姫路市消防局など兵庫県中西播磨の3消防本部が、生成AIで音声入力を要約する救急搬送システム「HEARTS 2.0」の本格運用を2026年10月に始めたという発表。
- TXP Medicalの「NSER mobile」が基盤。管轄人口計約79万人、年間救急件数計約48,800件の地域を1つのネットワークで結ぶ
- 口頭のサマリー報告を生成AIが要約し、システムの項目へ自動入力する。モニタOCRは対象6項目の完全正解率92.3%と発表している
- 音声の自動要約・構造化の本格導入は全国初と同社は説明している。個人情報の入力にはLLMを使わない運用ルールを定めた
出典:TXP Medical / 姫路市消防局・西はりま消防組合・赤穂市消防本部、救急DXを推進― 中西播磨地域3消防本部が同時にNSER mobileをベースとした次世代救急システム「HEARTS 2.0」を本格運用開始
サトシ 救急隊からの電話の申し送りは、受ける側も聞き漏らしが怖いところです。LLMを使う場面を絞るルールまで書いてあるのは実務的だと感じました。
CT・MRI画像のCD/DVDをキオスクにセットし、受診者のスマートフォンへ転送するサービス「スマぞう」をpafinが販売開始したという発表。
- キオスクは電源だけで動き、院内LAN・電子カルテ・PACS・インターネットに接続しない。受診者は無料アプリで画像を保存・閲覧する
- 料金はキオスク1台あたり初期費用30万円〜、年間利用料48万円〜(税別)。MRI・CTの稼働台数に応じた3プランがある
- 関東脳神経外科病院が導入済み。アプリは保管・閲覧用で、診断・読影を目的としたものではないと明記している
出典:pafin / 病院のCT・MRI画像を受診者のスマートフォンへ。院内LAN・PACSに接続しない検査画像転送サービス「スマぞう」販売開始
サトシ 画像CDを持ってきてもらっても、見る手段がない場面は薬局でもあります。院内ネットワークに触らない作りは、情報システム部門の説得が楽そうです。
精神科外来の初診記録の品質監査にLLMの判定を提示したとき、人間の監査者の判断と作業時間がどう変わったかを調べた論文。
- 訓練を受けた監査者10人が13項目のルーブリックで記録を監査した。導入前9,711件、導入後2,677件を比べた前後比較で、AIはClaude Sonnet 4
- 1件あたりの監査時間は8.77分から8.06分に短縮した(P=0.002)。100件あたり71分の短縮に相当する
- 項目の合格率は平均約2%上がったが、監査者ごとの変化は−35%〜+35%と大きくばらついた
出典:Appl Clin Inform / The Effects of Artificial Intelligence in Quality Assessment of Outpatient Mental Health Services on Human Auditors.
サトシ 時間の短縮より、AIを見たあとで人の判定が上下どちらにも動いた点が気になります。監査する人の側も見張る必要がありそうです。
ガイドラインに基づくRAG型のがん診療支援AI「OneRx.AI」を、インドの3つのがん専門施設で腫瘍医が前向きに評価した論文。
- 5種類のがんの臨床質問124件のうち適格な110件を、腫瘍医3人が独立に評価した。正確性、安全性、ガイドライン一致率を見た
- 完全に正しい回答は82.7%、ガイドラインと完全一致は94.5%だった。推奨までの時間の中央値は389.2秒から47.2秒に短縮した(P<0.0001)
- 評価者は3人で、著者自身も天井効果のある探索的評価と位置づけている。患者アウトカムは測っていない
出典:Int J Med Inform / Prospective multicentre expert evaluation of an artificial intelligence-based oncology clinical decision support system across major cancer types in India.
