アンビエントAIスクライブの利用開始前後150日で、プライマリケアの記録時間や時間外の作業がどう変わったかを調べた論文。
- 36診療所の臨床医220人、診療31万4845件を対象に、中断時系列デザインで利用開始前後150日ずつを比べた
- 記録時間は開始日に7%、150日後に16%減った(IRR 0.84)。150日後には夜間のパジャマタイムが19%、時間外作業が13%減った
- 開始日にはパジャマタイムと時間外作業に変化がなく、効果は使い続けて出てきた。記録の長さは開始日も150日後も変わらなかった
出典:J Am Med Inform Assoc / Longitudinal effects of ambient artificial intelligence scribe use on documentation burden and financial productivity in primary care: a quasi-experimental study.
サトシ 導入した日より半年後のほうが効いているのが面白いところです。スクライブを試して「思ったほど減らない」と感じた施設は、早めに判断しすぎているのかもしれません。
ヘンリーが、厚生労働省の「医科診療所及び中小病院向け電子カルテの標準仕様に係る認証制度」に、受付初日の11月1日に申請するという発表。
- 認証制度は2026年10月16日に公表され、11月1日に施行。要件には単一コードベースのマルチテナント方式、稼働率99.9%以上、直近1年で30施設以上の稼働実績が含まれる
- 同社によると、Henryの直近1年の稼働率は99.943%、稼働施設は30以上で約8割が地方の病院
- 導入事例として、そのべ病院で月間の診療報酬収入が導入前の1.3倍になったと同社は説明している
出典:ヘンリー / ヘンリー、厚労省「電子カルテ標準仕様に係る認証制度」受付初日に申請へ
サトシ 認証の要件に稼働率や施設数まで数字で入ったのは大きいと思います。更新時期の病院は、まず認証の有無で候補を絞れそうです。
中小病院・診療所向け電子カルテの認証制度で、サイバーセキュリティー対策も審査するという上野厚生労働相の会見発言について、日本経済新聞が報じました。
- 上野厚労相は20日の会見で、2027年春に始まる認証制度で脆弱性診断などの実施状況の結果も審査すると述べた
- 要件には、事業者が安全性を自己評価する「医療情報セキュリティ開示書」の医療機関への提出、ペネトレーションテスト、定期的なパッチ適用が含まれる
出典:日本経済新聞 / 電子カルテの認証取得、サイバーセキュリティーも審査 上野厚労相
サトシ ペネトレーションテストまで要件に入るのは踏み込んでいます。中小の病院が自前で確認しにくい部分なので、認証が目安になると助かります。
MASLDの消化器・肝臓eConsultについて、OpenEvidenceが作った回答と専門医の回答を盲検で比べた論文。
- 大学病院の2020〜2024年のMASLD eConsult 125件に、標準化プロンプトでOpenEvidenceが作った回答を対にし、医師5人が盲検で評価した
- OpenEvidence側が品質スコアで平均6.4点高く(P<.001)、情報量が適切と評価された割合も70.9%対33.9%だった
- 125件中12件に軽微な誤り、1件に重大となりうる誤りがあった。単施設の後ろ向き研究で、評価は見た目の質と情報量
出典:Mayo Clin Proc Digit Health / Large Language Model-Generated Electronic Consultations: A Blinded Comparative Study of OpenEvidence and Gastroenterologist Electronic Consultations.
