声で書く記録と、駅や団地で受ける診療が広がった週
今週は76本を取り上げました。論文38本、ニュース27本、プレスリリース11本です。前週の64本から12本増え、リリースは4本から11本、ニュースは19本から27本になりました。テーマでは生成AI・LLMが16本で一番多く、電子カルテ・記録業務が15本(前週7本)、オンライン診療・遠隔モニタリングが13本(前週7本)と続きます。5点をつけたのは5本です。
声で書く記録:救急車から診察室まで、時間は自己申告
記録業務では、話した内容をAIが要約して入力欄に流し込む仕組みが、救急と外来の両方で出ました。兵庫県中西播磨の3消防本部は、口頭の報告を生成AIが要約して自動入力する「HEARTS 2.0」の本格運用を10月に始めています。モニタOCRの対象6項目の完全正解率は92.3%と発表されています。外来向けでは「カルステップ」のMac版が出ており、AI使用料は1分約1円の従量課金です。デンマークの家庭医20人の前後比較では、記録時間区分が2.85から2.29に下がりました。ただしこれは実測ではなく自己申告の区分です。
フットスイッチで録音からAI要約、カルテ転記まで操作する医療支援AI「カルステップ」のMac版が正式リリースされたという発表。
- 診察の会話を文字起こしし、SOAP形式などに要約して下書きを作る。Windows版と同等の機能で、2026年8月26日に提供を始めた
- 初期費用はキャンペーン価格5万5,000円(通常7万7,000円)、月額保守5,500円(いずれも税込)。AI使用料は1分約1円の従量課金
- 導入医療機関は150施設以上と同社は説明している。Mac版も備品付きの1週間無料トライアルがある
出典:MJS / Macの診察室にも、足元からカルテ作成を支援するAIを。「カルステップ」Mac版を正式リリース
サトシ 足元のスイッチで操作するのは、診察中に手を止めたくない先生には合っていそうです。1分1円の従量課金は小さな診療所でも試算しやすいです。
オンライン診療の受診場所:団地、駅、町が用意する形へ
オンライン診療は、受ける場所を誰が用意するかの話が続きました。ローソンは2018年の閉院以降医療機関がなかったUR高幡台団地の店舗に受診施設を開き、処方箋は店内のクオール薬局で受け取れます。JR東日本は首都圏の19か所に続いて、古川駅構内と仙台駅近くに東北初のブースを設けました。香川県綾川町は、町内の小児科医が2人という事情から、0〜18歳向けの夜間・休日のオンライン診療を2027年2月28日まで実証します。
ローソンが団地内の店舗にオンライン診療の受診施設を開設したことについて、Impress Watchが報じました。
- ハッピーローソンタウン日野高幡台店に9月29日開設。KDDIのリモート接客基盤を使い、専用端末で診療科と医療機関を選んで受診する
- 処方箋が出た場合は、店内に併設されたクオール薬局で薬を受け取れる
- 隣接するUR高幡台団地では、2018年の閉院以降、急な体調不良で通える医療機関が近隣になくなっていた
出典:Impress Watch / ハッピーローソンタウンにオンライン診療施設 診療と薬の受取を地域完結
サトシ 診療から薬の受け取りまで店内で完結するのは、医療機関がなくなった団地には現実的な形です。服薬指導の丁寧さが薬局側の腕の見せ所です。
JR東日本が駅のオンライン診療個室ブースを仙台駅近くと古川駅構内に設け、首都圏以外で初めて運用を始めたことについて、日テレNEWS NNNが報じました。
- ブースは首都圏の駅などに19か所あり、2026年10月1日に東北初となる2か所でサービスを始めた
- 事前予約制で、提携する9つのクリニックの内科、皮膚科、耳鼻咽喉科の医師が診察する。受付から会計まで15分とJR東日本は説明している
- 診察後は必要に応じて処方箋が発行される
出典:日テレNEWS NNN / 「気軽にスキマ時間で受診」仙台駅近くと古川駅構内にオンライン診療個室ブース(2026年10月1日掲載)|ミヤテレNEWS NNN
サトシ 駅の動線上に診察室を置く発想は、処方箋を受ける薬局の立地にも響きそうです。駅前薬局との連携がどう組まれているのか知りたいです。
香川県綾川町が、夜間や休日に子どもが遠隔で医師の診察を受けられる小児オンライン診療の実証を始めたことについて、読売新聞が報じました。
- 対象は0〜18歳の町民で、期間は2027年2月28日まで。ファストドクターに委託し、県内の自治体では初めてという
- 受付は平日の午後6時から翌朝8時と、土曜午前を除く休日の終日。処方箋は希望する薬局へ送られる
- 町内の小児科医は2人で、夜間診療を行う病院がなく、町外の病院を受診するケースがあると町は説明している
出典:読売新聞 / 香川:綾川町小児オンライン診療 実験開始 :地域ニュース
サトシ 処方箋が希望の薬局に飛ぶ形なので、夜間に受けた処方を翌朝どこで渡すか、町内の薬局側の体制も気になるところです。
国内の導入例:台数と料金まで書かれた発表が出た
導入する側から見ると、台数や料金まで書かれた国内の発表が2本ありました。恵寿総合病院はスマートウォッチ300台を用意し、血圧・心拍数・SpO₂を看護師の入力なしで電子カルテに反映する運用を10月19日から始めます。全病棟への展開は2027年1月中旬までの予定です。pafinの「スマぞう」は、CT・MRIのCDをキオスクから受診者のスマホへ移すサービスで、初期費用30万円〜、年間利用料48万円〜(税別)です。院内LANにもインターネットにもつながない設計だと同社は説明しています。
CT・MRI画像のCD/DVDをキオスクにセットし、受診者のスマートフォンへ転送するサービス「スマぞう」をpafinが販売開始したという発表。
- キオスクは電源だけで動き、院内LAN・電子カルテ・PACS・インターネットに接続しない。受診者は無料アプリで画像を保存・閲覧する
- 料金はキオスク1台あたり初期費用30万円〜、年間利用料48万円〜(税別)。MRI・CTの稼働台数に応じた3プランがある
- 関東脳神経外科病院が導入済み。アプリは保管・閲覧用で、診断・読影を目的としたものではないと明記している
出典:pafin / 病院のCT・MRI画像を受診者のスマートフォンへ。院内LAN・PACSに接続しない検査画像転送サービス「スマぞう」販売開始
サトシ 画像CDを持ってきてもらっても、見る手段がない場面は薬局でもあります。院内ネットワークに触らない作りは、情報システム部門の説得が楽そうです。