2026年10月10日(土)のおすすめトピック

9本(論文7・リリース2)

論文 生成AI・LLM 注目

患者と事前に問診の対話をするAI「AMIE」を、米国のプライマリケア急患外来で実際の受診前に使った前向き実行可能性研究がLancetに載ったという論文。

  • 単施設・単群で、成人114人が受診前の最大5日間にAMIEと対話し、98人が対話と受診の両方を終えた。対話は医師が監視した
  • 事前基準による安全停止は0件。監視医が指摘したハルシネーションは1件で、臨床評価者は17項目中87〜100%の対話を好意的と評価した
  • 記録を事前に読んだ医師44人中33人が受診準備に役立ったと回答した。比較群のない単施設研究で、資金はAlphabetが出している

出典:Lancet / Conversational diagnostic artificial intelligence in ambulatory primary care: a prospective feasibility study.

サトシサトシ
監視医が付いた条件での安全停止0件なので、無人で回すのとは別の話です。それでも受診前の問診をAIに任せる絵はかなり具体的になってきました

免疫抑制下のリウマチ患者の感染症について、LLM3種と感染症専門医2人の診断・検査・治療の正答率を比べたという論文。

  • トルコ語の標準化症例100例をGemini 3.1 Pro、ChatGPT 5.5、Claude 4.7 Opusと、資料を見ない専門医2人が解いた
  • 診断の正答率は専門医が91%と93%、LLMは97〜100%。症例全体を正しく管理できた割合は専門医83%と90%、LLMは97〜100%(p<0.001)
  • 正解が1つに決まった筆記の症例での比較で、人の比較対象は2人だけ。著者は実臨床での優位性を示すものではないとしている

出典:Rheumatol Int / Large language models in the diagnosis and treatment of immunosuppression-related infections in rheumatic diseases: a comparative, vignette-based study.

サトシサトシ
筆記の症例で専門医を上回るのは、もう驚く結果ではなくなってきました。日和見感染の拾い漏れ防止に使えるかは、実症例で見たいところです

リウマチ外来への紹介状の緊急度トリアージを、23種類のLLMが専門医の合意とどこまで一致するか調べたという論文。

  • 豪州のリウマチ医が作った紹介シナリオ20件を、23モデルがそれぞれ3回、簡単なプロンプトと詳しいプロンプトで5段階に分類した
  • 専門医4人の一致度はFleissκ0.60。最良のモデルは20件中18件で専門医の合意と一致し、詳しいプロンプトでモデル間のばらつきは5.3分の1に減った
  • 詳しいプロンプトではモデルの大きさや費用と精度の関係が消えた。一部のモデルでは緊急度を低く見積もる誤りが残り、人のトリアージとの直接比較はしていない

出典:Rheumatol Int / Automating the triage of rheumatology outpatient referrals: a comparative evaluation of 23 large language models under simple and advanced prompting.

サトシサトシ
高いモデルでなくてもプロンプト次第で精度がそろう、という結果は導入する側の予算の話に直結します。低く見積もる誤りの扱いが運用の肝になりそうです

脳卒中の救急搬送中に救急隊と病院が情報を共有するアプリ「Brain Saver」を韓国・浦項で試験導入し、治療開始までの時間を比べたという論文。

  • 2023年12月から2024年4月に、アプリ搭載の救急車で運ばれた34人と通常の救急車の129人を、同じ3病院で比べた準実験研究
  • 発症から治療開始までの中央値はアプリ群114分、通常群204分(P=.03)。マッチング後の解析では来院から治療開始までも短かった(P=.04)
  • 介入群は34人と小規模なパイロット研究で、無作為化はしていない。著者は大規模な検証が必要としている

出典:JMIR Med Inform / Digital Health-Enabled Prehospital Notification for Acute Stroke Using the Brain Saver Mobile App in Emergency Medical Transport in South Korea: Pilot Quasi-Experimental Study.