サトシ 評価では勝っていても、125件に1件の重大な誤りをどう拾うかが運用の本題だと思います。誰が最後に目を通すかの設計とセットで見たい結果です。
PreMedが、受託先クリニックのレセプト点検を毎晩全件で自動化する「レセプトニスト」を本格稼働させたという発表。
- KAIZENグループの婦人科2院とオンライン診療で稼働。2026年6月から毎月の提出で使いながら作り込んできた
- 月初からの診療を毎晩すべて点検し直し、人に届くのは病名追加や算定可否など判断が要る例外だけ。月末の作業が基本不要になるのは会社側の説明
- 算定漏れの候補も毎晩探すが、算定するかは医師と医事が決める。今後は予約システムや開発中の電子カルテとつなぐ予定
出典:PreMed株式会社 / PreMed、クリニックのレセプト点検から提出までを自動化。毎日の全件自動点検で月末のレセプト作業をゼロに。
サトシ 点検を月末にまとめず毎晩に割るという発想が地味に効きそうです。薬局の調剤報酬でも同じ悩みを聞くので、横に広がるか見ていたいです。
看護師から医師への依頼を記録つきでつなぐアプリ「Hey, Doctor!?」が、在宅クリニックで半年間の試験運用を始めるという発表。
- ていねい在宅クリニック日立北で2026年10月15日から半年間運用する。病棟向けの料金は1病棟あたり月額25,000円(税別)、登録人数は無制限
- 日立港病院での病棟パイロット(2026年6月15日〜7月31日)では依頼500件、患者126名。95.4%が8時間以内、99.3%が24時間以内に完了したと発表している
- 病棟から在宅医療に広げる初の検証。プログラム医療機器には該当しないと同社は判断しており、緊急連絡の手段ではないとしている
出典:株式会社ユニキャスト / 看護師と医師の依頼・指示をつなぐアプリ「Hey, Doctor!?(ヘイドクター)」、在宅医療の現場へ
サトシ 依頼が届いたか見えない問題は在宅だと病棟以上に深刻です。電話の折り返し待ちが減るなら、訪問薬剤師との連携にも欲しい仕組みです。
看護職員が利用者宅で医師のオンライン診療を補助する「D to P with N」を介護報酬で新たに評価する厚労省案について、介護ニュースJointが報じました。
- 厚労省は10月19日の介護給付費分科会で、訪問看護の新たな評価としてD to P with NとICTによる情報連携の2つを提案した
- D to P with Nは今年度の診療報酬改定で評価されており、介護保険では5月の通知で暫定的な扱いが示されていた
- 厚労省は年内にも施策の大枠を固める予定としている
出典:介護ニュースJoint / 訪問看護、オンライン診療の補助を新たに評価 厚労省提案 ICTの情報連携も
サトシ 診療報酬で先に付いた評価が介護側にも追いつく流れです。訪問看護の現場で、看護師さんが端末を持って入る場面がもっと普通になりそうです。
医師向けAIのOpenEvidenceとDoximityが、企業スパイや名誉毀損をめぐる訴訟で和解したことについて、Fierce Healthcareが報じました。
- OpenEvidenceは2025年6月、Doximity側が医師を装ってプロンプトインジェクションで自社AIの情報を引き出したとして提訴していた
- Doximityは否定し、名誉毀損や虚偽広告で反訴。両社は原則合意に達し、マサチューセッツ連邦地裁で全請求が取り下げられた
- 和解の内容は公表されていない。証拠開示の途中での和解だった
出典:Fierce Healthcare / OpenEvidence, Doximity reach settlement in contentious AI legal battle
サトシ 「ルールをそのまま書き出して」で中身を抜こうとしたという主張が訴状にあったのが印象的でした。医師向けAIの競争がそこまで来ていたということです。
メドレーの薬局向け「MEDIXS かかりつけ支援」とNeoXの処方箋入力支援AI-OCR「薬師丸賢太」の連携開始について、Dellows Newsが報じました。