サトシ 専門医1人に新患1600人という数字を見ると、こうした道具への期待の大きさが分かります。評価者が3人なので、次の段階の規模に注目しています。
救急外来の熱傷患者100人について、LLM4種と救急科の若手医師10人の診断と治療計画を比べた中国の論文。
- 浙江大学第二附属病院の熱傷患者100人を対象に、専門家パネルの判断を基準として、熱傷専門医2人が盲検でリッカート尺度で採点した
- Doubao-2.0-Pro、ChatGPT-5.5、Gemini 3.5 Flashの治療計画の妥当性は中央値4.0で、若手医師より有意に高かった(P<0.05)
- 重症・最重症の熱傷では、診断精度に若手医師とLLMの間で有意差がなかった。治療計画の評価者間一致は中程度(ICC 0.650)
出典:Zhonghua Shao Shang Yu Chuang Mian Xiu Fu Za Zhi / [Application effect of LLMs as decision-support tools in emergency burn treatment].
サトシ 軽症ほど差が出て、重症では差がないという結果は直感とも合います。モデル名が具体的に並ぶので、半年後には古くなる比較でもありますね。
実装済みの乳房AIが出す2つの悪性度スコア(トモシンセシス由来と合成2D由来)が置き換え可能かを、生検紹介例で調べた論文。
- トルコの単施設で生検に紹介された女性134人、139乳房(悪性84、良性55)を後ろ向きに解析した。基準は病理
- AUCは0.728対0.717で差はなかった(P=0.786)が、一致はκ=0.53にとどまり、悪性のうち一方だけが拾った乳房は21対6だった(P=0.006)
- 臨床・画像所見のモデルに加えたときのAUCの上積みは0.809から0.841〜0.848と小さかった。単施設・後ろ向きの研究
出典:J Imaging Inform Med / Tomosynthesis and Synthesized-2D Breast AI Outputs in a Biopsy-Referred Cohort: A Diagnostic Study of Agreement and Incremental Decision-Support Value.
サトシ 同じ製品の中でも出力ごとに拾う病変が違うという話です。スコアが低いことを安心材料に使わないという著者の結論は、現場に効く指摘だと思います。
中国の資源の限られた地域での糖尿病網膜症検診で、眼の状態がAI診断の精度にどう影響するかを調べた横断研究の論文。
- 2024年10〜11月にプライマリケア施設で2型糖尿病の住民1,748人(3,392眼)を検診し、眼科医2人の判定とAIを比べた
- 全体の感度は90.61%、特異度は98.99%だった。重度の中間透光体混濁では感度80.95%、重度の豹紋状眼底では60.71%まで下がった
- 瞳孔散大で感度は上がったが、初期の網膜症は除いた場合に限られた。重度の硝子体混濁はほぼ必ず重症例の見落としにつながった
出典:J Med Internet Res / Ocular Factors Affecting AI Diagnosis in Diabetic Retinopathy Screening for Resource-Limited Regions: Cross-Sectional Study.
サトシ 高齢の糖尿病患者さんほど白内障などで眼の条件が悪くなります。全体の数字だけでなく、どこで外れるかを示した点は導入する側に役立ちます。
ロボット支援手術で、器具の3次元の位置データだけから術者の熟練度を判別し、臨床成績との関連を調べた論文。
- どのロボットでも取れる3次元の位置座標から基本的な運動指標を作り、ランダムフォレストで熟練者かどうかを判別した
- 症例単位の判別のAUCは0.892±0.075で、最も効いた指標は左手のピーク密度だった。動きの特徴は出血量と関連していた
- 術者を1人ずつ除いた検証でも少数の指標は通用した。臨床成績との関連は探索的な解析にとどまる
出典:★NPJ Digit Med / Fundamental kinematic indicators predict surgical expertise and clinical outcomes in robot-assisted surgery.
