2026年10月3日(土)のおすすめトピック

8本(論文4・ニュース4)

デンマークの家庭医がAI記録支援を日常診療に導入し、記録時間とカルテの質が導入前後でどう変わったかを調べた論文。

  • 家庭医20人が導入前239件、導入後236件の診察を記録し、各診察の直後に標準化した監査票で質と記録時間区分を自己評価した前後比較
  • 記録の構造化の自己評価は3.99から4.45に上がり、記録時間区分は2.85から2.29に下がった。SUSは平均77.5
  • 時間は実測ではなく自己申告の区分。外部の盲検評価も導入後が高かったが、評価者間の一致度は低かった

出典:JMIR Hum Factors / AI-Assisted Clinical Documentation in Routine Danish General Practice: Quantitative Pre-Post Study.

サトシサトシ
時間が自己申告の区分というのは弱いですが、日常診療のまま測った点は貴重です。実測でどこまで縮むのか、次の報告を待ちたいです。

小児整形外科の手術記録からChatGPT-4oとChatGPT-5に米国の診療行為コード(CPT)を付けさせ、請求部門の判定と比べた論文。

  • 2025年1〜4月の匿名化した手術記録20件を、追加学習なしの同一プロンプトで2モデルに入力した後ろ向き研究
  • F1スコアはChatGPT-5が0.69、4oが0.48。完全一致率は60%と30%で、過剰コーディングは25%と70%だった
  • 両モデルとも複数コードの症例で精度が落ちた。著者らは誤り率が監督なしで使える水準に届いていないとしている

出典:J Pediatr Soc North Am / Artificial Intelligence-Assisted Current Procedural Terminology Coding in Pediatric Orthopaedic Surgery: Promise or Premature?

サトシサトシ
完全一致6割は、レセプト点検の現場感覚だとまだ任せられない数字です。一次案を出させて人が直す使い方なら現実的かもしれません。

香川県綾川町が、夜間や休日に子どもが遠隔で医師の診察を受けられる小児オンライン診療の実証を始めたことについて、読売新聞が報じました。

  • 対象は0〜18歳の町民で、期間は2027年2月28日まで。ファストドクターに委託し、県内の自治体では初めてという
  • 受付は平日の午後6時から翌朝8時と、土曜午前を除く休日の終日。処方箋は希望する薬局へ送られる
  • 町内の小児科医は2人で、夜間診療を行う病院がなく、町外の病院を受診するケースがあると町は説明している

出典:読売新聞 / 香川:綾川町小児オンライン診療 実験開始 :地域ニュース

サトシサトシ
処方箋が希望の薬局に飛ぶ形なので、夜間に受けた処方を翌朝どこで渡すか、町内の薬局側の体制も気になるところです。

JR東日本が駅のオンライン診療個室ブースを仙台駅近くと古川駅構内に設け、首都圏以外で初めて運用を始めたことについて、日テレNEWS NNNが報じました。

  • ブースは首都圏の駅などに19か所あり、2026年10月1日に東北初となる2か所でサービスを始めた
  • 事前予約制で、提携する9つのクリニックの内科、皮膚科、耳鼻咽喉科の医師が診察する。受付から会計まで15分とJR東日本は説明している
  • 診察後は必要に応じて処方箋が発行される

出典:日テレNEWS NNN / 「気軽にスキマ時間で受診」仙台駅近くと古川駅構内にオンライン診療個室ブース(2026年10月1日掲載)|ミヤテレNEWS NNN

サトシサトシ
駅の動線上に診察室を置く発想は、処方箋を受ける薬局の立地にも響きそうです。駅前薬局との連携がどう組まれているのか知りたいです。

米国の高度看護施設で専門医のオンライン診療があまり使われない理由を、看護部長への全国調査で探った論文。

  • 全米14,084施設から確率抽出した看護部長1,001人に2025年2〜7月に調査し、379人(39%)が回答した横断調査
  • 利用施設の77%が移動の難しい患者の受診に役立つと答えた一方、非利用の理由は専門医側が提供しないが73%で最多だった
  • 利用施設の60%が看護職員の時間負担が増えたと回答した。看護部長の認識を尋ねた調査で、利用実績の測定ではない

出典:JAMA Netw Open / Perceptions of Telemedicine Use for Specialist Care in Skilled Nursing Facilities.

サトシサトシ
受ける側は使いたいのに出す側が用意しない、という構図は日本の施設往診でも聞く話です。看護師の手間に報酬が付かない点も同じです。

LLMには質問の解釈だけを任せ、数値計算は固定の統計関数で行う臨床研究向けの対話型データ解析ツールを開発し、評価した論文。

  • 6人の参加者がMIMIC-IVなど臨床3種、非臨床3種のデータセットで試用し、手計算の結果やChatGPT 5.3と比べたパイロット評価
  • SUSは平均94.58で、評価できた出力はすべて手計算の結果と一致した。別の操作者による再実行でも結果は一致した
  • 同じ課題でChatGPTは不完全で内部矛盾のある出力を返した。参加者6人の小規模な検証にとどまる

出典:JAMIA Open / Data-reflector: an agentic exploratory data analysis platform for researchers.

サトシサトシ
LLMに計算させず、計算は決まった関数に回すという割り切りは、薬局の在庫や処方集計にもそのまま使える考え方だと思いました。

米AKASAが、入院診療のコーディングと記録の整合性確認を人の介在なしで行うAI基盤を発表したことについて、Fierce Healthcareが報じました。

  • 入院1件のコーディングに人は30〜60分かかるとし、AIは退院後約90秒で完了できると同社は説明している
  • 第三者の盲検評価で、MS-DRGや主診断などの正確性が人のコーダーと同等以上だったと同社は主張している
  • 医療機関パートナーとの評価を経て、今後数か月で提供を始める計画

出典:Fierce Healthcare / AKASA debuts autonomous AI platform for inpatient medical coding and clinical documentation

サトシサトシ
同じ日に、ChatGPTのコード付与は完全一致6割という論文も出ています。企業の主張と査読付きの数字を並べて見ておきたい話です。

AIは国内のどの医師よりも情報に通じたセカンドオピニオンになるという米保健福祉長官ケネディ氏の発言に、医師団体が反発したことについてFierce Healthcareが報じました。

  • ケネディ長官はMAHAサミットで、AIがマスクやワクチンに関する専門家の助言を正すかもしれないとも述べた
  • 米国医師会など6団体は共同声明で、AIが本質的に医師より情報に通じているとの発言は患者の信頼を損なうおそれがあると反論した
  • 記事によると、政権は医療でのAI活用を加速させており、臨床AIはCMSの最重要戦略の一つになっている

出典:Fierce Healthcare / RFK Jr.'s AI claims spark physician backlash as debate over medical AI intensifies

サトシサトシ
技術の議論というより、AIを専門家への不信の道具に使う話になっているのが気がかりです。現場の導入議論とは切り分けて読みたいです。