AIの助言は、外れたときに人を引きずると数字で出た週
今週は64本を取り上げました。論文41本、ニュース19本、プレスリリース4本です。ニュースは前週の8本から19本に増え、リリースは14本から4本に減りました。テーマでは生成AI・LLMが12本(前週7本)で一番多く、前週最多だった電子カルテ・記録業務は13本から7本になりました。5点をつけたのは8本です。
AIの助言:当たれば精度が上がり、外れると引きずられる
今週いちばん考えさせられたのは、AIの助言が外れたときの話です。薬剤師と薬学生の計77人の処方監査にGPT-4oの助言を付けた試験では、正確性は上がりました(調整OR1.58)。ところがAIが誤ると正答率は26.1%に落ち、誤った助言の73.9%がそのまま受け入れられています。家庭医13人が音声AI診断アシスタントを使った試験でも、上位3診断の正答率は74.6%対62.3%で上がった一方、誤った提案に同調する傾向が見られました。こちらは有意差には届いていません。
評価の物差し:高得点と臨床の質が一致しなかった
評価の物差しそのものがずれていた報告も続きました。不妊治療のLLMでは、自動評価で最高(正解率92.57%)だったGRPOより、専門医は保守的なSFTを高く評価しています。肺CTの基盤モデルは、画像を使わず撮影条件6項目だけでもAUC0.996が出て、結節部分に絞ると外部検証で0.682まで下がりました。AIスクライブ3社の比較では、医師評価で最高だったベンダーの誤りが8件、最少は別ベンダーの3件です。点数の高さと臨床での質が一致しない例が、1週間で3本そろいました。
記録AIとお金:米国は資金と請求増、国内は月額の予価
記録AIの周りではお金も動いています。AIスクライブのHeidiは3億4000万ドルを調達し、評価額は9億ドルになったとFierce Healthcareが報じました。一方で米国の保険者団体BCBSAは、病院のAIコーディングで同程度の医療への請求が増えたとして、2年間の追加費用を約9億4,200万ドルと推計しています。これは払う側の分析です。国内では、オプティムが電子カルテ記載の下書きまで作る病院向けスマホサービスを2027年1月に始めると発表しました。予価は1IDあたり月額1,500〜1,980円(税抜)です。
臨床記録AIスクライブから始まったHeidiが、3億4000万ドルの資金調達を発表したとFierce Healthcareが報じました。
- シリーズCの1億ドルとGeneral Catalyst主導の2億4000万ドルの成長投資を合わせ、評価額は9億ドルとなった
- 英NHSイングランド・ミッドランズの臨床AI調達で単独採用されるなど、支援した診察は過去2年で7300万件から1億7500万件に増えた
- 記録業務の自動化から一歩進め、医師の監督下で実務を代行する機能へ展開する計画だという
出典:Fierce Healthcare / Heidi lands $340M to build 'AI care partner' for clinicians
サトシ スクライブが記録係から一歩踏み出す動きです。日本の現場にどう波及するか注視したいです。
病院向けスマホサービス「OPTiM AI ホスピタルフォン」を2027年1月に提供開始するというオプティムの発表。
- 院内チャット、依頼の承認ワークフロー、撮影・録音をまとめ、AIが電子カルテ記載用の文面の下書きを作る
- 価格は予価で1IDあたり月額1,500〜1,980円(税抜)。最大1カ月の無償トライアルがある
- 送信前にAIがSBARの観点で報告の抜け漏れを確認するとしている。同社MDMは370施設・約5万台で稼働
出典:株式会社オプティム / 病院内スマホとAIで医師・看護師の業務を効率化、「OPTiM AI ホスピタルフォン」を2027年1月提供開始
サトシ PHSの置き換えで止まっている病院は多いので、記録までつなげる設計は現場の実感に合っています。