2026年10月5日(月)のおすすめトピック

11本(論文7・リリース2・ニュース2)

論文 画像診断AI 注目

放射線診断で生成AIと医師の診断精度を比べた研究を統合したシステマティックレビュー・メタ解析の論文。

  • 2018年6月〜2025年3月の文献から、放射線科の診断タスクで生成AIを検証した48研究を抽出し、多層ランダム効果メタ回帰で解析。
  • 生成AIの正診率は自由記述42.9%、選択式58.1%。専門医との差は13.0ポイント(95%CI 0.9〜25.2、P=.038)で医師が上回った。
  • 画像のみの入力はテキストのみより25.9ポイント低かった。ただし差は課題の難しさや情報量を反映している可能性があると著者は述べている。

出典:Jpn J Radiol / Generative AI versus physicians in diagnostic radiology: a systematic review and meta-analysis.

サトシサトシ
画像を見せるより文章で渡した方が正解率が高いというのは、使い方を考えるうえで示唆的です。読影の置き換えはまだ先ですね。

フレイル傾向の高齢者に、Fitbitを使った自動の生活習慣介入を6か月行い認知・身体機能を比べた柏市のランダム化比較試験の論文。

  • 千葉県柏市の65〜92歳355人を介入群178人と評価のみの対照群177人に割り付けた単施設・非盲検のRCT。
  • MoCAは群間差0.58点(p=0.039)だったが、多重性を調整すると有意でなかった(Holm調整p=0.12)。TMTと骨格筋量指数は差がなかった。
  • 割り付けは隠蔽されず評価者も盲検化されていない。著者はMoCAの差も臨床的な意義は不確かとしている。

出典:EClinicalMedicine / Effect of a wearable-based individualised multidomain lifestyle intervention on cognitive and physical function in older adults at risk of decline (INSPIOR): a single-centre, open-label, randomised controlled trial.

サトシサトシ
日本の高齢者で、ウェアラブルの通知だけでは認知や筋肉はほぼ動かなかったという結果です。正直に書いてある点が良いですね。

スイスの大学病院の電子カルテデータを使い、院内で動かすオープンソースLLMで内科の退院サマリを作成させた論文。

  • 3つの入院症例を入力に、Mixtral 8×7B・8×22B、LLaMA 3.1 70Bで、ゼロショット、4ショット、QLoRAによる微調整を比べた後ろ向き研究。
  • 微調整したMixtral 8×7Bがどの評価法でも最も良く、医師はAI作成と医師作成の退院サマリを偶然レベルでしか見分けられなかった。
  • 評価した医師間の一致度は低かった。入力は3症例のみで、他の診療科や実運用での検証はこれからとしている。

出典:Comput Struct Biotechnol J / Toward Responsible and Privacy-Preserving Generation of Inpatient Clinical Discharge Notes Using Large Language Models.

サトシサトシ
患者データを院外に出さず、小さめのモデルを微調整する方が大きいモデルより良かった点は、導入を考える病院には現実的な話です。

RAGを組み込んだLLMで心臓MRIシネ撮像のプロトコルを患者ごとに最適化し、技師の最適化と比べた前向き研究の論文。

  • 臨床で心臓MRIを受けた68人が、同じ検査中に技師が最適化したプロトコルとAIが最適化したプロトコルの両方で撮像(順序固定・非ランダム化)。
  • AI側で画質(3.69対3.00)とアーチファクト抑制(3.19対2.17)が高く(ともにp<0.001)、撮り直しは19回から6回に減った(p=0.028)。
  • 左室機能の計測値に有意差はなかった。撮像順が固定の非ランダム化研究で、著者はランダム化試験が必要としている。

出典:J Magn Reson Imaging / Personalized Cine Cardiac MRI Protocol Optimization Using a Retrieval-Augmented Large Language Model: A Prospective Comparison With Technologist-Optimized Protocol.

サトシサトシ
不整脈や息止めが苦手な患者さんに合わせて条件を変える作業を、LLMが下支えする形です。撮り直しの減少は現場にうれしい数字ですね。

横浜市の株式会社まいまいが、医療機関のシステム選定や導入を支援する「よりそいDX 医療システムコンサル」の提供を始めたという発表。

  • 電子カルテや予約システムの選定、ベンダーとの要件整理・見積精査、院内ネットワーク整備を、現役のシステムエンジニアが継続して支援する。
  • 料金は月額5万円からの定額制で、月1回の定期ミーティングを行う。特定の課題だけを相談するスポット相談は5,000円から。
  • 特定の製品を販売しない立場で医療機関側に立つと同社は説明している。神奈川県内を中心に、全国オンラインで相談を受ける。

出典:株式会社まいまい / 院内システムの意思決定に伴走。株式会社まいまいが医療機関向け「よりそいDX® 医療システムコンサル」を提供開始

サトシサトシ
ベンダーの見積が妥当か判断できないという悩みは、クリニックでも薬局でもよく聞きます。中立の相談先はありがたい存在です。

ドイツのガイドラインに基づくリウマチ疾患別のLLMチャットボット10種を、全国の施設と患者会で実運用し評価した論文。

  • 13のリウマチ診療施設と6つの患者会を通じて提供し、2025年9月〜2026年1月に6291件の質問を記録した。
  • 利用者評価2671件のうち92.9%が肯定的。LLMによる評価では完全に安全95.3%、完全に正確79.1%、ガイドライン完全準拠は45.0%だった。
  • LLMによる評価と専門医の評価の一致は弱かった。著者は、教育効果と安全性の独立した検証が必要としている。

出典:J Med Syst / Development and Nationwide Multicentre Evaluation of Guideline-Grounded Large Language Model Chatbots to Support Patient Self-Management and Education in Rheumatology.