サトシ 上手な人の動きが左手に表れるというのは、手術を見ない立場でも面白く読めました。新機種に乗り換えた熟練者の学習曲線がばらつく点も興味深いです。
医療AI推進機構(MAPI)が次世代医療基盤法に基づく認定匿名加工・仮名加工医療情報作成事業者の認定を取得したという発表。
- 医療機関の診療情報を研究開発向けデータセットに整え、医療AIの開発企業や研究機関に提供する事業を始める
- 認定作成事業者としては全国で4例目、単独事業者としては初めてと同社は説明している
- CT・MRI画像や手術・内視鏡の動画像を、診断や検査結果、治療経過と組み合わせたデータセットの整備に注力するとしている
出典:医療AI推進機構(MAPI) / 医療AI推進機構、次世代医療基盤法に基づく認定を取得
サトシ レセプト中心のNDBでは届かない画像や動画が対象なのが特徴だと思います。データを出す側の医療機関がどれだけ集まるかで価値が決まりそうです。
三重大学病院(685床)が、電子カルテと連携するAI基幹システム「Apollo AI」の導入を始めたとAlbatrusが発表。
- 既存の電子カルテと連携し、部門ごとに散在していた診療情報をAIが横断的に参照できるようにした。記録作成支援や情報検索に使う
- 病院長とMUDX Initiativeの教授を中心に「AI導入チーム」を作り、職種・部門ごとのプロジェクトチームで段階的に広げる
- 同院では第一弾として「メディラクAI」で症状詳記などの自動作成を進めてきた。今回の導入で効果の数字は示していない
出典:株式会社Albatrus / 三重大学病院、AI活用の第二弾としてAI基幹システム『Apollo AI』を導入開始
サトシ 道具を入れるより、職種ごとにチームを作る体制の話が中心なのが印象的です。薬剤部がどう使うのかも知りたいところです。
米国の雇用主と保険者でデジタルヘルスの成果連動型契約が主流になったとするPHTIの調査について、Fierce Healthcareが報じました。
- PHTIが保険者・雇用主・医療機関でデジタルヘルスの購入を担う321人に、購入方針やAI導入、契約について尋ねた
- 成果連動型の契約を使う割合は雇用主68%、保険者55%。契約の85%が料金の4分の1以上を成果に連動させていた
- 医療機関のAI導入は記録業務とアンビエント型スクライブが先行し、71%が何らかの形で導入、41%は全院で運用していた
出典:Fierce Healthcare / Employers increasingly tie digital health payments to outcomes, PHTI survey finds
サトシ 成果を確かめられないと答えた購入側が38%いる点が、成果連動払いの難しさをよく表しています。払う側が自分で検証できる仕組みが鍵になりそうです。
感染症専門医が常駐しない病院で遠隔の抗菌薬適正使用支援を行った名古屋市立大学の研究を島津製作所が支援したことについて、メディカルwatchが報じました。
- 500床の病院で島津製作所の「ExpertTWIN」を使い、感染症専門医が電子コンサルテーションで支援した。24か月・入院患者27,863人を解析した
- カルバペネム系の使用量は平均1.4 DOT/100患者日減ったと推定された。遠隔で145症例を評価し、214件の提案の63.1%が診療に反映された
- 一部の薬剤耐性菌の院内発生は減少方向、培養検体の提出率は増加方向の変化にとどまった。論文はAntimicrob Steward Healthc Epidemiolに掲載
出典:メディカルwatch / 島津製作所、遠隔医療による抗菌薬適正使用支援プログラムの実装効果を検証する研究を支援
サトシ 専門医がいない病院でも提案の6割が通ったのは心強い数字です。抗菌薬の相談は病棟薬剤師が窓口になることも多いので、連携の形に興味があります。
ICUに入った急性上部消化管出血の患者で、入室後24時間のデータから院内死亡を予測する機械学習モデルを作り、外部検証した論文。
- MIMIC-IV(3,728人)で17項目のモデルを作り、eICU-CRD(7,529人)と中国・海南のコホート(200人)で外部検証した
- AUROCは0.847、0.837、0.848で、再構成できたコホートではAIMS65、内視鏡前Rockall、SOFA、SAPS IIを上回った
- オンラインの予測ツールとして公開したが、前向きの臨床使用での検証は行っていない
出典:Int J Med Inform / Interpretable machine learning for early in-hospital mortality prediction in intensive care unit patients with acute upper gastrointestinal bleeding: Development and multicenter external validation.