サトシサトシ
搬送中に病院側の準備が始められるだけで90分近く差が出るなら、仕組みとしては地味でも効きます。日本の救急隊連携でも聞いてみたい話です

金沢医科大学病院が、Ubieの医療従事者向けサービス「ユビー生成AI」を電子カルテ環境で全面的に使い始めたという発表。

  • 2026年7月に患者情報を扱わない学内ネット環境で試用を始め、10月から電子カルテ環境での全面利用に移った
  • 807床・38診療科の特定機能病院で、文書作成支援を中心に文章生成・音声認識などの機能を使う。Ubieによると導入は160病院を超える
  • AIの作成内容は職員が原情報と照合して確認する運用とし、文書作成時間の短縮効果などは今後評価するとしている

出典:Ubie株式会社 / 金沢医科大学病院、電子カルテ環境で「ユビー生成AI」の全面利用を開始

サトシサトシ
学内ネットで試してから電子カルテ環境へ、という二段階の進め方は、ほかの大学病院が稟議を通すときの参考になりそうです
リリース その他

ウィーメックスが、保険薬局の処方箋入力を同じチェーンの本部や他店舗に遠隔で分担してもらう「リモートアシスト機能」を始めるという発表。

  • 電子薬歴「PharnesX Hybrid Cloud」と薬歴共有サービス「Pharnes LinkⅡ」のオプションとして、2026年10月下旬から提供する
  • 入力の依頼から完了までをシステム上で管理し、端末を占有する遠隔操作とは違って依頼先が処方箋一覧から選んで入力する仕組みとしている
  • 依頼する側の薬局は既存環境のまま使え、導入コストを抑えられると同社は説明している。価格は書かれていない

出典:ウィーメックス(WEMEX) / 処方箋入力業務の遠隔での分担を可能にする新機能「リモートアシスト機能」の提供を開始

サトシサトシ
朝イチの入力待ちは薬局の待ち時間の大きな原因なので、店舗間で回せるのは現場目線でありがたいです。入力後の監査を誰がどこで持つかは各社の運用次第ですね

慢性副鼻腔炎の手術適応の分類を、ChatGPT-5.5とDeepSeek-V3がEPOS 2020に沿ってどこまで正しくできるか比べたという論文。

  • 150例を耳鼻科専門医3人の判定を基準に、両モデルを3種類のプロンプトで評価し、研修医のAI補助ありとなしも比べた後ろ向き研究
  • 既定のプロンプトではDeepSeek-V3が81.3%、GPT-5.5が72.7%と差があったが、思考過程を書かせるCoTで95.3%と96.0%に並んだ(p=1.00)
  • AIの出力を参照した研修医の正答率は97.3〜98.0%で、参照しない研修医の72.8%を上回り、作業時間は43.0%短くなった

出典:World J Otorhinolaryngol Head Neck Surg / ChatGPT Versus DeepSeek in Resectability Categorization of Chronic Rhinosinusitis: A Comparison Based on EPOS 2020.

サトシサトシ
モデルの差よりプロンプトの差のほうが大きい、という結果が今日は2本そろいました。どのモデルを選ぶかより、使い方の設計に手間をかける段階なのかもしれません

オフラインで動くAI付きのスマートフォン型無散瞳眼底カメラを、リベリアの一般外来で糖尿病網膜症のスクリーニングに使ったという論文。

  • 首都モンロビアの病院の一般外来で成人1,612人を登録し、少なくとも片眼が判定可能だった1,198人で検者の判定と比べた前向き研究
  • 要紹介の網膜症11人のうち10人をAIが検出し、感度90.9%、特異度99.7%。陽性的中率は71.4%だった
  • 要紹介例が11人と少なく、感度の95%信頼区間は58.7〜100%と幅が広い。判定できない眼の人は解析から外れている

出典:Front Digit Health / Real-world validation of an AI-based non-mydriatic fundus camera in the diagnosis of diabetic retinopathy in Liberia.

サトシサトシ
ネットがなくても動くことが条件の現場で、この特異度が出ているのは実用的です。日本でも離島や巡回健診なら似た使い方が考えられそうです

がんのCT読影レポートをLLMで構造化した版と従来の自由記述版を、放射線科医や腫瘍内科医などが読み比べて評価したという論文。

  • 単施設で66人(医学生24、放射線科医22、放射線技師12、腫瘍医8)が5件のレポートを、4週間以上空けて自由記述版と構造化版の順に評価した
  • 構造化版は12項目中11項目で評価が高く、臨床的有用性のオッズ比は4.81、情報の見つけやすさは4.31だった
  • 職種別では放射線技師が12項目すべて、放射線科医が6項目で高く評価したが、腫瘍医は有意な差が出た項目がなかった

出典:Cancer Imaging / Multidisciplinary attitudes towards LLM-structured oncologic CT reports: a prospective fixed-sequence questionnaire study.

サトシサトシ
一番の読み手であるはずの腫瘍医で差が出なかったのが気になります。8人と少ないので、続きの多施設研究で確かめてほしい点です