サトシサトシ
質問の4割近くが薬とモニタリングだったのは、薬剤師として納得です。ガイドライン準拠が半分に届かない点は気になりますね。

ドイツの骨粗鬆症ガイドラインに基づくチャットボットOsteoCHATを、7施設の患者評価と汎用LLMとの比較で検証した論文。

  • RAG型のOsteoCHATを7施設で患者に使ってもらい、1075件のやりとりを記録。汎用LLM3種とも10問のFAQで比較した。
  • 個別評価389件の97.4%が肯定的。一方で信頼すると答えたのは64.7%。専門家評価の中央値はOsteoCHAT、Gemini、ChatGPTが14/15、Meta AIが13/15。
  • どのシステムも、薬物治療の適応や、まれで重い副作用の伝え方に弱点があったと専門家が指摘している。

出典:Osteoporos Int / OsteoCHAT: real-world patient evaluation and benchmarking of a guideline-grounded osteoporosis chatbot.

サトシサトシ
ガイドラインを入れても汎用LLMと点数が並んだのは興味深いです。副作用の伝え方は、薬局の服薬指導でも一番気を遣うところですね。

中国のインターネット病院に寄せられた患者の相談文から受診目的を分類し、特化型の小型モデルとLLMを比べた論文。

  • 三次医療機関のインターネット病院の相談28,851件を解析。クラスタリングで受診目的を8種類に分け、微調整したMacBERTで分類した。
  • MacBERTの重み付きF1は0.680で、医療特化LLM(0.595)と汎用LLM(0.585)を上回った。外部検証では0.578対0.389・0.190と差が広がった。
  • 神経内科では相談の39%が処方継続、皮膚科では68%が初診相談だった。中国の単一の病院環境での結果で、前向きの多施設検証は行われていない。

出典:Comput Struct Biotechnol J / Mapping Clinical Intent in Internet Hospitals: Identifying and Profiling Patient Demand via Natural Language Processing.

サトシサトシ
神経内科の相談の4割が処方の継続というのは、オンラインで薬を受け取る需要の大きさを示していますね。
リリース その他

株式会社SUNABACOが倉敷中央病院の臨床医学研究所と、医療用フィジカルAIの共同開発に向けた基本合意書(MOU)を結んだという発表。

  • 倉敷中央病院の施設内で、実際の医療環境に即したフィジカルAI(ロボット等)の実証実験と共同開発を行う。
  • 手術室での器械出し支援、使用済み器具の洗浄、院内物流で、省人化・自動化を検証するとしている。
  • 医療従事者とエンジニアが初期から協働する「リビングラボ」の構築も検討する。実証の開始時期や規模は示されていない。

出典:株式会社SUNABACO / 株式会社SUNABACO、日本有数の高度医療機関である倉敷中央病院の臨床医学研究所と、医療用フィジカルAIの共同開発に向けたMOUを締結〜

サトシサトシ
器械出しや器具の洗浄は人手が要るのにDXの話題に上がりにくい業務です。どこまで現場に入れるか、実証の中身を見たいですね。

新潟県燕市で、新潟大学のシステムを使い自宅や介護施設と医師をつなぐオンライン診療の実証が進んでいることについて、NST新潟総合テレビが報じました。

  • 訪問看護師がタブレットで自宅療養中の患者と診療所のかかりつけ医をつなぎ、対面診療の合間に週1回のオンライン診療を組み合わせている。
  • 新潟大学の仕組みでは、約160人の医師が登録する「ドクターバンク」が地域外からの専門医の助言を含めて支援する。
  • グループホームでの実証では、機器の操作と通信環境が課題として挙がった。

出典:新潟ニュース NST / 【医療】高齢化で“支える側”の負担増…実証進む“オンライン診療”が地域医療の支えに「必要な場所に必要な医療届けられる」新潟

サトシサトシ
へき地ではなく街なかでの実証という点が新鮮です。通信が途切れる話は、施設側の環境整備がやはり鍵になりそうです。
ニュース その他

シャープがAIとテレビを使った「介護向けAIトレーナー」の実証を特別養護老人ホームで始めることについて、日本経済新聞がシャープの発表を掲載しました。

  • 東京都大田区の特別養護老人ホームで、10月5日から11月1日まで実証を行う。機能訓練業務の負担軽減と運用面の有用性を検証する。
  • テレビに接続したカメラが姿勢や動作を取得し、AIが機能訓練計画書を作成して介護ソフトに自動で反映するとシャープは説明している。

出典:日本経済新聞 / シャープ、AIとテレビを活用した「介護向けAIトレーナー」の実証を介護施設で実施

サトシサトシ
家庭用テレビを訓練の画面に使う発想は、設備投資を抑えたい施設には入りやすそうです。計画書作成の手間がどれだけ減るかに注目しています。