サトシ AIMS65などの既存スコアと並べて比べているので、消化器の先生には位置づけが分かりやすい論文だと思います。
医療記録AI「カタナシ」を開発するAIBORNが、メディカル・データ・ビジョン(MDV)から出資を受けて資本業務提携したという発表。
- カタナシは診察やカンファレンスの会話を文字に起こし、AIがSOAP形式などに要約して記録の下書きを作る
- MDVは2025年8月からカタナシの販売代理店を務めてきた。出資額は公表していない
- 製品開発、医療機関への提供、導入後の支援で連携を強めるとしている
出典:株式会社AIBORN / AIBORN、メディカル・データ・ビジョンからの出資を受け資本業務提携
サトシ スクライブAIは機能の差が縮んできて、販売網と導入支援で勝負が決まる段階に入った印象です。代理店から出資へ進んだ流れはその表れに見えます。
AIレセプト業務支援SaaS「Reze」を提供するmutexがシリーズAで資金を調達したことについて、BRIDGEが報じました。
- Rezeはレセコンや電子カルテのデータを取り込み、算定漏れや請求内容の不備をAIが検知して医事課の点検を支援する
- 調達額は2億8,160万円で、累計は3億4,160万円。エムティーアイ、SBIインベストメント(MEDIPAL Innovation投資事業有限責任組合)、日本経営が出資した
- 現在は請求前の点検が中心で、今後はレセプトの作成から提出までの自動化を想定していると同社は説明している
出典:BRIDGE(ブリッジ) / mutex、医療機関向けに AI レセプト業務支援「Reze」でシリーズA・2.8億円調達
サトシ 卸、コンサル、ヘルスケアIT企業が並んで出資しているのが特徴です。医事課の人手不足はどこも深刻なので、導入の広がり方を見ていきたいです。
AIスクライブのHeidiが、記録の先にある事務作業をAIエージェントで片付ける新版「Heidi II」を公開したことについて、Fierce Healthcareが報じました。
- Heidiは週280万件の診察を支え、約1,000万件のフォローアップ業務を拾い出していると同社は説明している
- Heidi IIは紹介状、診察前のカルテ準備、フォローアップの手配などをエージェントが行う。承認の設定は臨床医や組織が決める
- 9月29日に英語とフランス語で提供を始めた。英国とEUでは提供しないとしている
出典:Fierce Healthcare / Heidi launches AI agents to automate clinical administrative tasks
サトシ 記録の次は、そこから生まれる宿題をどう片付けるかという流れですね。英国とEUで出さない理由は記事に無いので、規制との関係が気になります。
JR東日本が駅構内などの個室ブースで医師のオンライン診療を受けられるサービスを宮城県で始めたことについて、中国新聞が報じました。
- 「LX Doctor」を古川駅構内と仙台駅近くの仙台事業本部ビルで10月1日に始めた。東北地方では初導入
- ブースに体温計と血圧計を備え、タブレットで遠隔の医師と話す。内科、皮膚科、耳鼻咽喉科に対応し、受付から会計まで15分程度で終わるとしている
出典:中国新聞デジタル / 駅で手軽にオンライン診療
サトシ 郵便局、コンビニに続いて駅です。処方薬をどこで受け取る流れなのか、薬局側の動き方が気になるところです。
Genentech、Meta、AWS出身者が医療向けの基盤モデルを開発する新会社Ortetを立ち上げたことについて、Fierce Healthcareが報じました。
- 投資会社Thoreauから5億ドルの拠出を受けた。生物学、臨床、運用、財務をつなぐ患者中心の基盤モデルを作るとしている
- CEOのKyunghyun Cho氏はアテンション機構とGRUの共同開発者で、GenentechでAI研究チームを率いた
- 初期のGPUクラスタは確保済みと同社は説明している。製品や提供時期は記事に書かれていない
出典:Fierce Healthcare / Ex-Genentech, Meta, AWS AI leaders launch health AI lab with $500M backing
サトシ 製品が出る前に5億ドルという規模感に驚きます。出資元が医療の収益管理企業とも組んでいるので、まずは事務側から入るのかもしれません。