0.53分に73.3%減、総ターンアラウンドタイムは876分から82分に90.6%減少した(いずれもP<0.001)
  • 緊急度の高い症例を含む全区分でTATが有意に短縮したが、単施設・胸部X線に限った検討で診断精度への影響は評価していない

出典:J Med Internet Res / Impact of AI-Triaged Worklists and AI-Assisted Report Generation on Radiology Turnaround Times: Prospective Real-World Study.

サトシサトシ
ワークリストの並び替えだけでこれだけ変わるのかと驚きました。診断の質は担保しつつ、待ち時間を削れる余地はまだありそうです。

170万件の心電図で事前学習した基盤モデルECG-CLIPを外部データセットで検証したという論文。

  • Scripps Healthの170万件超のECGと所見レポートで事前学習し、MIMIC-IVの80万件超のECGを用いて外部検証を実施した
  • 陽性ラベル10件のみの少数条件で、急性心筋梗塞検出のAUCが0.910(比較モデル0.884)など主要タスクで既存基盤モデルを上回った
  • 同等のAUCに達するのに必要な学習データは平均90.8%少なく済んだが、実臨床への展開効果はまだ検証されていない

出典:Lancet Digit Health / Development and external validation of a contrastive learning foundation model for ECG-based prediction of cardiovascular diseases and outcomes.

サトシサトシ
ラベルが少なくても性能が出るという話は、データの乏しい施設ほど恩恵が大きいはず。外部検証まで通した点は評価できます。

大腸内視鏡の前処置中に便の状態をAIで判定するスマホアプリの多施設前向き研究を報告したという論文。

  • 国内10施設(大学病院6・地域病院3・診療所1)で20〜70歳の326人を対象に、患者が撮影した便画像をAIとスタッフ用ビューアで評価した
  • 主要評価項目であるBoston Bowel Preparation Scale6点以上の達成率は99.1%、平均スコアは8.5、優良割合は87.4%だった
  • 医療スタッフの89.6%が業務負担の軽減を報告した一方、対照群を置かない単群の観察研究で前処置の質そのものへの因果効果は検証していない

出典:JMIR Mhealth Uhealth / Feasibility of a Stool State Check App Using AI During Bowel Preparation Before Colonoscopy: Multicenter Prospective Study (SCAN Study).

サトシサトシ
前処置の質を患者自身が見える化できるのは大きいです。内視鏡室の当日キャンセルや不良症例を減らす一歩になりそうです。
リリース 画像診断AI 注目 2026-09-02

病理画像クラウド「PidPort」の個人向けプラン提供開始という発表。

  • 法人向けに提供してきた病理画像クラウド「PidPort」を個人向けに拡張し、ブラウザから病理画像を保管・閲覧できるプランの提供を始めた
  • 月額3,980円(ストレージ50GB)のPersonalプランを新規申込者向けに3か月間無料とするキャンペーンを2026年12月31日まで実施する
  • 現時点の主な用途は教育・研究・自己学習での保管や共有で、AI解析機能は今後追加予定としている

出典:メドメイン株式会社 / メドメイン、個人向け病理画像クラウド「PidPort Personalプラン」を提供開始、3か月無料キャンペーンを実施

サトシサトシ
個人でWSIを管理できる環境は病理医だけでなく研修医の学習用途にも合いそうです。AI解析の追加が楽しみです。
リリース ウェアラブル・PHR 注目 2026-09-02

スマートフォンで睡眠・生活リズムを自動記録する「心想計」が正式サービスを開始したという発表。

  • 睡眠専門医と共同開発したアプリで、スマホの情報から睡眠や活動を自動推定し、手書きの睡眠日誌に代わる生活リズム表として可視化する
  • 基本機能は無料、過去履歴を無制限に閲覧できる有料版は月額500円で、2026年8月17日に正式サービスを開始した
  • 睡眠外来での試用・評価を経ての正式版移行で、診断・治療を目的とするものではないと明記されている

出典:株式会社ツリーベル / 睡眠・生活リズムを自動で推定・可視化するアプリ「心想計®」正式サービス開始

サトシサトシ
睡眠日誌の手入力がなくなるだけで続けやすさは変わります。外来での生活状況の把握に使えるかもしれません。
リリース その他 注目 2026-09-02

訪問看護・病院向けにシフト作成代行と自動生成AIを組み合わせたサービスを本格展開するという発表。

  • 初月はシフト作成そのものを代行し、現場のルールをハード制約・ソフト制約に整理したうえで数理最適化による自動生成へ約3か月で移行する
  • 代行と自動生成基盤の構築を含む最初の3か月の費用は150万円からで、事業所数やスタッフ数、制約の複雑さにより変動するとしている
  • 外部の生成AIを最適化計算に必須としない構成で、院内サーバーなどローカル環境での運用にも対応するとしている

出典:ニチテック / NITI Technology、シフト作成代行と自動生成AIを本格展開—初月から代行、約3か月で自動生成へ

サトシサトシ
シフト作成の暗黙知を言語化してから自動化するという順番が現実的です。現場のルールをいきなりAIに委ねない設計は好感が持てます。
リリース その他 注目 2026-08-31

LINEで面会予約から入退室までを完結できる施設向けサービス「KAKERU 面会予約」の提供を始めたという発表。

  • 介護・医療施設向けに、代理人がLINE公式アカウントで24時間365日面会予約・変更・キャンセルを行える機能を提供する
  • 予約日にはスマートロック「RemoteLOCK」と連携した入室用QRコードと暗証番号をLINEで自動送付し、非接触で入室できる。初期費用50万円、月額3万円(いずれも税抜)とした
  • 面会終了5分前の自動リマインドや、月カレンダー形式の予約管理・CSV出力など施設側の管理機能もあわせて提供する

出典:株式会社ミライク / LINEで完結!施設向け面会予約・スマートロック連携サービス「KAKERU 面会予約」を提供開始

サトシサトシ
面会予約の電話対応が減るのは現場にとって助かる話です。価格も明快で導入しやすそうだと感じました。

2026年度診療報酬改定に対応した外来データ提出加算向けクラウドサービスを全国のクリニック向けに本格展開するという発表。

  • レセコン連携やレセプト(UKEファイル)の取り込みにより外来様式1(FF1)の作成を支援するクラウドサービスで、現役の開業医が自院運用をもとに開発した
  • 充実管理加算や2026年度版の外来データ提出加算など5種のモードに対応し、料金は月額4,980円(税抜)、契約月は無料とした
  • 電子カルテやレセコンを置き換えるものではなく、既存の運用に乗せて提出業務のみをクラウド化する位置づけとしている

出典:メディトク株式会社 / 【2026年度改定対応】現役開業医が開発、外来データ提出の作成負担を軽減するクラウドサービスを本格展開

サトシサトシ
月4,980円は現実的な価格設定だと思います。加算の種類が増えるほどこうしたサービスの需要は増えそうです。

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