- 患者がアプリ「melmo」で処方箋画像を送ると、薬師丸賢太へ自動で渡り、AI-OCRで解析した処方内容がレセコンに反映される
- 両サービスを併用している薬局は所定の申し込みだけで使え、追加費用はかからないと説明されている
- これまでは受け取った処方箋をもとにレセコンへ手入力するか、印刷してスキャンする作業が必要だった
出典:Dellows News / メドレーのMEDIXSかかりつけ支援とAI-OCR薬師丸賢太が連携開始へ
サトシ ネット受付の処方箋を一度印刷してスキャンする作業、薬局ではまだよく見ます。追加費用なしなら、チェーンほど切り替えが早そうです。
ラピダスなどが参画するLSTCが、北海道大学や富士フイルムと2ナノ半導体を使った医療用AIシステムを開発すると発表したことについて、日本経済新聞が報じました。
- GEヘルスケアとimecも参加する。推論特化の2ナノ半導体で、現行GPU比で画像処理速度5倍以上、エネルギー効率10倍以上を目指すとしている
- 研究期間は2031年9月まで。28年度まではIBMの5ナノ半導体で検証し、29年度以降に2ナノ半導体を使って北海道大学病院で有用性を確かめる
- 富士フイルムは次世代CT画像の即時解析、GEヘルスケアはCT・MRIと超音波画像の重ね合わせ、北大とimecは手術顕微鏡映像からの出血状況の認識を担う
出典:日本経済新聞 / ラピダス参画の研究機関、北大や富士フイルムと医療用AI開発
サトシ 医療AIの話で消費電力が正面から語られるのは珍しいです。病院で実証するのが29年度以降なので、臨床の数字が出るのはかなり先ですね。
ジェイフロンティアが、修学旅行中の生徒向けオンライン診療「SOKUYAKU」の利用申込対象人数が3カ月で約4.5倍になったという発表。
- 近畿日本ツーリストと組み、旅行先で体調を崩した生徒が宿泊先などからオンラインで医師の診察を受けられるようにしている
- 2026年6月と9月の比較で、申込の対象人数は約455%、申込校数は約300%になった。対象人数には引率の教職員を含む
- 三者間通話で離れた保護者も診察に参加できる。処方が必要ならオンライン服薬指導を経て宿泊先や近隣薬局で受け取る
出典:ジェイフロンティア株式会社 / 修学旅行の“もしもの発熱”にオンライン診療。SOKUYAKU、修学旅行での利用申込対象人数が直近3カ月で450%超に急増
サトシ 旅先で受け取る薬局側の段取りも気になります。インフルエンザの時期に引率の先生が病院を探し回らずに済むなら、学校側の需要は確かにありそうです。
Medikikiのクラウド型医療機器管理システム「MMS」が、無料提供開始から1年半で導入200施設を超えたという発表。
- 医療機関は初期費用ゼロ・基本機能永年無料で使え、メーカーや卸向けの情報配信で収益を得るモデル
- 2026年6月に150施設を発表してから3か月で200に達した。クリニックから大学病院まで導入があると同社は説明している
- 直近2か月で不具合と修理状況の一覧統合、QRコード読み取り時の音声通知を追加した。有償オプションの開発も進めるとしている
出典:MRT株式会社 / MRTグループのMedikiki提供 クラウド型医療機器管理システム「MMS」無料提供開始から1年半で導入数200を突破
サトシ 機器管理はExcelのままの病院がまだ多い領域です。病院側を無料にしてメーカー側から取る設計なので、どこまで中立に使えるかが気になります。
社会保険診療報酬支払基金が改組され「医療情報基盤・診療報酬審査支払機構」として10月1日に発足したことについて、老施協デジタルが報じました。
- 令和7年成立の改正医療法等にもとづく改組で、審査支払に加えて医療DX推進の中心的な役割を担う
- 電子カルテや電子処方箋の普及、オンライン資格確認の基盤システムの管理・運用を行い、医療情報化の中期計画を策定する
- 最高意思決定機関として、従来の理事会に代わり「運営会議」を置く
出典:老施協デジタル / 医療情報基盤・診療報酬審査支払機構が発足、医療DXの司令塔に
サトシ 名前が長くて覚えにくいのですが、電子処方箋もオン資もここが持つことになります。薬局への連絡や通知の出どころが変わるので、名前だけは押さえておきたいです。
がんの相談や情報収集に生成AIを使う人が患者で7%、家族で8%だったという日本対がん協会の調査結果について、共同通信が報じました。
- 今年3月に患者と家族の計約1万人を調査し、利用していると答えた427人に使い方なども尋ねた
- 患者の相談内容はがん治療の情報が63%、症状・副作用が61%。情報が誤っていると感じた患者は66%だった
- 一方で42%が病気や治療の理解が深まったとし、34%が受診の事前準備がしやすくなったと答えた
出典:47NEWS / 患者の7%、生成AI利用 がんの相談や情報収集で
サトシ 誤りを感じた人が66%いても使う理由は「すぐ聞ける」。窓口で「AIに聞いてきた」と言われる場面は、薬局でもこれから増えると思います。
オプティムが生成AIとスマホ、端末・ID管理をまとめた病院向け「OPTiM AI ホスピタル スイート」を9月30日に始めたことについて、Dellows Newsが報じました。
- 医師向けに診療情報提供書や主治医意見書、看護師向けに看護サマリーの下書き作成を支援し、PC・スマホ・職員IDも一元管理する
- 看護サマリーの作成時間は平均16分19秒から7分28秒へ54.2%減ったとオプティムは説明する。織田病院での自社調べ
- 今後、DPCコーディングの見直しを支援する機能をオプションで載せる予定としている
出典:Dellows News / オプティム、病院向けパッケージOPTiM AI ホスピタル スイートを提供開始
サトシ 生成AIと端末管理を一緒に売るのは、情シスが少ない病院には現実的な形です。セキュリティ対策の義務化と導入の話が一つにまとまってきました。
仙台市の伊藤病院が夜間の迷惑電話対策にAI電話を導入し、看護師への取り次ぎを緊急の用件に絞っていることについて、河北新報が報じました。
- 夜間は看護師2人で40床を見回るなか、深夜の不審電話でたびたび業務が中断されていた
- 昨年8月に導入したAI電話は、けがや病気の相談や入院中の家族への連絡など緊急の用件だけを看護師に取り次ぐ
- それ以外は留守番電話に音声と文字で残し、日中に折り返す
出典:河北新報オンライン / 宿直時の迷惑電話はAIで撃退 仙台の病院がカスハラ対策で導入「余計なストレスをなくすことが大事」
サトシ 医療のAI活用というと診療の話になりがちですが、夜勤の電話番を守る使い方は切実です。電話を受けない選択肢がない業界ならではだと思います。
AI医療機器の認証を手がけるScarletが、Headline主導のシリーズBで5,000万ドルを調達したことについて、BRIDGEが報じました。
- EU MDRとUK MDRにもとづく民間の認証機関で、FDAの第三者審査プログラムの申請も審査できる
- 顧客は新しいAI機器の認証期間を1年以上短縮したと同社は説明する。Tortus AIのアンビエント音声技術のUKCAクラスIIa認証も手がけた
- 調達資金は専門家チームの拡充と、米国とアジア太平洋地域での事業拡大に充てる
出典:BRIDGE(ブリッジ) / AI医療機器の認証を手がけるScarlet、Headline主導のシリーズBで5,000万ドルを調達
サトシ AIそのものより、AIを通す認証の側にお金が集まっているのが今っぽいです。頻繁に更新されるAIをどう審査し直すかは日本でも同じ課題です。
政府が医療や建設を中心に、AI導入に向けて責任範囲の明確化や被害救済のルールを整備する方針について、日本経済新聞が報じました。
- 医療や建設の分野を中心にAI導入を促す計画を年内にまとめる方針で、22日に初会合を開く「AI・デジタル改革推進会議」で議論する
出典:日本経済新聞 / 医療や建設、AI導入へ政府がルール整備 責任明示・被害救済など
サトシ AIが関わった判断で誰が責任を持つのかは、現場が導入をためらう一番の理由だと感じます。会議でどこまで具体的に線を引くのか見ておきたいです。